GDPとは何か?

経済を理解する上でGDPは重要な概念です。GDPとは、Gross Domestic Productの略で、一定期間内に国内で産み出された国内総生産のことをいいます。

 

たこ焼き屋さんが150円で原材料を仕入れて、400円のたこ焼きを売ったとしたら250円の粗利益がでます。この粗利益がGDPにカウントされます。どんな商売でも仕入れと売り上げがあり、日本全体で一年間をトータルしたものがGDPということになります。ちなみに日本国内で外国人が働いた分もGDPにカウントされますが、日本人が外国で働いたものはカウントされません。これは国内総生産というように日本国内の活動を対象としているため、必ずしも日本人である必要がないためです。

 

たこ焼き屋さんの粗利益である250円というのは、粉を混ぜて焼いてパックに詰めるという作業の対価です。これを付加価値といいます。自分で作れば粉を混ぜて焼いて皿に盛るという作業を行わなければならないのですが、たこ焼き屋さんが作ってくれているのですぐに食べられるのです。
発展途上国に比べると、日本はこの付加価値であふれています。最近、街中で見かけるマッサージも物を生産している訳ではありませんが、マッサージというサービスを生産しています。30分で2980円といったところでしょうか。揉んでコリをほぐすというサービスに対して私たちは対価を支払う訳です。マッサージや美容室は仕入れの部分がありませんので、粗利益が高くなる傾向があります。2980円がそのままGDPになるということです。
また、嵐のコンサートも物を生産している訳ではありませんが、音楽と嵐のメンバーと共にひと時を過ごすという価値を提供しています。これも一つの豊かさですのでGDPに計上されます。このように様々な材やサービスが日本では生産されており、そのために経済大国と言われています。お金を持っているからではなく、様々な物やサービスを生産することができるのが経済大国の条件です。

サウジアラビアは石油を輸出しているため、大量のドルを持っています。そのため、教育、医療、福祉など無料でサービスを受けられますが経済大国とはいいません。お金持ちであることは間違いありませんが、サウジアラビア国内で生産できる物が少ないためです。なので、生活用品など多くを輸入に頼っています。

世界一の経済大国はアメリカです。アメリカでは様々な物やサービスが日本の約4倍生産されています。人口が3億人以上いて、そのほとんどが日本人と同程度の教育があります。物やサービスを生産するには技術や知識が必要になります。たこ焼きならどの国の人でも作れるかもしれませんが、より高度な技術が必要な工業製品などは、高い専門性をもった人材が必要になります。そのため、日本人のような教育水準があり、そして人口も多いアメリカが世界一の経済大国になるのは当然かもしれません。

デフレは貨幣現象か需給のバランスか

デフレの原因として貨幣現象なのか、それとも需給のバランスかという議論があります。

貨幣現象という主張はアメリカの元FRB議長ベン・バーナンキ氏や内閣参与の浜田宏一氏など、いわゆるリフレ派が主張している理論で、通貨発行量によって物価が決まるという考え方です。

たくさんあるものの価値は下がるという原理があります。例えばダイヤモンドは希少だから価値があるのであって、どこでも採れるのであれば、そこまで高価な鉱物にはならなかったでしょう。お金にしてもアルバイトの時給が1万円の世界ではおそらく物価が高くなるはずです。簡単に1万円が手に入るのであれば、そもそも1万円の価値はそれほど高いものではないということになるからです。なので、お金を発行すればデフレは解決するというのが、リフレ派の主張になります。その原理をもとに日銀は金融機関がもつ大量の国債を買い取って現金を供給しました。

一方で、需要と供給のバランスで需要が不足するために、デフレが起こると考えるのが需給バランス派の考え方になります。こちらはケインズが主張した理論です。

例えば、野菜が不作になると供給が不足して値段が上がります。逆に供給過多になると値段が下がります。つまり、需要が不足するためにデフレになったということです。国内には家計、企業、政府という3つの経済主体があり、この3者それぞれに需要があります。家計は生活をするためにいろいろなものを購入しますが、所得の伸びが悪いので個人消費は減少傾向にあります。企業はそういった家計の支出の動きを察知して、新たな工場や機械の導入を手控えています。新しい設備投資は一種の需要になりますので、ここが減ると物価が下がるというわけです。また、政府も財政赤字を削減するために公共投資といった政府支出を削減しています。つまり、3者とも需要縮小しているので、それがデフレの原因というわけです。

では、どちらが本当のデフレの原因でしょうか?

実はこの二つの理論には少しずつ欠点があります。

リフレ派の主張するお金を発行すれば希少価値が下がってインフレになるという部分は、あくまで「全員にお金が供給されれば」という条件付きになります。誰しもが簡単にお金が手に入ることによって、お金の希少性が薄れるのです。金融機関が大量に保有する国債を日銀が買い取って現金を発行したとしても、銀行や生命保険といった金融機関にお金が入るだけであって、預金者や国民に現金が支給されるわけではありません。

その点、バーナンキはヘリコプターからお金をばらまけばインフレになると、理屈に沿った的確な表現をしています。つまり、ヘリコプターからまくようにみんなにお金が行き渡ることが大切だと言っているわけです。

一方の需給バランス派の理屈にも少しおかしいところがあります。昔は大根一本10円くらいだった時期もありました。現在では100円程度です。インフレによって物価が上昇した結果ですが、需給バランス派の主張だと天候不順による不作で値段があがる場合と、インフレによる価格の上昇は本質的には同じということになります。10円から100円に価格が上昇したのは、供給が減ったか需要が劇的に増えたことによるもので、昔に比べて大根が手に入りにくくなったことを表します。しかし、大根が手に入りにくいという話は聞いたことがありません。

価格はモノと通貨の価値を付き合わせて決定されます。大根が希少なら大根の価値が上がり、通貨が希少なら少ないお金で大根が手に入ります。リフレ派はお金の価値に注目して、需給バランス派はモノの価値に注目しているという点で実はそう本質的に食い違っているわけではありません。

強いて言うならデフレは全てのモノの値段に影響することから、お金の価値が高まることで起こる現象といえるでしょう。つまり、リフレ派のいう通貨供給量の少なさがデフレを誘発しているということだと考えられます。

日銀の金融緩和は金融機関にはお金が供給されますが、国民の財布に入るわけではありません。大切なのはお金の希少性が薄れることですので、消費税の減税や財政支出の増大などお金がなるべく多くの人に行き渡る施策が必要です。流行りのベーシックインカムなどもデフレには有効だと考えられます。