老後が不安でも、財政再建はやってはいけない

選挙が終わるやいなや、たばこ税の増税や所得税控除の引き下げのニュースが出てきています。また、自民党の公約である、2019年の消費増税による教育無償化などが現実のものとなってきました。テレビや新聞では、財政再建待ったなしの論調で溢れています。政府の財政赤字が地方を合わせて1200兆円を超えているわけですから、通常の感覚なら、少しでも減らすべきだと考えることでしょう。

税収は毎年50兆円そこそこですから、そこからやりくりして10兆円ずつ返したとしても120年はかかるわけです。また、その間には利子も発生するので、実際に返済する額はもっと多くなります。消費税を上げてでも借金を返済すべき、という論が出てくるのも仕方ないと思います。

でも、実はこれって返す必要がない借金なのです。一般的に借金というと必ず返すもの、という思い込みがあります。それはあくまで個人の話であって、企業や政府には当てはまりません。

返さなくていい借金

借金は返すものという思い込みが誰しもあります。私もそうでした。でも、これは個人の場合限定なのです。お金を貸す人の立場になって考えるとわかりますが、貸す側の人は利子を稼ぐために貸すわけです。利子がもらい続けられれば、いつまででも借りてもらいたいし、もし返済されたら新たな借り手を探すでしょう。

もちろん、必要になったときはかえしてもらうわけですが、いつでもすぐに返してもらえるなら、貸しっぱなしでも困ることはありません。

個人に貸す場合は寿命がありますので、死ぬまでに返せる額ということになります。もし、不死身の人がいれば、サラリーマンでも10億くらい借りられるのではないでしょうか。

これが企業や政府になると、ある意味不死身となり、特に政府は永続性が顕著ですので、途方もない額の借り入れも可能になります。もちろん、個々の借金には期限があり、返済は行われますが、返済するお金も借金によって行われます。なので、表面上はいつまでたっても、借金の総額は減らないのです。これは個人なら多重債務になって、即破産への道のりです。

企業は成長するにつれて、借金が多くなる傾向があります。トヨタ自動車は創業以来借金が増え続けて、現在では19兆円の借金があります。政府や大企業の負債というのは増えることはあっても、減ることはまれなのです。

外国との比較

安部政権はプライマリーバランスの黒字化を2020年に予定していました。つまり、支出と収入のバランスを黒字化して、借金返済を始めるのが2020年ということです。

下のグラフは日本の財政赤字を示しています。


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キレイに借金が膨らんでいます。予定では2020年からこのグラフが右肩下がりになるということです。ここで少し他の国と比較してみたいと思います。G20の先進国と比べてみましょう。ざっと眺めるだけで結構です。



















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あれ?と思いませんか?サウジアラビアを除いてほぼ全て右肩上がりになっています。これは、G20が特殊なのではなく、世界中の国のほとんどで、財政赤字は増えているのです。

世界的に見ると、財政赤字は増えるのが普通であり、減っているところは例外といえるでしょう。歴史的にも建国以来、財政赤字が減っている国はほとんどありません。

安倍さんはこれを2020年から右肩下がりにしようとしているわけですから、どれほど異様なことかご理解いただけるのではないでしょうか。

社会保障費はどこからでるか

今後、長期的な社会保障はどのように負担されるべきでしょうか?

これは、結論からいうと公債、つまり借金によって捻出されるというのが答えになります。G20の政府債務残高からもわかるように、多くの国が公債によって行政を維持しています。

これを将来世代へのツケの先送りという言い方をすることもありますが、政府に貸しているお金はもともと国民のお金です。私たちの祖先も政府にお金を貸していますが、未だに返済はされていません。銀行や生命保険に預けている私たちのお金も、政府に貸し付けられています。おそらく、私たちの子孫も私たちと同じように銀行預金を通じてお金を政府に貸すはずです。

政府は借りたお金によって社会保障や公共事業といった必要な支出を行います。病院やなどに支払われた政府が支出したお金は、紆余曲折を経て再び私たちの預貯金になります。つまり、私たちから借りたお金が政府によって使われて、再び私たちの所へ帰ってくるということを延々続けているのです。

政府の財政赤字を増やしながら私たちの資産を形成していくというこの方法は、歴史的、世界的な標準であり、借金というだけで恐れる必要はありません。むしろ、これは持続可能なシステムであり、将来にわたって私たちの社会保障を維持していくでしょう。

その影響として、物価の上昇が起こります。今、100円位するアイスも、昔は10円で売られていました。昭和のモノの値段が安かったのは、マネーの量がそれだけ変わったことを示しています。今後も物価が上がり続けて、政府債務残高も増えて、私たちの社会保障を維持していくことが理想です。

しかし、現在は世界的な低物価です。つまり、それだけ世界中の政府支出や社会保障の削減といった、弱者を切り捨てる方向に行っていることを示しています。

まとめ

政府の財政赤字は増えるのが普通であり、老後のために財政再建をするのは、ナンセンスというほかありません。G20を見ても財政再建と言っている国など日本くらいのものです。

基本的に行政コストは公債から支出して維持していき、財政赤字は増えていくものです。その結果、物価の上昇が起きます。翻って、政府がきちんと社会保障などの手当てを行っているかを物価をみることで判断できるということです。

ビットコインが値上がりするわけ

ビットコインが60万円を超えて値上がりを続けています。一説にはバブルという説も出てきました。以前、ビットコインについての記事を書いたときは3万円台だったので、あのとき買っておけばと少し後悔しています。しかし、ここまで上がると怖くて手が出ません。

値上がりする理由

ビットコインが値上がりする理由は、以下の二つに集約できます。

・普及する途上にある
・ビットコインは発行上限がある

ひとつにはビットコインが普及する途上で、まだ全ての人に行き渡っていないということがあります。任天堂スイッチと同じ状態ということですね。それまでは急速に上がり続けるかもしれません。

それがどこまでか?は誰もわかりません。ビッグカメラなど一部のリアル店舗でも取り扱いが始まっていますので、今後、ビットコインが普段の生活になくてはならないものになるかどうか、によっても変わるでしょう。

限りあるものは価値がある

ある程度浸透して、価格が安定してきたとしても、その後もじわじわ上がることが予想されます。

図でいうとこんなイメージです。

ドルやユーロ、円といった法定通貨の発行上限はありませんが、一方のビットコインは2100万コインまでと上限が決まっています。ビットコインにはインフレを防ぐための上限があるのに対して、法定通貨には上限はありません。それがビットコインのレートをあげ続ける原因になると考えられます。

法定通貨はこれまで通貨発行や信用創造によって大きく膨張しており、今後も続くと考えられます。数に限りあるビットコインは、法定通貨が増えれば増えるだけ、値上がりすると予想されるのです。

これは物価一般に当てはまる話でもあります。ラーメン一杯100円の時代もありました。ラーメンが現在の値段なのは、銀行による信用創造や政府支出の増大などで円が膨張したためです。

金に似ているビットコイン

ビットコインとよく比較されるものの1つに金があります。

1971年に金本位の制度が終わってからの長期チャートになります。


1グラムあたりの金額(円)田中貴金属さんよりお借りしました

金市場ができてから1980年までは怒涛の値上がりですが、その後は冬の時代を迎えて2000年を境に上昇しています。チャート以前も金の売買は行われており、田中貴金属さんのデータによると1947年は150円だったようです。トレンドとしては上がり続けているのですが、1980年以降の値下がりはあまりにも長く深い谷です。

金のチャートはビットコインの今後を暗示しているような気もします。ただ、長期的には法定通貨が膨張し続ける限り、値上がりに上限はないと考えられます。金もビットコインもトレンドとしては上がり続けます。

ビットコインのリスク

ビットコインは理論上は値段が上がり続けるのですが、逆にそれらの前提が崩れた場合は値下がりします。

・発行上限の撤廃
・他の仮想通貨の存在
・デフレ

まず、発行上限撤廃の可能性があります。ビットコインは人が作ったものなので、技術的には可能です。今までもそういった議論がなされたことがありますので、今後、絶対に上限撤廃がないとは言い切れません。もし、上限が引き上げられたり、撤廃されるようなことがあれば、間違いなく値下がりします。

また、仮想通貨はビットコインだけではありません。イーサリアムなどの仮想通貨も徐々に広まりつつあるので、もし、そういった新興の通貨に人が集まれば、ビットコインの値下がりに繋がります。

あと、デフレですが、デフレになると法定通貨の価値が上がりますので、これまたビットコインの値下がりに繋がります。デフレというのは通貨の稀少価値が高まる現象ですので、ビットコインのレートも上がらなくなるというわけです。世界的に低物価ですので、今後足踏みすることも考えられます。

しかし、これからビットコイン決済ができる店舗等が増えてくるなら、普及していくパワーによって、しばらく値上がりしていくかもしれません。

まとめ

ビットコインが値上がりする理由は、まだ持っていない人が買うためと、あと、法定通貨は増え続けるのに対して、ビットコインの発行上限があるためです。逆にいうとこれらの前提が崩れれば、値下がりに繋がるということですね。

個人的には他の仮想通貨が、ビットコインのシェアを奪う可能性が高いのではないかと思います。後発のほうが技術的には上になりますし、ビットコインの開発者は100万コインを持っているらしいので、現在、その資産価値は5000億円にもなります。これはずるいというか、おいしい話なので、他の人が放っておかないような気がしますね。

ロシアなんかは国家をあげて仮想通貨を作っているらしいので、今後どうなるかは全く読めません。というわけで、金かビットコインを選べと言われたら、私なら金に投資します。でも、余裕があるならETFを買い増したいです。

経済成長とはなにか?

経済成長とはGDPが成長すること

突然ですが、経済成長とはなんでしょうか?結論から言うと、経済成長というのはGDPが成長することということです。うーん、でもGDPっていうのがイマイチピンと来ないんだよね、という人もいらっしゃるかと思います。

日々、私たちはイトーヨーカドーやAコープといったお店で買い物をしますが、売値から仕入れ値を引いた粗利がGDPの部分だと思ってください。

60円の商品を仕入れて100円で売るとすると、40円の粗利益になります。この40円がGDPに計上される部分です。難しくはないですよね。

40円はお店に並べてお客さんが買い物をしやすいようにしたり、お客さんの自宅付近に店舗を作ったりする資金になります。つまり、サービスを提供することによって得られる対価です。綺麗で身近にある店舗や商品ごとに整理されて陳列されている棚など、誰かがはたらくことで維持されています。いわゆる付加価値というものです。

誰も何もしなかったらメーカーをネットで検索して、直接取り寄せなければいけないのでめんどくさい限りです。しかし、お店が色んなメーカーを取り揃えて、しかも整理して比較しやすいようにしてくれています。そういった小売サービスに対して私たちは対価を支払っています。この部分が労働によって生み出された付加価値です。

日本国内で1年間にどれだけの付加価値が作り出されたかが、GDP(国内総生産)です。この付加価値が多くなれば多くなるほど便利で快適な世の中だよね、ということになり、経済成長が大切だといわれる所以です。服にしてもパソコンにしても元になる部品や原材料を仕入れて、加工、販売するはずです。

また、輸出額から輸入額を差し引いた額を純輸出といい、これもGDPに加算されます。2016年は86.7兆円の輸出に対して、81.5兆円の輸入を行っていますので、差し引き5.2兆がGDPに計上されました。

GDP(国内総生産) = 国内で生産された付加価値 + 純輸出

2016年の名目GDPは537兆円でしたので、貿易黒字が占める割合というのは1%にも満たないということになります。貿易赤字になればその分、GDPは下がることになります。

国内で生産された付加価値は更に民間と政府に分けることができます。例えば行政サービスもサービスですので付加価値ということになり、GDPに計上されます。ただ、警察に犯人を逮捕してもらったからといって、お金を払うわけではありません。売り上げと仕入れの原則に反するわけですが、公務員が提供するサービスは、支払われた給料がそのままGDPとして計上されるようになっています。また、公共事業などの政府支出なども含めて政府支出はGDPを構成する重要な要素になります。

GDP(国内総生産) = 民間による付加価値 + 政府による付加価値 + 純輸出

経済成長とはこのGDPが毎年上がっていることを指します。過去、10年間の推移を見るとある程度は順調に上がってきていることがわかります。


内閣府(国民経済計算より)名目GDP暦年(兆円)

2008年の秋にリーマンショックが始まって、翌年は落ち込んでしまいました。回復基調になるまで4年はかかっています。2015年にようやく元の水準に戻ってきたというところです。

経済は成長しているけど・・

こうしてみてみると、リーマンショックという外的な要因を除けば、そこまで経済状態が悪いというわけでもありません。ただ、生活者の実感としては景気がいいと感じる人は、一部なのではないかと想像します。非正規雇用の拡大や過去46年で最低の労働分配率などがその原因として考えられます。

大学生の二人に一人がローンを背負って卒業するといわれています。こういったことからも決して国民すべてが豊かに生活しているとは言えません。親の所得が低いのは非正規雇用だからというわけです。日本全体としてはGDPも回復してきて絶好調のようですが、いわゆる格差の問題はこのグラフからは読み取れません。

そもそも、国内の豊かさを測るために考えられたGDP(国内総生産)ですが、格差という内部的な偏りには対応していないという問題があります。同様に株価も庶民の暮らしと直接的に関連しません。経済成長しているから、経済政策は成功だと考えるのは早合点であり、もっときめ細かく見ていく必要があると思います。

カタルーニャの分離独立運動

スペインのカタルーニャ州

スペインのカタルーニャをご存じでしょうか?最近、ヤフーニュースでも独立するかも?ということで話題になったところです。

スペインはアメリカと同じように17の州からできている国で、スペイン全体の人口4600万人のうち、700万人がカタルーニャ州に住んでいます。スペインのGDPの2割を占める、経済的に発展した州でもあります。日本でいうと、ちょうど東京のようなイメージでしょうか。東京が日本から独立するというのはインパクトありまくりですね。

州都はバルセロナでサグラダファミリアのあるところです。サグラダファミリアって、少し前までは完成までに数百年かかるといわれていました。生きているうちに見ることができないんだと思ってましたが、今は3Dプリンターでガシガシ作っていて2026年には完成するらしいですねww技術の進歩は素晴らしいと思います。

独立の理由は経済的行き詰まり

なぜ、独立しようとしたかですが、直接的な原因は経済的な行き詰まりということが言えます。

カタルーニャ州はスペイン中央政府に多額の税金を納めていますが、その見返りがあまりないのが不満だったようです。東京も日本のGDPの3割を稼ぎだして、国税として10兆円くらいの税収のある地域ですが、地方交付税は1円ももらっていません。ただ、それで東京が日本から独立する話なんて、聞いたことないですよね。

もともとスペインは地域によって言葉や民族の違いがあります。スペインにはカタルーニャ人、バスク人、バレンシア人などが集まってできた国です。なので、日本のような単一民族ではありません。

スペインの失業率は20%を超えており、若年者の失業率は50%を越えていて、日本よりひどいデフレに苦しんでいます。日本はデフレでありながら人手不足です。ふつうはデフレになると仕事がなくなるのですが、日本の場合は高齢化が進んでいて、労働人口が少ないので例外といえます。スペインでは仕事がないのです。

仕事がないうえに、自分達が納めた税金がよそのカタルーニャ民族でない人々にばらまかれたと思うと、いてもたってもいられなくなったというのが実態のようです。カタルーニャに負担ばかりが押し付けられている、という思いがあったのでしょう。

EU加盟がもともとの原因

政府は一般的には不景気になると、公共事業を増やして景気を下支えします。小学校のころ習った記憶はないでしょうか?

しかし、EUは加盟国にたいして欧州連合条約(マーストリヒト条約)で、財政赤字はGDP比で60%以内と決めています。日本は200%を超えているのでかなり厳しい基準です。EU加盟国は不景気でも、60%以上の財政赤字があると景気対策ができないのです。

また、通貨がユーロのため、以前ならスペインの旧通貨であるペソを発行して金融緩和していましたが、ユーロの通貨発行権はEUにあるので金融緩和することはできません。アベノミクスの第一の矢である、黒田バズーカのようなワザが使えないということですね。

以上のような理由で、スペインにかぎらずヨーロッパ全体の失業率は、10%を越える慢性的な不景気に陥っています。EUに加盟している国は、財政出動も金融緩和も縛りがあるためです。

経済と政治は不可分

日本の場合は東京の人も北海道の人も、同じ日本人という認識があるので、東京の税金が北海道で使われたとしてもさほど問題視しません。

もともと、東京は地方出身の人が多いというのもありますし、日本の国の歴史が長いために、1つの国民としてのまとまりがあるからというのもあります。なので、再分配するにも抵抗がないわけです。

しかし、カタルーニャの場合は他の地域とは言葉も風習も違うために、自分達の税金が他の民族のために使われるのは抵抗があったと考えられます。

まして、経済対策ができずに不景気なわけですから、そのストレスが爆発したというのが今回の国民投票になったということです。

選挙公約はここを見とけというはなし。

選挙演説では政策はわからない。

また、衆議院選挙がありますね。こないだ内閣改造したばっかりなのに、気の早いことです。去年、福岡6区では鳩山邦夫さんが亡くなられて補欠選挙があったので、色んな候補者の演説を見に行きました。

補欠選挙は党の大物が来るんですね。それこそ麻生太郎や小池百合子といった誰でも知ってる政治家が日替わりで来ます。あ、テレビで見たことある!というのが楽しくて5回は行きました。

全国一斉だとこうはいきませんが、補欠選挙だと候補者にこれでもかと党幹部が愛情を注げるというわけです。ただ、その時思ったのは、

「久留米の皆様のために一生懸命頑張ります。」

「鳩山二郎、鳩山二郎をよろしくお願いします。」

という名前の連呼や、がんばりますコールのオンパレードばかりということです。

麻生さんは候補者に政策は一切言うなと、指示してるみたいです。ご本人が演説でおっしゃってましたw一年目で政策なんて出来やしないから、というのがその理由らしいです。公衆の面前でよく言うなという感じですが。

これでは政策的なことは、全くわかりません。やはり、党のサイトで公約を確認する必要があります。

公約のここを見る

私が公約を見るときは、全体的な税負担と政府支出のバランスを見ます。個々の政策ではなく、トータルで気前がいいのか悪いのかというところです。

自民党は消費税増税の使い道について、私立高校の無償化や全世代型の社会保障の充実をやります!と主張しています。まあ、払った人に戻るというだけですよね。

希望の党は消費税増税は凍結して企業の内部留保に課税すると言っています。内部留保に課税するくらいなら、法人税を上げれば良いような気もしますが。

これらは全部、枝葉に過ぎません。大切なのは全体としてのお金の使い方なのです。消費税を上げて私立高校を無償化するのと、消費税増税は凍結するけど、内部留保に課税するのはどちらがより良いのか?

はっきりいって比べようがありません。個々の政策を散発的に並べても、全体の収支が見通せないからです。全体の予算をどう考えているかが重要なのです。税金をどのくらいとって、どのくらいの支出を予定しているか?です。

自民党は歳出削減に血道を上げており、2020年までにプライマリーバランスを黒字にすると宣言していました。最近少し路線変更したようですが。そして、消費税増税をするので、全体としては支出を減らしつつ、増税ということになります。

これでは国民は貧困化しますね。税金を多くとられて、再分配はほどほどにというわけですから。経済政策だけでいうなら、自民党には入れられません。

希望の党は、財政出動に頼らない経済運営をすると、はっきり公約に掲げています。消費税増税は凍結と言ってますのが、あくまで凍結ですので、いつ解凍されるかはわかりません。また、内部留保に課税するので、全体としては緊縮財政と増税のペアということになります。これは自民党と同じですね。

経済政策は落第です。

いくら待機児童ゼロとか言ったところで、財布の中身は減りますよということです。これはイヤですよね。歳出削減と増税のコンビネーションは私はイヤです。イヤイヤです。

第三極となった立憲民主党は、農業者戸別所得補償制度の法制化や自治体への一括交付金の復活といったことしかわかりませんが、これだけを見れば支出を増やすようにも思えますし、共産党と連携してきているので、そんなに緊縮はやらないと想像します。

というように、全体的な税負担と政府支出のバランスがどうなるのか?を注意して見るようにしてみて下さい。

公約の羅列をジーっと見ても、どこがいいのかはわかりませんので。今回は比例は立憲民主党、小選挙区は共産党にしようかと思います。

希望の党の公約はなぜダメなのか

ユリノミクスの中身は?

衆議院選挙が10月22日に行われます。新たに小池東京都知事を代表とする希望の党が結成され、旧民進党から多くの議員が移籍するなど、政局が慌ただしくなっています。ただ、こういったときこそ政党の訴える政策を冷静に考えるべきです。希望の党は9の公約と12のゼロという政策を打ち上げており、総体としては小さな政府を目指しているということが言えます。

ただ、小さな政府を目指しているのであって、小さな政府ではないということを断っておきたいと思います。

「徹底した規制改革と特区を最大活用し、民間の活力を生かした経済活性化を図ります。」
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。」希望の党HP抜粋

小さな政府では政府はなるべく市場に口出しするのは控えて、民間企業の自由な経済活動を見守るという立場をとります。そのため、財政出動に過度に依存しないということが公約に掲げられているわけです。

ただ、希望の党の推進が推進しようとする小さな政府には矛盾点があります。2019年10月に10%引き上げが予定されている消費税ですが、小さな政府なら引き下げるか廃止の方向に行かざるを得ないからです。

財政出動を削減して、同時に減税をするというのが小さな政府のパッケージになります。共産党や社民党といった大きな政府を志向する政党なら、拡張的な財政出動を行いつつ増税となります。現状では消費増税は凍結するという煮え切らない態度をとっていますので、選挙の結果次第では増税に舵をきることは十分に考えられます。

アベユリでは庶民は置き去りに

もし自民党や希望の党のような緊縮的な財政政策をとりながら、かつ、増税という矛盾した政策をとる政党が政権を取った場合は、デフレが継続することになります。つまり、景気がいい景気がいいといわれながらも、庶民にはさっぱり美味しい部分が回ってこない経済ということです。

緊縮的な財政政策をとりながら増税しますので、当然といえば当然な結果です。こういった矛盾した政策をとるのには理由があります。

すべては財政再建のために

自民党も希望の党も小さい政府を志向していながら、なぜ増税という矛盾した税制を行うかというと財政再建のためです。中央と地方を合わせた公的債務は1200兆円を超えており、将来へのツケは減らさなければならないといわれています。

ただ、財政赤字が膨らんでいるのは日本だけではありません。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツなどすべて財政赤字は拡大しています。

アメリカ

カナダ

オーストラリア

ドイツ

そして日本

世界経済のネタ帳さんからお借りしました

先進国に限らず、発展途上国でも同様の傾向がみられます。すべての国は建国以来、右肩上がりに政府の債務は増え続けるものなのです。自然現象といってもいいでしょう。しかし、日本は2020年までにプライマリバランスをプラスにして、このグラフを右肩下がりにしようとしています。

財政支出を削減しながら増税をするのは国民を打ちのめすだけの政治であり、小さい政府でもなんでもありません。財政再建はやってはいけないのです。世界には200近くの国がありますが、政府債務が右肩下がりになっているところなどひとつもありません。それくらい財政赤字を削減するというのは尋常でない政策ということになります。

ベーシックインカムの甘いささやき

希望の党はベーシックインカムの議論も進めると公約にあります。国民全員(1億2千万人)一人当たり毎月5万円といった給付を行うものを、ベーシックインカムといいます。希望の党の基本路線はあくまで小さな政府ですので、ベーシックインカムを実施するとしたら、その分、既存の社会保障が削減されることが予想されます。

おそらく、ベーシックインカムを実施後の政府支出は、今よりもコンパクトなものになるでしょう。極論を言うと、医療費や国民年金といった社会保障はすべて廃止されてベーシックインカムでどうにかしようね、ということです。若くて健康なら良いでしょうが、高齢で病気がちの人にはきつい制度です。

本来、社会保障というのは、弱った人のためのものですので、そもそもといったところで疑問のある制度ではあります。むしろ、ベーシックインカムを導入するよりは、消費税を廃止するほうがすっきりするのではないでしょうか。

ベーシックインカムは全員一律ですので、制度管理などが簡略化されるのでコストがかからないというメリットがあります。しかし、政府全体の支出は削減の方向に行くのは間違いないので、やはり病気などの不測の事態に陥った時にどうするのか?が問われると考えられます。

客寄せパンダの12のゼロ

待機児童ゼロやブラック企業ゼロなど12のゼロの部分は一つ一つの政策に反対する人はほぼいないでしょう。花粉症ゼロや満員電車ゼロなどどうやって実現するのか???なものもあります。問題はいかにしてこの12のゼロを達成するか、という方法が明記されていないところです。

12のゼロ

原発ゼロ
隠ぺいゼロ
企業団体献金ゼロ
待機児童ゼロ
受動喫煙ゼロ
満員電車ゼロ
ペット殺処分ゼロ
フードロスゼロ
ブラック企業ゼロ
花粉症ゼロ
移動困難者ゼロ
電柱ゼロ

やはりここでも基本となるのは、財政に頼らずにどれだけできるのか?というところです。小さい政府を目指す以上は余計な支出は控えなければいけません。電柱ゼロを実行するのにはお金がかかるわけですが、ベーシックインカム同様、増税かほかの予算を削って実施することになるでしょう。どこかにしわ寄せがくるわけです。

希望の党とは

経済政策に関して言えば、希望の党は小さな政府のふりをした、国民いじめの党になる可能性があるといえます。これは現政権である自民党も同様です。財政再建にこだわって緊縮財政 + 増税というありえない政策を打ち出す以上、そう評価せざるを得ません。財政再建という発想をやめない限り、日本がデフレから脱却して、みんなが経済的な豊かさを感じることのできる社会は、絶対に来ないでしょう。

希望の党の経済政策上は以上のようなことが言えるわけです。他にも見るべきポイントはありますので、総合的に判断して投票していただきたいと思います。

日本はまだ経済成長できるのか?

古い経済発展のイメージ

第二次世界大戦後、日本は高度経済成長をしました。昭和40年代初めは、3Cと言われたカラーテレビ(Color TV)、車(Car)、クーラー(Cooler)が豊かさの象徴として家庭に普及していった時代です。

東京オリンピックを境に日本は急激に経済的な発展を遂げます。その頃は新幹線や高速自動車網といった、インフラの発展も目覚しいものがありました。こういったイメージがあるせいか、日本はこれ以上発展しないのではないか、と感じる人も少なくありません。

戦後の焼け野が原から、綺麗な建物が立ち並ぶ町並みや、整備された道路へ発展するには伸び代があるように思われます。しかし、今の日本から更に発展するとなると、なかなかイメージが湧き難いからです。

確かにモノは十分にあり、生活に困ることはないかもしれません。これ以上発展しなくても良い、と考える人もいるでしょう。

しかし、一方で豊かな国であるはずの日本に、貧困の問題がでてきています。所得の低い人にとっては日本が豊かであるというのは、どこか別の世界の話であるように感じるかもしれません。

貧困問題は経済発展のチャンス

所得の低い人たちがいるとういうことは、それだけ日本には経済発展する余地がある、ということでもあります。所得が低いばっかりに諦めている住宅や教育の機会など、それだけ経済発展の可能性があるからです。

そのためには労働者の4割を占める非正規雇用という働き方に、政府が真剣に取り組む必要があります。最低賃金を上げるだけにとどまらず、雇用形態や労働分配率の改善といった取り組みが必要です。不足しているところにお金を還流させることで、より日本を豊かにしていくことができます。

高度成長期はよくストライキがありました。小学校の先生なども賃上げ要求して、授業をボイコットしたりしていました。今の世の中でそこまでするのは難しいですが、昭和の労働者はしたたかで、明るさがあったように思います。労使の力関係も今のままで良いのか、考えていく必要があります。

災害対策やインフラへの投資が必要

また、最近は地震や台風、水害といった自然災害が多く発生しています。台風が日本列島を通過すると必ずと言っていいほど亡くなる方がいます。河川の洪水対策や建物の耐震化などは、まだまだ始まったばかりであり、やろうと思えば山のように仕事はあります。

インフラのバージョンアップというのは今からの課題です。ようやく実現したリニアの普及や、車の渋滞問題も解消しなければなりません。

休みの日にどこか行こうと思っても、思いのほか渋滞がひどくて、時間ばかり経ってしまうことがあります。これもインフラの投資不足が原因であり、スムーズに車が流れればそれだけ経済効果も高まります。被災者ゼロ、渋滞ゼロ、を目指してより質の高い社会資本整備を行う必要があります。

2016年はヴァーチャルリアリティ元年だそうです。また、AIやロボットといった、新たな産業が芽吹き始めています。自動車の自動運転もかなりのレベルまできており、東京オリンピックでは自動運転のタクシーを導入すると政府は公言しています。

社会資本整備や新しい分野の経済成長は今からです。高度成長期の数倍、数十倍のポテンシャルを秘めている。そう考えても間違いなさそうです。

そもそも経済とは

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国家と経済

経済を考えるときに、どうしても避けては通れない要素がお金です。お金はどこからやってくるのか?お金になぜ価値があるのか?

こういった基本的な部分を抜きに、経済を考えようとしてもうまく考えがまとまりません。経済を考えるには事前にお金の本質を理解しておこう、ということです。お金のことを理解するにはまず、日本という国を理解する必要があります。国家とはなんでしょうか?

Wikipediaによるとつぎのようにあります。

国家(こっか)とは、国境線で区切られた領土に成立する政治組織で、地域に居住する人々に対して統治機構を備えるものである。 領域と人民に対して排他的な統治権を有する政治団体もしくは政治的共同体である。

国家とは政治的共同体とあります。共同体というのはお互いの利害を共にして助け合う集団です。

地震などの災害が起これば被災した人を助け、歳をとって働けなくなれば年金を給付して生活を支えます。助け合うのは共同体の一員としての義務であり、また自分が困った状態になったときには助けてもらえるということでもあります。

共同体全体の利害調整を行うのが政府です。政府が音頭をとりながら、インフラ整備や治安維持といった行政サービスを行います。

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お互いに助け合うのが共同体ですが、ボランティアのように緩いものではありません。国によっては徴兵制があり、逃げたりすると重い罪に問われます。

みんなで必死に国を支えているのに、一人だけ逃げられたらたまりません。国家というのはある意味、血の掟で繋がった共同体とも言えます。

共同体に属する以上、公共的な仕事は全員の役目なのですが、政府は1つのルールを決めました。

それは、政府が発行する券を渡せば、公共の仕事をキャンセルできるというものです。この券は公共の仕事をした人に対して対価として渡されます。

ある程度、公共の仕事をすれば、それ以上はその券を使用することで減免されることになります。大量に持っていれば一切公共の仕事をする必要はありません。この券が紙幣です。

2年間の兵役もしくは100万のどちらかを、政府に求められるとしたらいかがでしょうか。徴兵制をお金で回避するのは倫理的に問題がありますが、お金の本質を表しています。

紙幣のもつ価値というのは、元をたどると共同体の一員としての義務を回避できるところにあります。公共の仕事の代わりにお金を支払って、国民の義務を果たすのが税金です。

公のために汗を流すのは尊いことですが、できれば休みたいのが人情です。公共の仕事以外に本業もあるので、みんなそれなりに忙しいはずです。本業が農業なら、生産した野菜と紙幣を交換する人もでてくるでしょう。本業に集中して、公共の義務は税金で支払うことが一般的になっていきます。

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政府はお金を発行しつつ、徴税によってお金を回収することで、国内経済を成立させています。通貨発行権と徴税権2つセットで行使することで、紙幣による経済が動き出すわけです。

政府が通貨発行すると説明しましたが、厳密には日本銀行が通貨発行や税金の管理を行っています。お札に日本銀行券と書いてあるのはそのためです。

政府支出と税収

政府は毎年、税金を徴収して予算を組んで支出します。基本的に税収より支出が多くなるように、毎年予算を組みます。もし、支出より税収が多いと、世の中から通貨が無くなることになります。政府は日本で唯一の通貨発行主体ですので、支出よりも税収が多ければ、いつか世の中からお金は無くなります。

単年度では支出<税収となることもありますが、基本的には支出>税収になります。このあたりが一般の家庭や企業と異なるところです。サラリーマン家庭が支出>収入といったバランスで生計を立てるのは不可能です。政府は不足額を通貨発行によって賄っており、その額は毎年10兆円を越えています。

実際には日銀が通貨発行を行っていますので、政府は国債を発行して日銀の用意した通貨と交換することで現金を調達します。これを日銀による直接引き受けといい、政府は通貨を得て日銀は国債を保有することになります。直接引き受けを財政ファイナンスと言ったりすることもあります。

政府は支出>税収を達成するために日銀による通貨発行と、市中の金融機関からの借り入れによって賄っています。

鋭い方はこう思うでしょう。

ある程度世の中にお金が回り始めたら、あとは支出と税収は同じくらいで良いのではないか?

確かにそんな気もしますが、以下の理由で出来ないようになっています。

経済活動を継続していくと資産が増える人、減る人、変わらない人がでてきます。国民全員が同額の資産を所有していれば、頭割りで徴税すればよいのですが、経済活動を続けるにつれて差がついていくので、中には支払えなくなる人がでてきます。

毎年、一定額の予算を執行するなら、払えない人の分はたくさん資産を保有している人に負担してもらわなくてはなりません。税金は平等に徴収するべきだ、とするなら政府の税収は徐々に減ることになります。支出=税収という前提であるなら、税収が減れば支出も減らさざるをえません。

政府の支出が減ると行政サービスが滞ることになるので、国民生活の質の低下を招くことになります。

そうはいっても支払えない人の分の税金まで、たくさん持っているがすべて負担するというのもおかしな話です。以上のことから支出=税収にしようとすると、お金持ちに重税がかかるか、行政サービスが貧弱になってしまうという問題がでてきます。

行政サービスの質を落とさずに、平等に徴税するにはどうしたらいいでしょうか?

答えは支出>税収にしてしまうことです。不足する予算は日銀による通貨発行で穴埋めします。毎年、世の中に出て行くお金が増えますので、徐々にインフレになります。インフレというと悪者のように思われがちですが、国民経済を成立させる一つの知恵です。

そしてインフレに

昔は大卒の初任給が1万円だった時代もあり、徐々にインフレが進んで今の水準になりました。税負担の平等性を考慮しつつ行政サービスを維持していくなら、今後もインフレが進んでいくことになります。

物価が上昇すると相対的にお金の価値が下がることになるので、お金を大量に持っている人にとっては好ましいことではありません。平等な徴税と行政サービス維持のために通貨発行を行いましたが、実はインフレはお金を持っている人にとっては負担なのです。実質的に税金を払っているのと変わらないために、インフレ税と言われています。

財政政策は、このインフレと税負担の公平性、行政サービスレベルのバランスをいかにとるかということが言えます。

行政サービスレベルが十分でインフレが進んでいれば富裕層にとって負担になりますので、税金を公平に徴収しつつ、財政支出を減らすことによって物価上昇率を下げる必要があるかもしれません。行政サービスの質が低く物価上昇率が低ければ、通貨発行によって政府支出を増やすか、富裕層の負担を増やす必要があるかもしれません。

難しいのはバランスの取り方に正解がないということです。インフレと行政サービスレベルと税の公平性は密接に関連していますが、これといった正解はないのです。3つのバランスはどのような世の中を私たちが望むか、政治的に決まることになります。

国債は暴落するか?

国債とは

国債が暴落するという本が本屋さんにあり、心配している方もいらっしゃるかと思います。結論から言えばファンタジークラスのことが起こらなければ、理屈からいって起こることはありません。理屈を説明する前に国債について少し触れておきたいと思います。

国債というのは、政府がお金を借りるときの借用証書です。政府は税収で行政を行っていますが、足りない部分は国債を発行してお金を借りています。平成29年度の一般会計では73兆円の支出のうち、10兆円が国債で補填されました。

国債は主に銀行や生命保険といった金融機関が購入しています。購入すると言ってもお金を政府に貸しているということです。金融機関が国債を買うときのお金は私たちの預貯金や保険の掛金です。

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預貯金や保険料は利子をつけて返さないといけないので、銀行や生保にとっては負債になります。利子をつけて返すには住宅ローンや企業向け融資といったもので、金利を稼ぐ必要がありますが、適当な貸出先が見当たらない場合、銀行や生保は国債で運用します。

本来なら3、4%くらいで企業などに貸したいところですが、デフレの経済環境の中で借りてくれるところが無いために、国債を買わざるを得ないというのが現状です。個人や企業に貸すと返ってこなくなる可能性もあるのですが、政府はほぼそういった心配がありません。

国債は誰が持っているのか

以上のような理由で、銀行や生命保険は国債を持たざるを得ない状況にあるということを踏まえて下の図をご覧ください。

財務省HPより

これは今までに発行された国債を誰が持っているかの内訳です(2017年6月末)。1084兆円のうち436兆円を日銀が保有しています。以前はこんなに大量に国債は保有していませんでしたが、アベノミクスの第一の矢である金融緩和でお金を市場に流したために大量の国債を保有することになりました。

国債が暴落するとしたら、誰かが投げ売りをしてくると考えられますが、日銀が投げ売りをしてくることはまずないでしょう。日銀が政府に反旗をひるがえして投げ売りにでるのは、九州が日本から独立するくらいの確立です。

二番目に多いのが国内の金融機関です。投げ売りたくても投げうる理由がありません。政府が貸し倒れになる可能性は低く、他に適当な預貯金の運用先もなければ売る理由がないからです。その次に多いのが公的年金と年金基金が77兆円持っています。公的年金が国債を投げ売りすることも、ちょっと考えられません。

あとは海外が117兆円分もっていますが、これはどうでしょうか?もしかしたら投げ売りを仕掛けてくるかもしれません。

国債が投げ売りにあったら

可能性は低いですが、万が一海外が投げ売りをしてくれば、国内金融機関が我先に買うでしょう。日本国内に出回っている国債は不足気味ですので、銀行や生保が喜んで買う可能性大です。

もし、それでも足りなければ政府が日銀に買わせることも可能です。すでに436兆円もっていますが、あと117兆を買い取ることは不可能ではありません。買い取る時のお金の出所は税金ではありません。日銀が新たに発行したお金です。その意味では制限なく素早くに買い取ることも可能です。

安倍政権は量的緩和を行っており、日銀が金融機関から国債を大量に買っています。年間80兆円ペースで国債を買い集めており、海外の保有者が全部売ったとしても、日銀が一年ちょっとで買い取れる金額です。日銀が量的緩和で国債を買っているので、国内は国債不足にすらなりつつあります。

また、仮に外国人が国債を売ったとしても、売って手に入れたお金はどこにいくのでしょうか?両替してドルにするかもしれません。両替をして円を受け取ったであろう金融機関は、両替した円をどこかに貸出すなり使うなりする必要があります。

タンス預金でもすれば別ですが、兆単位のお金は口座に入れて管理するはずです。銀行に預けるのであれば再び国債の原資になります。銀行に預けられたお金は運用難で国債を買うからです。国債を売ったお金は巡り巡って国債に向かうのです。

というわけで、日本円はどうあがいても再び国債を買う運命にあるということが言えます。銀行の口座に入るということは、そのまま国債購入に充てられるからです。

保有者の構成や保有している理由を考えると、投げ売りにあうというシナリオは、極めて起こりにくいということが言えそうです。

構造改革とは何か?

2000年代前半に小泉総理大臣が言っていた「構造改革なくして経済成長なし」という台詞を覚えていらっしゃるでしょうか。

構造改革とは具体的にどういうことを指すのでしょう。もともとはイタリア共産党の政治家が発言したのが始まりらしいのですが、日本で言われる構造改革は当時のものとは意味を変えて使われています。

現在の自民公明連立与党が行っている構造改革というのは、自由貿易、規制緩和、民営化の三つに分けることができます。

自由貿易

一般的に輸入品には関税がかけられて、国内の同一の製品に比べて割高になる傾向があります。関税には国内の産業を保護する目的がありますが、この関税を無くしてお互いに貿易を推進するのが自由貿易です。

食品の安全性に関する基準や医薬品の規制など、関税ではないけど国内の法律によって、輸入規制されているものもあります。これを非関税障壁といいます。そういった国内の非関税障壁を緩和してより貿易の拡大を図ろうとするのがTPPです。

規制緩和

2つ目の規制緩和は国内の様々な規制を緩和するということです。TPPの非関税障壁とも繋がる話ですが、電力の新規参入を行えるように法律を改正するなど、企業がより市場参入しやすい環境をつくりだして、企業のビジネスチャンスを増やすことができます。

また、国家戦略特区では地域限定で規制や税制を改革し、その効果を調べています。この国家戦略特区には,全国で6地域が指定されており、福岡市もそのひとつです。

天神や博多駅などの空港に近いエリアにおいては,航空機の安全な離着陸のために,航空法によって,建てられる建物の高さに制限がかかっています。従来76mの高さだったのを115mまで緩和して民間企業を呼び込もうとしています。

特区で試験的にその効果を確認して、結果次第では日本全体に拡大していきます。

民営化

最後に民営化です。郵便局や道路公団の民営化など、国や自治体が行っている事業を民営企業が行うことです。規制緩和と民営化は市場に参入する企業が増えることで消費者は選択肢が広がって、市場が活性化するねらいがあります。

構造改革というのは民間できることは民間にまかせて政府はできる限り経済活動に参加しないということが言えます。よく言われる小さい政府を目指すというのが構造改革ということです。

これはアベノミクスの第三の矢の成長戦略にもなっています。

構造改革の問題点

自由貿易でより多くの財やサービスが日本国内に輸入されれば、国内産業のバランスをとるのが難しくなります。安いからといって食料をすべて輸入に頼るのは、もしものときに食料が手に入らなくなったり、安全性のリスクがありますので、どこまで市場を開放するかは加減が難しいという問題があります。

適度な競争は進歩をもたらしますが、過剰な競争は企業に負担を強いることになり、無理なコストの圧縮やそれに伴う事故なども問題視されています。2016年に軽井沢スキーバスの事故により16人が亡くなる事故がありました。バス事業参入への規制緩和の影響や、人手不足による高齢者の深夜運転などが原因ではないかとも言われています。