経済成長をしなければならない理由

2015年11月21日 マクロ経済

青年の主張ではないが、政治家がする主張のひとつとして経済成長があげられる。なぜ、経済成長しなければならないかを理解するのは簡単なようで難しい。

答えを先にいうと分配の問題があるからだ。経済成長をしなくても、金持ちから税金をとって貧しい人に配れば国民全員の生活が成り立つ。しかし、税金をかけられた金持ちはたまったものではない。金持ちは政治家の友達も多いので、税金がかからないように累進性を緩めたり、消費税を導入するようにしたがる。金持ちから税金をとるというのは政治的に難しいのだ。

では、経済成長をすれば分配の問題が解消するのはなぜだろうか。経済成長というのは去年、100円のものが10個売れて1000円の売り上げていたのが、今年は11個売れて1100円の売り上げになることだ。イメージとしては店の売り上げが上がることが経済成長と思って間違いない。

モノは十分にあるし、もう経済成長は無理だと感じるのも無理はない。今の日本では11個目が売れそうにないからだ。

もうひとつのパターンとして物価が上がって110円のものが10個売れる経済成長もある。こちらも1100円で売り上げ額は同じだ。このパターンこそが分配の問題を解決する。いわゆるインフレ型の経済成長だ。

仮に世の中全体の物価が2倍になれば店の売り上げも2倍になり、従業員の給料もだいたいそれに見合ったものになると考えられる。ところが資産家のもつ現金は変わらないので、実質的には半分になるのと同じことになる。資産に課税して分配したのと同様の効果が見込めるのだ。

ちなみに21世紀の資本の著者であるトマ・ピケティはこの考えには反対で、資産にダイレクトに課税するべきだと言っている。インフレで分配を是正するのは空爆のようなもので、大雑把すぎて被害が大きいらしい。しかし、分配の問題は避けられないので、資産への課税ができなければインフレによってでも是正するしかないかもしれない。

具体的にインフレにするにはお金の量を増やせばいい。政府が国債を発行して日銀が新たに発行したヴァージンマネーで国債を買い取る。ヴァージンマネーを手に入れた政府はそれを国内で使えばお金の量が増えることになる。インフラ整備、公務員給与の増額、科学技術への投資、年金の増額、医療費の自己負担減額、高校の無償化、高速道路の無償化、などだ。また、消費税を減額ないしは廃止すればそれだけ国民の手元にのこるお金の量は増える。

こういった国民にやさしい政治を行えばだいたいインフレになる。しかし、現在の政治はおよそこれらの政策とは真逆に行っているので、うまくいくことはないだろう。

政治家としては国民を貧困にするわけにはいかない。しかし、政治的な選択肢として金持ちに課税するのは難しい。残る道はインフレによる経済成長というわけだ。インフレにしても金持ちは歓迎しているわけではない。物価が上がって実質的な資産が目減りするのは嫌だろう。金持ちが不動産や株といった貨幣以外で資産を管理するのはそのためだ。でも、長いデフレだったので、ここ20年くらいは現金でもっていたほうが資産は保全されていたかもしれない。

原始人の社会で男たちがマンモスを狩って持って帰ると、みんなで分け合って食べていた。そこには老若男女の差はない。マンモスを狩った男が独占することなどない。

しかし、最近は努力した者だけが潤えばいいという考え方がある。実力で勝負して負けても自己責任だという。しかし、人間というのは一人で生きている人などいない。みんなで運命を共にしながら社会で生きているのだ。

国家の役割として分配は外せない。日本人は沖縄から北海道あたりまでがだいたい仲間だと考えている。同じ日本語を話し人種もほぼ均等だ。ひとつの巨大な村であり、運命共同体なのだ。個人と国家の関係を見つめ直す時期に来ているのではないだろうか。


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