老後が不安でも、財政再建はやってはいけない

マクロ経済, 政治, 社会

選挙が終わるやいなや、たばこ税の増税や所得税控除の引き下げのニュースが出てきています。また、自民党の公約である、2019年の消費増税による教育無償化などが現実のものとなってきました。テレビや新聞では、財政再建待ったなしの論調で溢れています。政府の財政赤字が地方を合わせて1200兆円を超えているわけですから、通常の感覚なら、少しでも減らすべきだと考えることでしょう。

税収は毎年50兆円そこそこですから、そこからやりくりして10兆円ずつ返したとしても120年はかかるわけです。また、その間には利子も発生するので、実際に返済する額はもっと多くなります。消費税を上げてでも借金を返済すべき、という論が出てくるのも仕方ないと思います。

でも、実はこれって返す必要がない借金なのです。一般的に借金というと必ず返すもの、という思い込みがあります。それはあくまで個人の話であって、企業や政府には当てはまりません。

返さなくていい借金

借金は返すものという思い込みが誰しもあります。私もそうでした。でも、これは個人の場合限定なのです。お金を貸す人の立場になって考えるとわかりますが、貸す側の人は利子を稼ぐために貸すわけです。利子がもらい続けられれば、いつまででも借りてもらいたいし、もし返済されたら新たな借り手を探すでしょう。

もちろん、必要になったときはかえしてもらうわけですが、いつでもすぐに返してもらえるなら、貸しっぱなしでも困ることはありません。

個人に貸す場合は寿命がありますので、死ぬまでに返せる額ということになります。もし、不死身の人がいれば、サラリーマンでも10億くらい借りられるのではないでしょうか。

これが企業や政府になると、ある意味不死身となり、特に政府は永続性が顕著ですので、途方もない額の借り入れも可能になります。もちろん、個々の借金には期限があり、返済は行われますが、返済するお金も借金によって行われます。なので、表面上はいつまでたっても、借金の総額は減らないのです。これは個人なら多重債務になって、即破産への道のりです。

企業は成長するにつれて、借金が多くなる傾向があります。トヨタ自動車は創業以来借金が増え続けて、現在では19兆円の借金があります。政府や大企業の負債というのは増えることはあっても、減ることはまれなのです。

外国との比較

安部政権はプライマリーバランスの黒字化を2020年に予定していました。つまり、支出と収入のバランスを黒字化して、借金返済を始めるのが2020年ということです。

下のグラフは日本の財政赤字を示しています。


世界経済のネタ帳さんからお借りしました。

キレイに借金が膨らんでいます。予定では2020年からこのグラフが右肩下がりになるということです。ここで少し他の国と比較してみたいと思います。G20の先進国と比べてみましょう。ざっと眺めるだけで結構です。



















すべて世界経済のネタ帳さんからお借りしました。世界経済のネタ帳さん最高!

あれ?と思いませんか?サウジアラビアを除いてほぼ全て右肩上がりになっています。これは、G20が特殊なのではなく、世界中の国のほとんどで、財政赤字は増えているのです。

世界的に見ると、財政赤字は増えるのが普通であり、減っているところは例外といえるでしょう。歴史的にも建国以来、財政赤字が減っている国はほとんどありません。

安倍さんはこれを2020年から右肩下がりにしようとしているわけですから、どれほど異様なことかご理解いただけるのではないでしょうか。

社会保障費はどこからでるか

今後、長期的な社会保障はどのように負担されるべきでしょうか?

これは、結論からいうと公債、つまり借金によって捻出されるというのが答えになります。G20の政府債務残高からもわかるように、多くの国が公債によって行政を維持しています。

これを将来世代へのツケの先送りという言い方をすることもありますが、政府に貸しているお金はもともと国民のお金です。私たちの祖先も政府にお金を貸していますが、未だに返済はされていません。銀行や生命保険に預けている私たちのお金も、政府に貸し付けられています。おそらく、私たちの子孫も私たちと同じように銀行預金を通じてお金を政府に貸すはずです。

政府は借りたお金によって社会保障や公共事業といった必要な支出を行います。病院やなどに支払われた政府が支出したお金は、紆余曲折を経て再び私たちの預貯金になります。つまり、私たちから借りたお金が政府によって使われて、再び私たちの所へ帰ってくるということを延々続けているのです。

政府の財政赤字を増やしながら私たちの資産を形成していくというこの方法は、歴史的、世界的な標準であり、借金というだけで恐れる必要はありません。むしろ、これは持続可能なシステムであり、将来にわたって私たちの社会保障を維持していくでしょう。

その影響として、物価の上昇が起こります。今、100円位するアイスも、昔は10円で売られていました。昭和のモノの値段が安かったのは、マネーの量がそれだけ変わったことを示しています。今後も物価が上がり続けて、政府債務残高も増えて、私たちの社会保障を維持していくことが理想です。

しかし、現在は世界的な低物価です。つまり、それだけ世界中の政府支出や社会保障の削減といった、弱者を切り捨てる方向に行っていることを示しています。

まとめ

政府の財政赤字は増えるのが普通であり、老後のために財政再建をするのは、ナンセンスというほかありません。G20を見ても財政再建と言っている国など日本くらいのものです。

基本的に行政コストは公債から支出して維持していき、財政赤字は増えていくものです。その結果、物価の上昇が起きます。翻って、政府がきちんと社会保障などの手当てを行っているかを物価をみることで判断できるということです。


経済成長とはなにか?

マクロ経済

経済成長とはGDPが成長すること

突然ですが、経済成長とはなんでしょうか?結論から言うと、経済成長というのはGDPが成長することということです。うーん、でもGDPっていうのがイマイチピンと来ないんだよね、という人もいらっしゃるかと思います。

日々、私たちはイトーヨーカドーやAコープといったお店で買い物をしますが、売値から仕入れ値を引いた粗利がGDPの部分だと思ってください。

60円の商品を仕入れて100円で売るとすると、40円の粗利益になります。この40円がGDPに計上される部分です。難しくはないですよね。

40円はお店に並べてお客さんが買い物をしやすいようにしたり、お客さんの自宅付近に店舗を作ったりする資金になります。つまり、サービスを提供することによって得られる対価です。綺麗で身近にある店舗や商品ごとに整理されて陳列されている棚など、誰かがはたらくことで維持されています。いわゆる付加価値というものです。

誰も何もしなかったらメーカーをネットで検索して、直接取り寄せなければいけないのでめんどくさい限りです。しかし、お店が色んなメーカーを取り揃えて、しかも整理して比較しやすいようにしてくれています。そういった小売サービスに対して私たちは対価を支払っています。この部分が労働によって生み出された付加価値です。

日本国内で1年間にどれだけの付加価値が作り出されたかが、GDP(国内総生産)です。この付加価値が多くなれば多くなるほど便利で快適な世の中だよね、ということになり、経済成長が大切だといわれる所以です。服にしてもパソコンにしても元になる部品や原材料を仕入れて、加工、販売するはずです。

また、輸出額から輸入額を差し引いた額を純輸出といい、これもGDPに加算されます。2016年は86.7兆円の輸出に対して、81.5兆円の輸入を行っていますので、差し引き5.2兆がGDPに計上されました。

GDP(国内総生産) = 国内で生産された付加価値 + 純輸出

2016年の名目GDPは537兆円でしたので、貿易黒字が占める割合というのは1%にも満たないということになります。貿易赤字になればその分、GDPは下がることになります。

国内で生産された付加価値は更に民間と政府に分けることができます。例えば行政サービスもサービスですので付加価値ということになり、GDPに計上されます。ただ、警察に犯人を逮捕してもらったからといって、お金を払うわけではありません。売り上げと仕入れの原則に反するわけですが、公務員が提供するサービスは、支払われた給料がそのままGDPとして計上されるようになっています。また、公共事業などの政府支出なども含めて政府支出はGDPを構成する重要な要素になります。

GDP(国内総生産) = 民間による付加価値 + 政府による付加価値 + 純輸出

経済成長とはこのGDPが毎年上がっていることを指します。過去、10年間の推移を見るとある程度は順調に上がってきていることがわかります。


内閣府(国民経済計算より)名目GDP暦年(兆円)

2008年の秋にリーマンショックが始まって、翌年は落ち込んでしまいました。回復基調になるまで4年はかかっています。2015年にようやく元の水準に戻ってきたというところです。

経済は成長しているけど・・

こうしてみてみると、リーマンショックという外的な要因を除けば、そこまで経済状態が悪いというわけでもありません。ただ、生活者の実感としては景気がいいと感じる人は、一部なのではないかと想像します。非正規雇用の拡大や過去46年で最低の労働分配率などがその原因として考えられます。

大学生の二人に一人がローンを背負って卒業するといわれています。こういったことからも決して国民すべてが豊かに生活しているとは言えません。親の所得が低いのは非正規雇用だからというわけです。日本全体としてはGDPも回復してきて絶好調のようですが、いわゆる格差の問題はこのグラフからは読み取れません。

そもそも、国内の豊かさを測るために考えられたGDP(国内総生産)ですが、格差という内部的な偏りには対応していないという問題があります。同様に株価も庶民の暮らしと直接的に関連しません。経済成長しているから、経済政策は成功だと考えるのは早合点であり、もっときめ細かく見ていく必要があると思います。


日本はまだ経済成長できるのか?

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古い経済発展のイメージ

第二次世界大戦後、日本は高度経済成長をしました。昭和40年代初めは、3Cと言われたカラーテレビ(Color TV)、車(Car)、クーラー(Cooler)が豊かさの象徴として家庭に普及していった時代です。

東京オリンピックを境に日本は急激に経済的な発展を遂げます。その頃は新幹線や高速自動車網といった、インフラの発展も目覚しいものがありました。こういったイメージがあるせいか、日本はこれ以上発展しないのではないか、と感じる人も少なくありません。

戦後の焼け野が原から、綺麗な建物が立ち並ぶ町並みや、整備された道路へ発展するには伸び代があるように思われます。しかし、今の日本から更に発展するとなると、なかなかイメージが湧き難いからです。

確かにモノは十分にあり、生活に困ることはないかもしれません。これ以上発展しなくても良い、と考える人もいるでしょう。

しかし、一方で豊かな国であるはずの日本に、貧困の問題がでてきています。所得の低い人にとっては日本が豊かであるというのは、どこか別の世界の話であるように感じるかもしれません。

貧困問題は経済発展のチャンス

所得の低い人たちがいるとういうことは、それだけ日本には経済発展する余地がある、ということでもあります。所得が低いばっかりに諦めている住宅や教育の機会など、それだけ経済発展の可能性があるからです。

そのためには労働者の4割を占める非正規雇用という働き方に、政府が真剣に取り組む必要があります。最低賃金を上げるだけにとどまらず、雇用形態や労働分配率の改善といった取り組みが必要です。不足しているところにお金を還流させることで、より日本を豊かにしていくことができます。

高度成長期はよくストライキがありました。小学校の先生なども賃上げ要求して、授業をボイコットしたりしていました。今の世の中でそこまでするのは難しいですが、昭和の労働者はしたたかで、明るさがあったように思います。労使の力関係も今のままで良いのか、考えていく必要があります。

災害対策やインフラへの投資が必要

また、最近は地震や台風、水害といった自然災害が多く発生しています。台風が日本列島を通過すると必ずと言っていいほど亡くなる方がいます。河川の洪水対策や建物の耐震化などは、まだまだ始まったばかりであり、やろうと思えば山のように仕事はあります。

インフラのバージョンアップというのは今からの課題です。ようやく実現したリニアの普及や、車の渋滞問題も解消しなければなりません。

休みの日にどこか行こうと思っても、思いのほか渋滞がひどくて、時間ばかり経ってしまうことがあります。これもインフラの投資不足が原因であり、スムーズに車が流れればそれだけ経済効果も高まります。被災者ゼロ、渋滞ゼロ、を目指してより質の高い社会資本整備を行う必要があります。

2016年はヴァーチャルリアリティ元年だそうです。また、AIやロボットといった、新たな産業が芽吹き始めています。自動車の自動運転もかなりのレベルまできており、東京オリンピックでは自動運転のタクシーを導入すると政府は公言しています。

社会資本整備や新しい分野の経済成長は今からです。高度成長期の数倍、数十倍のポテンシャルを秘めている。そう考えても間違いなさそうです。


そもそも経済とは

マクロ経済, 政治, 社会

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国家と経済

経済を考えるときに、どうしても避けては通れない要素がお金です。お金はどこからやってくるのか?お金になぜ価値があるのか?

こういった基本的な部分を抜きに、経済を考えようとしてもうまく考えがまとまりません。経済を考えるには事前にお金の本質を理解しておこう、ということです。お金のことを理解するにはまず、日本という国を理解する必要があります。国家とはなんでしょうか?

Wikipediaによるとつぎのようにあります。

国家(こっか)とは、国境線で区切られた領土に成立する政治組織で、地域に居住する人々に対して統治機構を備えるものである。 領域と人民に対して排他的な統治権を有する政治団体もしくは政治的共同体である。

国家とは政治的共同体とあります。共同体というのはお互いの利害を共にして助け合う集団です。

地震などの災害が起これば被災した人を助け、歳をとって働けなくなれば年金を給付して生活を支えます。助け合うのは共同体の一員としての義務であり、また自分が困った状態になったときには助けてもらえるということでもあります。

共同体全体の利害調整を行うのが政府です。政府が音頭をとりながら、インフラ整備や治安維持といった行政サービスを行います。

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お互いに助け合うのが共同体ですが、ボランティアのように緩いものではありません。国によっては徴兵制があり、逃げたりすると重い罪に問われます。

みんなで必死に国を支えているのに、一人だけ逃げられたらたまりません。国家というのはある意味、血の掟で繋がった共同体とも言えます。

共同体に属する以上、公共的な仕事は全員の役目なのですが、政府は1つのルールを決めました。

それは、政府が発行する券を渡せば、公共の仕事をキャンセルできるというものです。この券は公共の仕事をした人に対して対価として渡されます。

ある程度、公共の仕事をすれば、それ以上はその券を使用することで減免されることになります。大量に持っていれば一切公共の仕事をする必要はありません。この券が紙幣です。

2年間の兵役もしくは100万のどちらかを、政府に求められるとしたらいかがでしょうか。徴兵制をお金で回避するのは倫理的に問題がありますが、お金の本質を表しています。

紙幣のもつ価値というのは、元をたどると共同体の一員としての義務を回避できるところにあります。公共の仕事の代わりにお金を支払って、国民の義務を果たすのが税金です。

公のために汗を流すのは尊いことですが、できれば休みたいのが人情です。公共の仕事以外に本業もあるので、みんなそれなりに忙しいはずです。本業が農業なら、生産した野菜と紙幣を交換する人もでてくるでしょう。本業に集中して、公共の義務は税金で支払うことが一般的になっていきます。

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政府はお金を発行しつつ、徴税によってお金を回収することで、国内経済を成立させています。通貨発行権と徴税権2つセットで行使することで、紙幣による経済が動き出すわけです。

政府が通貨発行すると説明しましたが、厳密には日本銀行が通貨発行や税金の管理を行っています。お札に日本銀行券と書いてあるのはそのためです。

政府支出と税収

政府は毎年、税金を徴収して予算を組んで支出します。基本的に税収より支出が多くなるように、毎年予算を組みます。もし、支出より税収が多いと、世の中から通貨が無くなることになります。政府は日本で唯一の通貨発行主体ですので、支出よりも税収が多ければ、いつか世の中からお金は無くなります。

単年度では支出<税収となることもありますが、基本的には支出>税収になります。このあたりが一般の家庭や企業と異なるところです。サラリーマン家庭が支出>収入といったバランスで生計を立てるのは不可能です。政府は不足額を通貨発行によって賄っており、その額は毎年10兆円を越えています。

実際には日銀が通貨発行を行っていますので、政府は国債を発行して日銀の用意した通貨と交換することで現金を調達します。これを日銀による直接引き受けといい、政府は通貨を得て日銀は国債を保有することになります。直接引き受けを財政ファイナンスと言ったりすることもあります。

政府は支出>税収を達成するために日銀による通貨発行と、市中の金融機関からの借り入れによって賄っています。

鋭い方はこう思うでしょう。

ある程度世の中にお金が回り始めたら、あとは支出と税収は同じくらいで良いのではないか?

確かにそんな気もしますが、以下の理由で出来ないようになっています。

経済活動を継続していくと資産が増える人、減る人、変わらない人がでてきます。国民全員が同額の資産を所有していれば、頭割りで徴税すればよいのですが、経済活動を続けるにつれて差がついていくので、中には支払えなくなる人がでてきます。

毎年、一定額の予算を執行するなら、払えない人の分はたくさん資産を保有している人に負担してもらわなくてはなりません。税金は平等に徴収するべきだ、とするなら政府の税収は徐々に減ることになります。支出=税収という前提であるなら、税収が減れば支出も減らさざるをえません。

政府の支出が減ると行政サービスが滞ることになるので、国民生活の質の低下を招くことになります。

そうはいっても支払えない人の分の税金まで、たくさん持っているがすべて負担するというのもおかしな話です。以上のことから支出=税収にしようとすると、お金持ちに重税がかかるか、行政サービスが貧弱になってしまうという問題がでてきます。

行政サービスの質を落とさずに、平等に徴税するにはどうしたらいいでしょうか?

答えは支出>税収にしてしまうことです。不足する予算は日銀による通貨発行で穴埋めします。毎年、世の中に出て行くお金が増えますので、徐々にインフレになります。インフレというと悪者のように思われがちですが、国民経済を成立させる一つの知恵です。

そしてインフレに

昔は大卒の初任給が1万円だった時代もあり、徐々にインフレが進んで今の水準になりました。税負担の平等性を考慮しつつ行政サービスを維持していくなら、今後もインフレが進んでいくことになります。

物価が上昇すると相対的にお金の価値が下がることになるので、お金を大量に持っている人にとっては好ましいことではありません。平等な徴税と行政サービス維持のために通貨発行を行いましたが、実はインフレはお金を持っている人にとっては負担なのです。実質的に税金を払っているのと変わらないために、インフレ税と言われています。

財政政策は、このインフレと税負担の公平性、行政サービスレベルのバランスをいかにとるかということが言えます。

行政サービスレベルが十分でインフレが進んでいれば富裕層にとって負担になりますので、税金を公平に徴収しつつ、財政支出を減らすことによって物価上昇率を下げる必要があるかもしれません。行政サービスの質が低く物価上昇率が低ければ、通貨発行によって政府支出を増やすか、富裕層の負担を増やす必要があるかもしれません。

難しいのはバランスの取り方に正解がないということです。インフレと行政サービスレベルと税の公平性は密接に関連していますが、これといった正解はないのです。3つのバランスはどのような世の中を私たちが望むか、政治的に決まることになります。


国債は暴落するか?

マクロ経済, 国内, 社会

国債とは

国債が暴落するという本が本屋さんにあり、心配している方もいらっしゃるかと思います。結論から言えばファンタジークラスのことが起こらなければ、理屈からいって起こることはありません。理屈を説明する前に国債について少し触れておきたいと思います。

国債というのは、政府がお金を借りるときの借用証書です。政府は税収で行政を行っていますが、足りない部分は国債を発行してお金を借りています。平成29年度の一般会計では73兆円の支出のうち、10兆円が国債で補填されました。

国債は主に銀行や生命保険といった金融機関が購入しています。購入すると言ってもお金を政府に貸しているということです。金融機関が国債を買うときのお金は私たちの預貯金や保険の掛金です。

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預貯金や保険料は利子をつけて返さないといけないので、銀行や生保にとっては負債になります。利子をつけて返すには住宅ローンや企業向け融資といったもので、金利を稼ぐ必要がありますが、適当な貸出先が見当たらない場合、銀行や生保は国債で運用します。

本来なら3、4%くらいで企業などに貸したいところですが、デフレの経済環境の中で借りてくれるところが無いために、国債を買わざるを得ないというのが現状です。個人や企業に貸すと返ってこなくなる可能性もあるのですが、政府はほぼそういった心配がありません。

国債は誰が持っているのか

以上のような理由で、銀行や生命保険は国債を持たざるを得ない状況にあるということを踏まえて下の図をご覧ください。

財務省HPより

これは今までに発行された国債を誰が持っているかの内訳です(2017年6月末)。1084兆円のうち436兆円を日銀が保有しています。以前はこんなに大量に国債は保有していませんでしたが、アベノミクスの第一の矢である金融緩和でお金を市場に流したために大量の国債を保有することになりました。

国債が暴落するとしたら、誰かが投げ売りをしてくると考えられますが、日銀が投げ売りをしてくることはまずないでしょう。日銀が政府に反旗をひるがえして投げ売りにでるのは、九州が日本から独立するくらいの確立です。

二番目に多いのが国内の金融機関です。投げ売りたくても投げうる理由がありません。政府が貸し倒れになる可能性は低く、他に適当な預貯金の運用先もなければ売る理由がないからです。その次に多いのが公的年金と年金基金が77兆円持っています。公的年金が国債を投げ売りすることも、ちょっと考えられません。

あとは海外が117兆円分もっていますが、これはどうでしょうか?もしかしたら投げ売りを仕掛けてくるかもしれません。

国債が投げ売りにあったら

可能性は低いですが、万が一海外が投げ売りをしてくれば、国内金融機関が我先に買うでしょう。日本国内に出回っている国債は不足気味ですので、銀行や生保が喜んで買う可能性大です。

もし、それでも足りなければ政府が日銀に買わせることも可能です。すでに436兆円もっていますが、あと117兆を買い取ることは不可能ではありません。買い取る時のお金の出所は税金ではありません。日銀が新たに発行したお金です。その意味では制限なく素早くに買い取ることも可能です。

安倍政権は量的緩和を行っており、日銀が金融機関から国債を大量に買っています。年間80兆円ペースで国債を買い集めており、海外の保有者が全部売ったとしても、日銀が一年ちょっとで買い取れる金額です。日銀が量的緩和で国債を買っているので、国内は国債不足にすらなりつつあります。

また、仮に外国人が国債を売ったとしても、売って手に入れたお金はどこにいくのでしょうか?両替してドルにするかもしれません。両替をして円を受け取ったであろう金融機関は、両替した円をどこかに貸出すなり使うなりする必要があります。

タンス預金でもすれば別ですが、兆単位のお金は口座に入れて管理するはずです。銀行に預けるのであれば再び国債の原資になります。銀行に預けられたお金は運用難で国債を買うからです。国債を売ったお金は巡り巡って国債に向かうのです。

というわけで、日本円はどうあがいても再び国債を買う運命にあるということが言えます。銀行の口座に入るということは、そのまま国債購入に充てられるからです。

保有者の構成や保有している理由を考えると、投げ売りにあうというシナリオは、極めて起こりにくいということが言えそうです。


名目GDPと実質GDPの違い

マクロ経済, 物価

物価上昇率を加味しているかどうか

名目GDPは実際に調査を行って求める額面上のGDPです。名目GDPと実質GDPの違いは物価上昇率を加味しているかどうかです。名目GDPと実質GDPの関係は以下のようになります。

名目GDP ÷ 物価上昇率 = 実質GDP

実質GDPは名目GDPと物価上昇率から計算上求められる数字です。名目GDPが5%成長したとしても、物価上昇率も5%上昇していたなら、実質的には何も変化していないということになります。もし、名目GDPが5%成長して、物価上昇率に変化がないなら、実質的に5%成長したことになります。実質GDPが5%成長したということは、売り上げが5%増加したということを意味します。

経済成長を考える場合は、どれだけ数が売れたかを考える必要があるので、実質GDPを計算によって求めるのです。

GDPの計算の仕方

例えば、70万円の部品を仕入れて、150万円の自動車を生産したとしたら、80万円の付加価値が発生します。

150万円(売上)ー 70万円(仕入れ)= 80万円(付加価値)

この80万円の付加価値がGDPに計算される部分になります。自動車が1年間で10万台売れたとすると、

80万円 × 10万台 = 800億円

800億円のGDPが計上されることになります。

仮に国内で自動車とバイクだけを生産しているとします。50万円のバイクの部品の仕入れに20万円かかるとして、2万台を売り上げたとします。

50万円(売上) ー 20万円(仕入れ)= 30万円(付加価値)

30万円 × 2万台 =60億円

自動車とバイクを合わせて860億円のGDPが計上されることになります。

GDPデフレーターの計算の仕方

GDPデフレーターというのは物価上昇率のひとつです。新聞などには物価として消費者物価指数などがよく出てきますが、名目GDPから実質GDPを求めるときにはGDPデフレーターを使います。

実際にGDPデフレーターを計算してみたいと思います。物価上昇率という場合、以前の物価との比較して上昇か下落を判断する必要がありますので、5年前との比較を行います。少しややこしいので、読み飛ばして結果の数字だけ見てもらっても構いません。

注意する点としては今年も5年前も今年の販売台数を使用するところです。

現在 1台あたりの付加価値 売れた台数 付加価値
80万円 10万台 800億円
バイク 30万円 2万台 60億円
合計860億円
5年前
65万円 10万台 650億円
バイク 25万円 2万台 50億円
合計700億円

860億円 ÷ 700億円 = 1.229

5年前を基準としたとき、約22.9%の物価上昇が起こったことになります。GDPデフレーターが1を上回るとインフレ、下回るとデフレになります。

実質GDPの計算の仕方

名目GDPと物価上昇率(GDPデフレーター)は準備できましたので冒頭の式に当てはめてみます。

860億円 ÷ 1.229 = 700億円

となり、700億円が実質GDPということになります。5年前の物価の水準で見た場合に、700億円の生産がされたことになります。注意していただきたいのは、5年前と比較するときに、今の実質GDPと5年前の名目GDPを比較する必要があるということろです。今の実質GDPと5年前の実質GDPを比較しても意味がありません。

名目GDP 実質GDP
2007年 650億円 610億円
2012年 700億円 650億円
2017年 860億円 700億円

上の表では2012年の実質GDPは2007年をもとに計算しています。一見すると経済成長しているように見えますが、実は物価上昇をしているだけです。2012年の実質GDPと2007年の名目GDPを比較すると同じ650億円になっています。つまり、2007年から2017年の売上げ台数は同じになります。実質GDPが上昇しているので売り上げ数も上がっているように見えますが、今の実質GDPと基準となる年の名目GDPを比較する必要があるのです。

まとめ

・実質GDPは物価上昇を除いた量的な経済成長をみるためにある。
・実質GDPを見るときは、基準年の名目と比較する必要がある。


経済を考える上で最も大切なGDP

マクロ経済
給料は何で決まる?

サラリーマンの場合、経済への関心の入り口は、給料ではないでしょうか。給料は会社の売り上げで決まるのですが、会社の売り上げを左右するのは日本全体の景気を表すGDPです。

つまり、日本全体の景気を反映したGDPが会社の売り上げに影響を及ぼして、最終的に給料やボーナスを左右しているというわけです。

GDPとは何か?

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GDPは内閣府が年に4回発表する経済指標です。1年間に国内でどれだけのモノやサービスが生産されているかを、数字で表したものがGDPになります。例を使ってGDPを計算してみたいと思います。

20円で小麦粉を仕入れてパンを焼いて、120円で売ったとしたら、100円分の生産をしたことになります。

 120円(売価)ー 20円(仕入れ)= 100円(生産) 

生産額はそれだけの付加価値をつけたということです。パンを焼いたことに対する対価と言っても良いでしょう。

国内で1年間に生産された付加価値をあらゆる産業にわたってトータルしたものがGDPになります。このパンの例では、100円分の付加価値が生産されました。

1億2700万人の日本人全員が毎日3食1年間このパンを食べたとしたら、13.9兆円のGDPが計上されることになります。日本全体のGDPが約500兆円ですので結構な額ですね。

GDPが大きい国はそれだけ多くのモノやサービスを生産している国です。アメリカのGDPは約2000兆円で世界一です。それだけモノやサービスを大量に生産しているということになり、ひいてはそういった生産力が軍事大国になる背景になっています。

日本が経済大国と呼ばれるのは、この生産力の高さゆえです。工業製品にしろ日用品にしろ、質の高い多くのモノやサービスが生産されていることが経済大国の証といえるでしょう。

GDPは分配される

パン屋さんの生産の中から、従業員への給料の支払いが行われます。残った利益がパン屋さんの運転資金となり、同時に従業員の給料とパン屋さんの利益に対して税金がかけられます。つまり、下の式が導かれます。

100円(GDP) = 50円(従業員) + 40円(パン屋) + 10(税収)

あくまで概算ですが、現在の日本では概ね5(家計):4(企業):1(政府)の比率で分配されています。

国内の平均給料が上がっているとしたらGDPが成長している可能性が高いです。また、労働分配率が低下すれば、GDPが変わらずとも給料が下がることになります。

20年近く日本のGDPは横ばいできました。給料がなかなか上がらないのはGDPが上がらないから、ということが言えます。


世界経済のネタ帳さんより

このグラフは1980年からの名目GDPのですが、90年代後半から全く上がっていません。つまり、私たちの給料もこの頃から平均的な水準は変わっていないということです。

GDPは給料そのものだ

GDPが成長しない以上、所得は増えようがありません。現在は非正規雇用が増えてしまい、労働分配率も下がっているのが現状です。

また、税収もGDPに左右されますので、財政赤字が拡大してきた裏には日本経済の不調にあるということが言えます。GDPが増えれば所得税や法人税も増えるからです。

つまり、GDPが会社の売り上げを左右しており、それと同時に私たちの給料も決定しているのです。


グローバル化の問題点

マクロ経済, 海外

 

モノ、人、金の移動

盛んにグローバル化ということが言われています。貿易を自由に行い世界を相手に企業がビジネスを展開するようなイメージは、誰しもがもつことでしょう。

グローバル化というのは国境を越えて人、物、お金(資本)が自由に行き来することを言います。

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変な言い方ですが、日本の国内は完全にグローバル化されています。県境を越える関所もありませんし、東北の人が東京で就職するのも自由です。

これが江戸時代のように関所があって、いちいち「お伊勢参りに参ります」などと役人に申告しなければならないとしたら面倒くさい限りです。観光産業は大打撃でしょう。

グローバル化されたユーロ

ユーロは2000年から人、物、お金の移動が自由になりました。ユーロに加盟している国同士であれば、パスポートなしで行き来ができます。

共通の通貨にすることで、ドイツからフランスに自転車で買物に行って、戻ってくることも可能になりました。ユーログローバリズムということができるでしょう。

日本なら隣の県に買物に行くくらいの気楽さです。このように規制をなくすことで経済が効率的になります。ヨーロッパを観光するのに、昔だったらマルクやフランといった、それぞれの国の通貨にお金を交換しながら旅をしていましたが、ユーロになってからはそういった手間がなくなりました。

観光を主な産業にしていたギリシャは、共通通貨のユーロは大変魅力的でした。パスポートもいらずお金の交換もなしに旅行に行けるとなれば、イタリアに来たついでにちょっとギリシャまで足をのばそうか、と考える旅行客が増えたとしても不思議はありません。

ただし、ユーロ加盟には条件があり、財政赤字がGDPの60%以下で毎年の赤字は3%以下である必要があったのです。この基準を満たせなかったギリシャは財政赤字などの情報を粉飾したことが問題になりました。

国境が県境になる

人の行き来が自由で物の行き来も自由となれば、経済的にはほとんど国内と同様になります。フランス人がドイツのスーパーに行ってイタリアのビールを買う、というような光景も当たり前になります。これは商売をする上では画期的といえます。

ただし、問題がないわけではありません。日本国内は完全にグローバル化されていて、福岡から佐賀に行くのにパスポートはいりませんし、関税もありません。なので、佐賀の人は休みになると福岡市内に買物に出て行きます。自ずと佐賀県の経済は潤わず税収も低くなります。これが東京や大阪だともっと顕著になります。

地域を越えて自由に商売ができるようになると、地域間での経済発展に偏りを生じさせます。経済が潤わない地方都市は財政が苦しいところがほとんどです。

再分配の問題

佐賀の場合は平成26年度の予算のうち、48%が地方交付税と国庫支出金で国からのお金になります。ほぼ半分は国からお金をもらっているわけです。

一方、東京は国からお金はもらっていません。東京は経済が活発で十分な税収があるために、国の助けは必要ないのです。

多くの地方自治体は国からの援助で行政サービスをまかなっています。もし、国からの援助がなければ地方は立ち行かないでしょう。

実は佐賀と同じ問題を抱えているのがギリシャです。ユーロの中でギリシャは経済的に他の国に比べて押されています。ギリシャには観光と海運くらいしか輸出できるような産業がありません。いわばユーロの中のパッとしない地方都市なのです。

日本国内であれば地方交付税や国庫支出金などでカバーしてもらえますが、外国であるドイツやフランスからお金をもらうことはなかなか難しいでしょう。なぜなら、違う国民だからです。

政治と経済の一体性

同一国内であれば、地方交付税といった再分配をしてもらえるとこを、ギリシャはお金を借りることで凌いできました。

本来、共通通貨やグローバリズムといったことは、同じくらいの経済力同士でないとなかなかうまくいきません。 一方的に商売を展開されると税収などに偏りが出てしまうからです。

日本国内であれば同じ国民だから助けてもらえますが、ドイツ人はギリシャにお金をあげることに猛反対するでしょう。

グローバル化は経済が一体化することです。しかし、そこには政治的な一体性がなければ持続できません。

自由に経済活動するグローバル化は、お金持ちと貧しい人、お金のある自治体と無い自治体といった、偏りを生じさせます。経済を持続させるには偏りを是正する仕組みが必要で、日本国内では地方交付金や国庫支出金がそれでした。

経済効率を考えるならグローバリズムはベストな選択ですが、国境を越えてお互い助けあう精神がなければ、貧富の格差を生み出すシステムになってしまうのです。


デフレとはなにか?

マクロ経済, 物価, 通貨

2種類の物価の変動

日本は長い間デフレでした。

安部政権になってやっとデフレを脱却するかとおもわれたのですが、最近のデータでは再びデフレの兆候が現れています。

このデフレという現象ですが、正確に理解している人は少ないようです。

モノの値段が下がること、というのはなんとなくイメージでわかると思います。

でも、値段が下がるのには、実は2種類あるというのはあまり知られていません。

2パターンあるので、ひとつずつ説明したいと思います。

パターン1

野菜が豊作になると、値段が安くなります。これがひとつ目のパターンです。

野菜が大量に収穫されれば、その分値段は安くなります。

テレビも液晶の32インチくらいのものは以前なら20万くらいしていましたが、今は5万円くらいで買えます。

東南アジアの人件費が安いところで作ったり
、生産技術の向上によって安く作れるようになったためです。

野菜にしてもテレビにしても、数がたくさんあるものは価値が下がります。

野菜やテレビというような、それぞれの事情で値段が下がるのはデフレではありません。一般的にデフレと呼ばれるのは、次の二つ目のパターンになります。

パターン2

減税をすれば、皆さんの手元には、沢山のお金が残ることになります。逆に増税をすると、残るお金は少なくなるでしょう。

消費税を増税して、手元に残るお金が少なくなると、お金の価値が上がります。

野菜やテレビが、生産される量によってその価値が決まったように、手元に残るお金の量によって、お金の価値は変動するのです。

なかなか実感として解りにくいところですが、みんなが持っていないものは、希少価値が上がります。

お金の価値が上がれば、モノの値段が下がります。これがデフレです。

特に消費税などは国民全員に関係するため、その影響は非常に大きくなります。

デフレは、みんながどのくらいお金を持っているかで決まります。

パターン1とパターン2のバランス

普段、皆さんが目にしている価格はパターン1とパターン2の合成値になります。

値段はモノの価値とお金の価値とを比較して決まります。

野菜が不作でも、デフレ(みんながお金を持っていない)だと、見た目の値段は変わらないかもしれません。

野菜の値段は上がっても、お金の価値が下がるためです。

実際には野菜の値動きの方が大きいので、こういったことは起きにくいのですが、値段は2つの価値の合成ですので、こういったことも考えられるのです。

デフレだと困ること

デフレというのはお金の希少価値が高まるために起きました。つまり、お金が手に入りにくくなる現象です。それは増税や社会保障の削減など、サイフに厳しい政策が行われることを意味しています。

これは嫌ですよね。

こう思う人もいるかもしれません。

「デフレになっても、その分モノの値段が安くなるから問題ないのでは?」

しかし、価格というのはお金の価値が変化に対して、ワンテンポ遅れる性質があります。手元のお金が減っているのに、価格は前のまま、という時期がしばらく続くのです。そして、やっと値段が下がり始めたら、今度は私たちの給料が下がり始めます。売り上げが減るので仕方がないのです。

これも嫌ですよね。

デフレになって良いことなど、あまりないのが現実です。

ただ、1つだけあるとするなら、すでに沢山の預貯金を持っている人にとっては、お金の価値が上がるのは歓迎されるかもしれません。


インフレとはなにか?

マクロ経済, 物価, 通貨

値段の変化は2種類ある

インフレというのはよく聞くことばですが、その正確な意味をご存知でしょうか?

モノの値段が上がること、というのはなんとなくイメージでわかると思います。

でも、この値段が上がるのには、実は2種類あるというのはあまり知られてません。

2パターンあるので、ひとつずつ説明したいと思います。

パターン1

野菜の不作で値段が上がることがありますが、これがひとつ目のパターンです。野菜が不足すれば、どうしても値段は上がるものです。

嵐のコンサートチケットが、ものすごく高い値段で売買されているというのを聞いたことがありますが、これもこちらのパターンに当てはまります。野菜にしてもチケットにしても数が少ないので、需要と供給のバランスの結果、値段が上がったものです。

逆に野菜が豊作になれば、値段は下がります。工業製品が技術革新が起こって大量に生産できるようになれば、これも値段が下がると考えられます。

このように、さまざまな財やサービスが個々の事情によって値段が変動するのがパターン1です。ただし、それぞれの事情で値段が上がるのはインフレではありません。一般的にインフレと呼ばれるのは、次の二つ目のパターンになります。

パターン2

減税をすれば、皆さんの手元には、沢山のお金が残ることになります。逆に増税をすると、残るお金は少なくなるでしょう。

野菜がとれる量によってその価値が決まったように、手元に残るお金の量によってお金の価値は変動します。

なかなか実感として解りにくいところですが、たくさん手元にお金があればお金の価値は下がり、あまりなければ価値があがるのです。みんなが、たくさん持っているものの価値というのは、下がっていきます。

ダイヤモンドがその辺に転がっているような石であれば、タダ同然の価格になります。希少だからこそ価値がでるのです。

みんながお金をより多くもてば、お金の価値がさがってモノの値段が上がります。これがインフレです。

もし、消費税が増税されれば国民全員からお金を吸収しますので、その分お金の価値が上がることになります。とてもインパクトが大きいです。

逆に減税かもしくは廃止されれば、今までよりお金が増えることになりますのでインフレになるというわけです。

税金はお金を徴収されるほうですが、年金など給付されるお金が増えることでもお金の価値は変化します。

減らされることの多い年金の受給額が、もし増えることになればこれも手元のお金が増えることになるのでこれまたインフレになります。

インフレは、みんながどのくらいお金を持っているかで決まるものなのです。

モノとお金の価値のバランス

普段、皆さんが目にしている価格はパターン1とパターン2の合成値になります。

モノを買うというのはお金とモノの交換ですので、それぞれが今どのくらいの価値があるかによって値段が決まります。お金とモノ、それぞれの価値の比較で値段が決まるのです。

野菜が豊作でも、インフレ(みんながお金を持っている)だと、見た目の値段は変わらないかもしれません。野菜の価値は下がっているのですが、同時にお金の価値も下がっているため、見た目上値段が変わらないのです。実際には野菜の値動きのほうが大きいので、こういったことが起こることはないでしょうが。

もし、今後、モノの値段が上がることがあったなら、パターン1かパターン2のどちらによるものか、わけて考えるとインフレかどうか判断できるでしょう。


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