シン・ゴジラについて(ネタバレあり)

2016年10月16日 日記

堅い話ばかりではなんなので、ちょっと前に見てきたシン・ゴジラの話でも。

監督はエヴァンゲリオンの生みの親である庵野秀明だ。面白いだろうと期待して見に行った。ゴジラと使徒はほぼ同じ扱いで描ける題材だろうから、その辺のワザが楽しみだ。

ゴジラが東京湾に現れるものの、まずは尻尾だけというのがおもしろい。爆発した後の海面に、尻尾だけ垂直に立てて登場する。

エヴァンゲリオンの敵である使徒の形状は、単なる立方体だったり球体だったりするのだが、間抜けな見かけによらず、その攻撃力は極めて強力だ。尻尾だけ出して、隠れている恐ろしい本体の部分を見せないあたりが、使徒同様に不気味な雰囲気を醸し出す。

上陸したときはまだ成体になりきっていない幼獣で、顔もまだ可愛らしい。このときはゴジラは他にいるのかと思っていたが、この愛くるしい珍獣がゴジラに成長するというところが新しかった。

日本のアニメ監督は細かいところを描くのがうまい。自衛隊の戦車が出て行ってバババーンと攻撃する場面も、10式戦車やAH-1S 対戦車ヘリが何ミリの何々弾で攻撃するという描写になる。

自衛隊が全弾撃ち尽くしてもゴジラは倒れず、ついに在日米軍に引き継がれる。クラスター爆弾は撒き散らすわ、バンカーバスターを頭の上に落とすわで、なんとか動きを止めるあたりはさすが米軍という感じだった。自衛隊の本気の攻撃や、米軍がどんな兵器をもっているかなど、作り物とわかっていても「そうなのか」と勉強した気分になる。

首相官邸で大臣や官僚のやりとりも、見てきたようにリアルに描いている。見たわけではないので、本当にリアルかどうかはわからないが、リアルっぽいとでもいうのだろうか。セリフが早くて途中でわからなくなった。わからなくても問題ない作りにはなっているようだったけど。

長谷川博己が演じる矢口蘭堂は官僚かと思っていたら、内閣官房副長官だったらしい。仕事ぶりが東大卒みたいなキレっぷりだったので、勝手にそう思い込んでいたのだがやっぱり政治家なのか。官房副長官にしては若すぎるような気もしないでないが。

ゴジラが口から火を噴くというお馴染みのシーンは、エヴァンゲリオンで培ったであろう、すさまじい破壊の描写が際立っている。

火炎放射ではなく、レーザーナイフのような光線であり、高層ビルが真っ二つに切れてしまう。背中のヒレからも同様の光線が四方八方に飛びだすので、ヘリや飛行機もうかつには近寄れない。都心は草刈機で刈ったような、ビルの根っこが乱立するという有様になった。

最後にゴジラに毒を盛って殺す作戦が実行に移されるわけだが、直接口に毒を入れるために新幹線や山手線で足元をどついて倒すシーンが圧巻だった。倒れたところで口に毒を流し込むわけだ。

高層ビルを建設する時に、高いところまで生コンを届けるコンクリートポンプ車というのがあるらしい。それでゴジラの口元に何十台というノズルを突っ込んで毒を流し込むのだ。最後の切り札が電車や建設機械というのがひねりがあって面白かった。

軽快なゴジラ音楽に乗せて次々とノズルを伸ばす建設機械。基地からの指示に通りに出発する新幹線や山手線。もともとカッコイイものが活躍するのではなく、普段目にするものが活躍するカッコよさがよく描かれていた。

ゴジラは災害や原発などの暗喩で、政府の危機管理対策の云々・・という評価もある。しかし、作品のプロットと政治的な意図を結びつけるより、こういった細かい描写や破壊の壮絶さなどを楽しむ作品だろう。

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