希望の党の公約はなぜダメなのか

国内, 政治

ユリノミクスの中身は?

衆議院選挙が10月22日に行われます。新たに小池東京都知事を代表とする希望の党が結成され、旧民進党から多くの議員が移籍するなど、政局が慌ただしくなっています。ただ、こういったときこそ政党の訴える政策を冷静に考えるべきです。希望の党は9の公約と12のゼロという政策を打ち上げており、総体としては小さな政府を目指しているということが言えます。

ただ、小さな政府を目指しているのであって、小さな政府ではないということを断っておきたいと思います。

「徹底した規制改革と特区を最大活用し、民間の活力を生かした経済活性化を図ります。」
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。」希望の党HP抜粋

小さな政府では政府はなるべく市場に口出しするのは控えて、民間企業の自由な経済活動を見守るという立場をとります。そのため、財政出動に過度に依存しないということが公約に掲げられているわけです。

ただ、希望の党の推進が推進しようとする小さな政府には矛盾点があります。2019年10月に10%引き上げが予定されている消費税ですが、小さな政府なら引き下げるか廃止の方向に行かざるを得ないからです。

財政出動を削減して、同時に減税をするというのが小さな政府のパッケージになります。共産党や社民党といった大きな政府を志向する政党なら、拡張的な財政出動を行いつつ増税となります。現状では消費増税は凍結するという煮え切らない態度をとっていますので、選挙の結果次第では増税に舵をきることは十分に考えられます。

アベユリでは庶民は置き去りに

もし自民党や希望の党のような緊縮的な財政政策をとりながら、かつ、増税という矛盾した政策をとる政党が政権を取った場合は、デフレが継続することになります。つまり、景気がいい景気がいいといわれながらも、庶民にはさっぱり美味しい部分が回ってこない経済ということです。

緊縮的な財政政策をとりながら増税しますので、当然といえば当然な結果です。こういった矛盾した政策をとるのには理由があります。

すべては財政再建のために

自民党も希望の党も小さい政府を志向していながら、なぜ増税という矛盾した税制を行うかというと財政再建のためです。中央と地方を合わせた公的債務は1200兆円を超えており、将来へのツケは減らさなければならないといわれています。

ただ、財政赤字が膨らんでいるのは日本だけではありません。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツなどすべて財政赤字は拡大しています。

アメリカ

カナダ

オーストラリア

ドイツ

そして日本

世界経済のネタ帳さんからお借りしました

先進国に限らず、発展途上国でも同様の傾向がみられます。すべての国は建国以来、右肩上がりに政府の債務は増え続けるものなのです。自然現象といってもいいでしょう。しかし、日本は2020年までにプライマリバランスをプラスにして、このグラフを右肩下がりにしようとしています。

財政支出を削減しながら増税をするのは国民を打ちのめすだけの政治であり、小さい政府でもなんでもありません。財政再建はやってはいけないのです。世界には200近くの国がありますが、政府債務が右肩下がりになっているところなどひとつもありません。それくらい財政赤字を削減するというのは尋常でない政策ということになります。

ベーシックインカムの甘いささやき

希望の党はベーシックインカムの議論も進めると公約にあります。国民全員(1億2千万人)一人当たり毎月5万円といった給付を行うものを、ベーシックインカムといいます。希望の党の基本路線はあくまで小さな政府ですので、ベーシックインカムを実施するとしたら、その分、既存の社会保障が削減されることが予想されます。

おそらく、ベーシックインカムを実施後の政府支出は、今よりもコンパクトなものになるでしょう。極論を言うと、医療費や国民年金といった社会保障はすべて廃止されてベーシックインカムでどうにかしようね、ということです。若くて健康なら良いでしょうが、高齢で病気がちの人にはきつい制度です。

本来、社会保障というのは、弱った人のためのものですので、そもそもといったところで疑問のある制度ではあります。むしろ、ベーシックインカムを導入するよりは、消費税を廃止するほうがすっきりするのではないでしょうか。

ベーシックインカムは全員一律ですので、制度管理などが簡略化されるのでコストがかからないというメリットがあります。しかし、政府全体の支出は削減の方向に行くのは間違いないので、やはり病気などの不測の事態に陥った時にどうするのか?が問われると考えられます。

客寄せパンダの12のゼロ

待機児童ゼロやブラック企業ゼロなど12のゼロの部分は一つ一つの政策に反対する人はほぼいないでしょう。花粉症ゼロや満員電車ゼロなどどうやって実現するのか???なものもあります。問題はいかにしてこの12のゼロを達成するか、という方法が明記されていないところです。

12のゼロ

原発ゼロ
隠ぺいゼロ
企業団体献金ゼロ
待機児童ゼロ
受動喫煙ゼロ
満員電車ゼロ
ペット殺処分ゼロ
フードロスゼロ
ブラック企業ゼロ
花粉症ゼロ
移動困難者ゼロ
電柱ゼロ

やはりここでも基本となるのは、財政に頼らずにどれだけできるのか?というところです。小さい政府を目指す以上は余計な支出は控えなければいけません。電柱ゼロを実行するのにはお金がかかるわけですが、ベーシックインカム同様、増税かほかの予算を削って実施することになるでしょう。どこかにしわ寄せがくるわけです。

希望の党とは

経済政策に関して言えば、希望の党は小さな政府のふりをした、国民いじめの党になる可能性があるといえます。これは現政権である自民党も同様です。財政再建にこだわって緊縮財政 + 増税というありえない政策を打ち出す以上、そう評価せざるを得ません。財政再建という発想をやめない限り、日本がデフレから脱却して、みんなが経済的な豊かさを感じることのできる社会は、絶対に来ないでしょう。

希望の党の経済政策上は以上のようなことが言えるわけです。他にも見るべきポイントはありますので、総合的に判断して投票していただきたいと思います。


日本はまだ経済成長できるのか?

マクロ経済, 国内, 社会

古い経済発展のイメージ

第二次世界大戦後、日本は高度経済成長をしました。昭和40年代初めは、3Cと言われたカラーテレビ(Color TV)、車(Car)、クーラー(Cooler)が豊かさの象徴として家庭に普及していった時代です。

東京オリンピックを境に日本は急激に経済的な発展を遂げます。その頃は新幹線や高速自動車網といった、インフラの発展も目覚しいものがありました。こういったイメージがあるせいか、日本はこれ以上発展しないのではないか、と感じる人も少なくありません。

戦後の焼け野が原から、綺麗な建物が立ち並ぶ町並みや、整備された道路へ発展するには伸び代があるように思われます。しかし、今の日本から更に発展するとなると、なかなかイメージが湧き難いからです。

確かにモノは十分にあり、生活に困ることはないかもしれません。これ以上発展しなくても良い、と考える人もいるでしょう。

しかし、一方で豊かな国であるはずの日本に、貧困の問題がでてきています。所得の低い人にとっては日本が豊かであるというのは、どこか別の世界の話であるように感じるかもしれません。

貧困問題は経済発展のチャンス

所得の低い人たちがいるとういうことは、それだけ日本には経済発展する余地がある、ということでもあります。所得が低いばっかりに諦めている住宅や教育の機会など、それだけ経済発展の可能性があるからです。

そのためには労働者の4割を占める非正規雇用という働き方に、政府が真剣に取り組む必要があります。最低賃金を上げるだけにとどまらず、雇用形態や労働分配率の改善といった取り組みが必要です。不足しているところにお金を還流させることで、より日本を豊かにしていくことができます。

高度成長期はよくストライキがありました。小学校の先生なども賃上げ要求して、授業をボイコットしたりしていました。今の世の中でそこまでするのは難しいですが、昭和の労働者はしたたかで、明るさがあったように思います。労使の力関係も今のままで良いのか、考えていく必要があります。

災害対策やインフラへの投資が必要

また、最近は地震や台風、水害といった自然災害が多く発生しています。台風が日本列島を通過すると必ずと言っていいほど亡くなる方がいます。河川の洪水対策や建物の耐震化などは、まだまだ始まったばかりであり、やろうと思えば山のように仕事はあります。

インフラのバージョンアップというのは今からの課題です。ようやく実現したリニアの普及や、車の渋滞問題も解消しなければなりません。

休みの日にどこか行こうと思っても、思いのほか渋滞がひどくて、時間ばかり経ってしまうことがあります。これもインフラの投資不足が原因であり、スムーズに車が流れればそれだけ経済効果も高まります。被災者ゼロ、渋滞ゼロ、を目指してより質の高い社会資本整備を行う必要があります。

2016年はヴァーチャルリアリティ元年だそうです。また、AIやロボットといった、新たな産業が芽吹き始めています。自動車の自動運転もかなりのレベルまできており、東京オリンピックでは自動運転のタクシーを導入すると政府は公言しています。

社会資本整備や新しい分野の経済成長は今からです。高度成長期の数倍、数十倍のポテンシャルを秘めている。そう考えても間違いなさそうです。


国債は暴落するか?

マクロ経済, 国内, 社会

国債とは

国債が暴落するという本が本屋さんにあり、心配している方もいらっしゃるかと思います。結論から言えばファンタジークラスのことが起こらなければ、理屈からいって起こることはありません。理屈を説明する前に国債について少し触れておきたいと思います。

国債というのは、政府がお金を借りるときの借用証書です。政府は税収で行政を行っていますが、足りない部分は国債を発行してお金を借りています。平成29年度の一般会計では73兆円の支出のうち、10兆円が国債で補填されました。

国債は主に銀行や生命保険といった金融機関が購入しています。購入すると言ってもお金を政府に貸しているということです。金融機関が国債を買うときのお金は私たちの預貯金や保険の掛金です。

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預貯金や保険料は利子をつけて返さないといけないので、銀行や生保にとっては負債になります。利子をつけて返すには住宅ローンや企業向け融資といったもので、金利を稼ぐ必要がありますが、適当な貸出先が見当たらない場合、銀行や生保は国債で運用します。

本来なら3、4%くらいで企業などに貸したいところですが、デフレの経済環境の中で借りてくれるところが無いために、国債を買わざるを得ないというのが現状です。個人や企業に貸すと返ってこなくなる可能性もあるのですが、政府はほぼそういった心配がありません。

国債は誰が持っているのか

以上のような理由で、銀行や生命保険は国債を持たざるを得ない状況にあるということを踏まえて下の図をご覧ください。

財務省HPより

これは今までに発行された国債を誰が持っているかの内訳です(2017年6月末)。1084兆円のうち436兆円を日銀が保有しています。以前はこんなに大量に国債は保有していませんでしたが、アベノミクスの第一の矢である金融緩和でお金を市場に流したために大量の国債を保有することになりました。

国債が暴落するとしたら、誰かが投げ売りをしてくると考えられますが、日銀が投げ売りをしてくることはまずないでしょう。日銀が政府に反旗をひるがえして投げ売りにでるのは、九州が日本から独立するくらいの確立です。

二番目に多いのが国内の金融機関です。投げ売りたくても投げうる理由がありません。政府が貸し倒れになる可能性は低く、他に適当な預貯金の運用先もなければ売る理由がないからです。その次に多いのが公的年金と年金基金が77兆円持っています。公的年金が国債を投げ売りすることも、ちょっと考えられません。

あとは海外が117兆円分もっていますが、これはどうでしょうか?もしかしたら投げ売りを仕掛けてくるかもしれません。

国債が投げ売りにあったら

可能性は低いですが、万が一海外が投げ売りをしてくれば、国内金融機関が我先に買うでしょう。日本国内に出回っている国債は不足気味ですので、銀行や生保が喜んで買う可能性大です。

もし、それでも足りなければ政府が日銀に買わせることも可能です。すでに436兆円もっていますが、あと117兆を買い取ることは不可能ではありません。買い取る時のお金の出所は税金ではありません。日銀が新たに発行したお金です。その意味では制限なく素早くに買い取ることも可能です。

安倍政権は量的緩和を行っており、日銀が金融機関から国債を大量に買っています。年間80兆円ペースで国債を買い集めており、海外の保有者が全部売ったとしても、日銀が一年ちょっとで買い取れる金額です。日銀が量的緩和で国債を買っているので、国内は国債不足にすらなりつつあります。

また、仮に外国人が国債を売ったとしても、売って手に入れたお金はどこにいくのでしょうか?両替してドルにするかもしれません。両替をして円を受け取ったであろう金融機関は、両替した円をどこかに貸出すなり使うなりする必要があります。

タンス預金でもすれば別ですが、兆単位のお金は口座に入れて管理するはずです。銀行に預けるのであれば再び国債の原資になります。銀行に預けられたお金は運用難で国債を買うからです。国債を売ったお金は巡り巡って国債に向かうのです。

というわけで、日本円はどうあがいても再び国債を買う運命にあるということが言えます。銀行の口座に入るということは、そのまま国債購入に充てられるからです。

保有者の構成や保有している理由を考えると、投げ売りにあうというシナリオは、極めて起こりにくいということが言えそうです。


消費税増税

国内

そもそも税金はお金のある人から徴収して、お金の無い人への分配するのが本来の目的です。ところが、消費税は全ての人から徴収するため、再分配という税制本来の性格が歪められてしまいます。このことを逆進性といいます。逆進性の強い消費税は、税制本来の再分配とは真逆の政策ということになります。

 

安倍総理が消費税を予定通り2019年の10月に引き上げると公言しました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170805-00050064-yom-pol

 安倍首相は5日、読売テレビの番組に出演し、2019年10月の消費税率10%への引き上げについて、「予定通り行っていく考えだ」と述べた。

 当初15年10月の予定だった引き上げは、首相が景気失速への懸念から2度延期している。内閣支持率の下落で与党内からもアベノミクスへの批判が出ており、財政再建に取り組む姿勢を強調した。今後の経済運営については「企業に働きかけて賃上げし、デフレからの脱却を目指したい」と述べた。

 

最近、政府は財政再建の旗を掲げて緊縮財政と増税を推し進めようとしています。2020年までに支出と収入を同じにする、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を目標としています。消費税増税もプライマリーバランス黒字化の一環になります。

 

現状、日本は歳入よりも歳出の方が多く、財政赤字が拡大しています。それを2020年までにトントンにしようというわけです。歳入と歳出がバランスすればそれ以上は財政赤字は拡大しません。これをプライマリーバランスといいます。

 

一般の家庭であれば結構なことですが、政府がこれをやると景気が冷え込む原因になります。私が小学生の頃は景気が悪い時は、減税をして公共事業をすれば景気がよくなると社会科で習ったものでした。しかし、現在の政府がやろうとしていることはこれとは真逆です。文部科学省(旧文部省)も政府の一部ですので、なんかトチ狂ったことをやっているという感が否めません。前に言っていたことと違うことをやっているわけです。

 

そうは言っても、孫子の代に借金を残すのは・・という意見もあるかと思います。しかし、私たちのおじいさんやそのまたおじいさんは私たちに大量の借金を残してきました。その代わり、私たちに科学技術やインフラなどたくさんの資産ものこしてくれました。もし、お金をけちって日本に投資していなかったら今の私たちの暮らしはどうなっていたでしょうか。

 

インフラへの投資を行ったために大量輸送が可能になり、全国どこでも東京と同じような商品が手に入るようになりました。地震や水害といった災害で道路などが寸断されると、普通の生活が送れなくなるのはニュースなどを見ればすぐにわかります。私たちの生活はインフラなくして成り立たないのです。

 

プライマリーバランスといった何のための目標かわからないもののために、消費税を上げたり科学技術やインフラへの投資を削減したりするのは、それこそ孫子へ貧素な日本を残すことになります。


年金の財源問題。年金カット法案は必要か?

国内

安部政権は国会を延長して年金改正法案を強制的に通そうとしているようです。

現行では物価が上がれば年金も上がるマクロ経済スライド制になっていますが、今回の改正は物価が上昇しても賃金が上がらなければ,賃金に合わせて据え置くようにするものです。民進党の試算では国民年金が年額で4万円、厚生年金が14万円の削減になるとのことで野党は批判をしています。

 

厚生年金は平均月額147,000円、国民年金のみの月額は平均で54,000円程度であり、いま現在でも年金だけで生活できる水準にはありません。年金の財源が足りなくなるという不安を抱えている人も多いかと思いますが、本当に年金運営は厳しいのでしょうか?

年金の構造65歳以上の高齢者は3000万人を超えており、現役世代は6500万人です。そのことからお年寄り一人を二人の現役世代が支えていると言われています。

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国民年金の保険料は月に16,260円ですので、二人で支えるとすると32,520円にしかなりません。実は国が1/2負担していて、それで満額の65008円を支給しています。つまり、

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このようなイメージです。平成21年3月までは国庫からの支出は1/3でした。高齢化に伴い、現役世代の負担が大きくなることから、1/2へ引き上げられました。

政府が1/2負担するにしても、その分税金で支払うなら保険料を上げるのと同じことです。2050年には1人が1人を支えることになるので、政府支出は1/2からさらに増えることが考えられます。政府が負担するにも財源が問題になってきます。

財源をどうするか?28年度予定の流れをざっくり見ると、以下のようなものになるようです。145兆円積立があり、損失が問題になったGPIFが運用しています。
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100年安心を謳っている制度ですが、株で失敗などしていれば145兆はすぐになくなりそうです。また、保険料だけで不足するときは、徐々に切り崩して使います。若い人に限らずこれから受給する人でも少し不安があるかもしれません。

埋蔵金でもあればいいのですが、 実はあるのです。

埋蔵金はどこにあるのか?毎年1月から予算編成が始まり、一年のお金の使い道が決まります。これを一般会計といいます。それとは別に特別会計という用途を限定した会計があり、その中外国為替資金特別会計というものがあります。略して外為特会といいます。

外為特会には2016年10月末現在で1,242,792百万ドルの残高があり、日本円で140兆円ほどになります。今の所使う予定もそれほどなく、眠っている状態です。このお金を使おうというわけではありません。

そもそも、なぜこれほどまでの大金が眠っているのか?

というところに着目していただきたいのです。
もともと、円高が進行したときに、財務省が為替介入を行った名残です。為替が円高になると輸出企業の収益が悪化するので、円をドルに交換する市場介入をおこないます。

政府は政府短期債権を発行して、日銀から資金を得ます。これは税金ではなく、日銀が新たに発行したお金です。為替介入によって円安に誘導することで、政府の手元にはドルが残ります。これがさきほどの1,242,792百万ドルです。

ドルのままではなく、アメリカ国債を買って保有しているため、毎年2兆円前後の金利収入もあります。

つまり、この外為特会は通過発行によって、140兆円もの資金を保有していることになります。コツコツ税金を貯めたお金ではありません

隠さず外為特会のお金を使え、という議論もありますが、そんなことをしなくても通過発行して使えば済む話です。これが埋蔵量です。

お金はもともと人が作り出したものです。年金の支払いにも節度をもって使用すれば、新しく通貨発行することに何の問題ありません。

節度と言うのは物価上昇率です。一気に巨額の支出をすると、強いインフレになりますので、様子を見ながらということになります。通貨発行は物価の上昇を伴いますので、うまく支出すればデフレ脱却にも繋がると考えられます。

お金を発行して使うなど、とんでも無いことだと思われるかもしれません。このブログには他にもなぜお金に価値があるのかを説明した記事もありますので、一度落ちついてゆっくり考えてみられることをおすすめします。


日銀が行った量的緩和とは何か?

国内, 日本銀行

黒田日銀総裁が就任して3年半が経ちました。その間、一貫して2%の物価上昇率の達成を約束してきましたが、とうとう自分の任期の間は達成できない見通しとなりました。

あらためて、黒田日銀が行った量的緩和とは何かを振り返ってみましょう。

物価を上げるためには、消費や投資といった支出が必要となります。消費や投資が盛んということはイコール好景気であり、支出が増えればに物価が上がることになります。つまり、黒田総裁は景気を良くしたかった、ということです。そのためには、銀行にお金が大量にあれば、企業や個人が借りて投資するので好景気になると考えました。

銀行は国の債権である国債を大量に持っています。預金者から預かったお金を、国に貸し出して運用するためです。債権は元本が保証されているので、安全に運用をすることができます。その国債を日銀が買い取りました。これが量的緩和と言われるものです。

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銀行は国債を手放して現金を入手します。このことによって、企業に貸し出す資金が銀行に準備されたわけです。日銀が国債を買い取るために支払ったお金は税金ではありません。日銀が新規に発行した通貨です。量的緩和には300兆円近いお金が使われており、今後も年間80兆円くらいのペースで国債を買い取っていく予定です。

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楽しそうに印刷していますね。ここまでは上手くいきましたが、銀行から先に貸出しが拡大しなければ意味がありません。
理想としては全部貸し出せば企業は投資に回すので景気拡大と物価上昇が見込まれます。
しかし、現実にはこのようにほとんど投資にはまわらず、銀行の手元に残ってしまいました。

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緩和をしたものの、お金は市場には十分にまわりませんでした。お金の貸し借りは、貸す側と借りる側の両方の意見が一致しなければ成立しません。通常、企業は仕事が忙しくなると人を増やしたり、事務所を大きくしたり投資を行います。いくら銀行が貸すからといっても仕事がない以上、投資はしないわけです。また、銀行にしても借りてくれるなら誰でもいいわけではありません。確実に返してくれる人を選ぶ必要があります。

このような理由から量的緩和は失敗ということになりました。


格差社会とは言うけど、本当のところをデータで確認してみた。

国内

タイトルの通り格差社会と言われる昨今、どの程度の格差が蔓延しているのか確認してみることにした。

経済ブログをやっている割には実際に確認する統計は限られており、今回、はじめて総務省の家計調査をひもといてみる。一次データは大切だ。

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統計データは管轄する省庁ごとに公表されており、この政府統計の窓口ではそれらを一括して閲覧することができる。しかし、いざ見だすとデータが多い。似たような項目でも少しずつ違うのだ。

格差なので所得と貯蓄に関するデータが必要だ。総務省の家計調査には貯蓄や負債に関するデータがまとめてある。

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二人以上の世帯で年間収入階級別を調べることにした。以下のグラフはこのデータをもとに作成したものとなる。10年前と現在でどの程度所得の変化があるかみてみる。

経済の統計には毎月発表されるデータもあるが、そんなに短期的な動きで一喜一憂する必要はないと思っている。0.1%物価が上がって、年率換算で・・といったものにはほとんど意味を感じない。素早い経済対策のためには短期的なデータも必要になることがあるかもしれないが、基本的には5年10年といったスパンで考えることが大切だ。

で、格差はどうなったかというと、

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青が平成17年で赤が平成27年だ。横軸は世帯数になっている。

 

10000世帯中、どのくらいの世帯がどこの年収の範囲に入るかを表している。パッと見た感じ10年前と今ではそこまでは変わっていない印象だ。細かく見ると400万以上の世帯が減り、それ以下の世帯、特に200万〜400万の世帯が増えている。

 

格差であれば1000万以上の世帯が増えてというイメージを持っていたのだが、総じてジリ貧になっている。年間の所得しかわからないので、10億円の貯金があるメガリッチが隠れているかもしれない。そこで所得帯別の平均貯蓄を見てみる。

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こちらも青が平成17年で赤が平成27年だ。横軸は金額だ。
年収1000万円以上の世帯は確かに3000万を突破しており、格差が出てきているようにも見える。しかし、他の世帯も少しずつだが増えており、高額年収の世帯だけが増えているわけではない。みんなそれなりにためているようだ。

ただ、200万以下の世帯は貯蓄も減っており、貧困が問題になっている現状と符合しているようにも見える。金持ちはいくら金持ちでも構わないが、貧乏には限界がある。この辺は注意が必要だろう。

データを見たからといって即座に結論がでるわけではない。しかし、それなりのバランスなり、全体の構成を俯瞰してみるのは大切だ。個人的な印象としては言われるほど格差は広がっていないが、確実に国民全体がジリ貧になっていると感じた。

あと、意外とみんな1000万以上普通にためているんだなぁと思った。世間話で貯金残高が話題になることもそうないので、他人の実情を知る由もないのだが、こういったデータをみるとみんな頑張ってるなぁと。

日銀がいうように2%の物価目標を達成するなら、賃金も2%ずつ上がっていくわけで、本来あるべき姿の経済で考えるなら、10年前の2割以上は年収も上がっていなければならない。これもデフレを原因とする現象だ。

日本が経済発展しないのは欲しいものがないからではなくて、こういった所得の減少に原因がある。貧困などと言っているわけだから、欲しいものがないわけがないのだ。ものが100あって欲しい人が120人いても、お金がなくて買える人が80人しかいなければ物価は下がる。これがデフレの本質だろう。

貧しくなってくるとひがみが強くなる。先日、ニュースで公務員給与の引き上げが報じられていたが、ヤフーのコメント欄は大荒れだった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161014-00000036-jij-pol

格差社会という場合は多分にやっかみが混在しているようだ。何かしら敵を見つけて攻撃するのが流行りなのだろう。

ベルちゃんは外犬だ。


右傾化とデフレ

国内

日本の右傾化が進行している。これだけ右に偏ったというデータを持っているわけではないが、80年代の野党第一党が社会党だったことを考えると、ここ30年ほどで政党は様変わりした。明らかな左翼と言えるのは共産党だけだ。

2ちゃんねるでも政治の話は、議論になりにくい。以前なら左と右がお互いの考えを、真剣にぶつけ合うこともできだが、最近は反日といった攻撃によって議論自体が成立しにくくなっている。

ネット全体がそんな雰囲気だ。

ブログランキングの上位は日本大好きブログが大半を占めており、こんなに右の思想は広まっているのかと辟易してしまう。

社会党が消滅して、労働組合が弱体化するにつれて非正規という働き方が増えてきた。

日本の労働人口は6400万人で、そのうちの2000万人が非正規雇用だ。

賃上げ交渉やストライキといった話が聞かれなくなる一方で、雇用者の都合の良い労働者が大量にうみだされた。

昭和の頃は小学校の先生が授業を休んで、ストライキをしていた。そのことで処分がくるのだが、組合が交渉して人事記録が白紙に戻るという時代だった。

また、国鉄(JR)などもストをやっていて、サラリーマンは当たり前のように会社を休んでいた。だって、電車が動かないんだもんという具合だ。

今の時代なら考えられない。しかし、日本の常識は海外の非常識らしく次のようなニュースもある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161003-00000031-jij_afp-ent

フィラデルフィア管弦楽団の団員がストライキを起こしている。アメリカの五大オーケストラの1つで、団員の年収は1400万円台と高額だ。

これだけもらっておきながら、まだストをやるかという気がしないでもないが、労働者の権利を十分に行使した例だろう。

安部総理が企業に賃上げを要求しているが、本来なら労働者自身が賃上げを要求するものだ。

ところが、右傾化した日本では、権利を主張するのは無意識のうちにためらわれ、賃上げ交渉は左翼のための運動になっている感がある。

権利と義務のバランスで言うと、権利を主張するのはさもしく、義務の履行が美徳として扱われるからだ。

相模原の19人の障害者殺害や長谷川豊の人工透析発言について、ネットでは肯定的な意見も流れている。

殺すのは良くないが、気持ちはわかるという。義務をはたさないものが権利を主張するなということらしい。

一方で国会では自衛隊や警察に起立して拍手を送るという、異様な現象が起きている。国民の義務の最高の形が、国防や治安維持ということだろう。

流行りの自己責任論や権利と義務のバランス感覚から、正当な権利まで行使しづらい雰囲気があるように思えてならない。労組の弱体化は政治や会社の圧力ではなくて、右傾化で労働者自らが投げ捨てたものだ。

定期的な昇給はインフレ圧力になる。春闘で毎年きちんと昇給すれば、物価は上昇するだろう。

ものが100あって欲しい人が120人いたとしても、お金がなくて買える人が80人しか居ない場合は、物価は下がる。需要が不足するとはこういうことだ。所得の低下は物価の低下につながると考えられる。

資産を持つ人にとっては物価が上がった分、買えるものが少なくなる。労働者の賃金が上がった結果なので、富裕層に課税して再分配したのと同じ効果がある。

企業はそこそこ金融資産を溜め込んでいるので、賃上げは決して無理な要求ではない。

ベルちゃんは台風に備えて寝た。


ベーシックインカムって良いけど、財源はどうするの?という話

国内

ベーシックインカムやヘリコプターマネーなどの国民にとっては嬉しい政策がここのところ注目を集めている。というのも、無条件に国民全員がお金をもらえる制度だからだ。

ベーシック(基本的な)インカム(継続的に受け取る現金)というように、年金のような性質をもっている。本家の年金制度すら危ういと言われているのに、国民全員にお金を配るなど無謀だという意見もある。

確かに、年金制度が危ういとしたら、ベーシックインカムなど夢のまた夢だろう。しかし、年金制度は本当に危ういのだろうか?

年金の財源は加入者の保険料と、国庫からの支出によって構成される。保険料と国庫は1/2ずつの比率になっている。しかし、現在国が1/2負担しているのも、2004年までは1/3にすぎなかった。2004年以降、保険料の負担を軽減するために今の負担率まで引き上げられた。

そのお金はどこからきたものだろうか?

現在、政府は税収だけでは政府支出をまかないきれていない。借金はもとより通貨発行を毎年10兆円以上行うことで、政府支出の不足を補っている。

通貨発行という荒技が使えるので、国庫の負担をいきなり1/3から1/2に引き上げるといったことも可能だったのだ。発行して遣えるなら、いわゆる財源の問題も無いに等しい。

ただ、新たにお金を発行して遣うという発想が、一般的には理解しがたいところがある。お金の出所の問題はなかなか理解しにくい。

本来、納税というのは労役、もしくは米や特産物といった物納によって行われる。いわゆる年貢というやつだ。労役や米などに代わって、通貨での納税を可能と政府が決めることで、通貨に価値を持たせることができる。本来、通貨の価値は、納税機能があるという部分だけだ。

納税義務がある国民は、通貨を手に入れなければならないので、自然と通貨を使った経済が回り出すことになる。政府に徴税権があるから通貨発行権も機能している。

万が一、保険料が確保できなくなれば、通貨発行でカバーすることも物理的にも可能だ。

株による年金運用の失敗が取りざたされているものの、実はほとんど何の影響もない。国庫から1/2はカバーされており、しかも新しく発行されたマネーも多分に投入されているからだ。

以上をふまえると、ベーシックインカムも決して不可能な政策ではない。ただ、国会議員にしても必ず財源の問題を持ち出して、政策を批判したりしている。政府(日銀)が通貨発行できることを知らないかのようだ。

ベーシックインカムは所得の再分配を促すには良い制度だが、日本の場合はベーシクインカム以前に消費税を引き下げるのが先かもしれない。


ユルユルなのに更に金融緩和?

国内

日銀がさらに金融緩和をしようとしている。

今までは銀行や生命保険会社がもつ、国債を買い入れることでマネーを流出していたが、今後はETFといった株を中心に買い進めるという予想もある。

日銀はリートも購入しているらしく、日経平均が下がってもリートは下がりにくい。

リートを持っているので、日々価格をチェックしている。毎日カブドットコムにログインしていて、その事をひしひしと感じる。これも日銀パワーのお陰だろうか。

個人的にはいくらリートやETFを買ってもらっても構わないのだが、インフレに対しては大して効果はないだろう。

日銀は今月の20、21日に金融政策の総括を行うことになっている。黒田総裁は2013年に2年以内に2%のインフレにすると、宣言したものの出来なかった。

しかし、理屈から言うといくら緩和したところでインフレにはならない。

一般的には金利が下がると借り手が増えて、借りた人が遣うので物価が上がるとされている。

確かにそういう面はあるかもしれない。しかし、物価が上がらない本当の理由は違うところにある。

日銀が金利を下げようとするとき、つまり、景気が悪いときというのは、政府も財政支出を増やす。

日銀と政府が歩調を合わせることをアコードというが、このアコードに問題があるのだ。

日銀は必死にやれることをやっているが、肝心の政府が財政支出を行なっていない。
要は財政が逼迫しているという、お決まりの理由からだ。

なので、黒田総裁にはぜひ政府の姿勢を非難してもらいたい。なんで財政出動せんのじゃと。政府の援護射撃があれば、スルスルと物価は上がるはずだ。

90年代後半は公的資本形成に40兆円そこそこ支出してきた。この辺りをピーク2000年代に入って20兆円位まで減ってしまった。デフレになったのもちょうどその頃だ。少しは財政出動も増えてきたものの、今年は28兆円規模なのでまだまだというところだ。

しかし、黒田総裁にも問題がない訳ではない。マイナス金利を導入したからだ。日本を大きく政府と市場という2つに分けて考えると、マイナス金利によって銀行が日銀に利子を支払う分、マネーが市場から政府へと吸収されることになる。

世の中に流通するマネーが減ればそれだけ物価は下がる。もし、今度の金融政策決定会合でマイナス金利の深堀ということになれば、デフレに戻る可能性もあると考える。


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