景気動向指数を読む

内閣府から3月の景気動向指数が発表されました。


景気動向指数は消費者物価指数や有効求人倍率など、29の指標を先行指数、一致指数、遅行指数に分けて評価したものです。

先行指数最終需要財在庫率指数
鉱工業用生産財在庫率指数
新規求人数(除学卒)
実質機械受注(製造業)
新設住宅着工床面積
消費者態度指数
日経商品指数(42種総合)
マネーストック(M2)
東証株価指数
投資環境指数(製造業)
中小企業売上げ見通しDI
一致指数 生産指数(鉱工業)
鉱工業用生産財出荷指数
耐久消費財出荷指数
所定外労働時間指数(調査産業計)
投資財出荷指数(除輸送機械)
商業販売額(小売業)
商業販売額(卸売業)
営業利益(全産業)
有効求人倍率(除学卒)
遅行指数第3次産業活動指数(対事業所サービス業)
常用雇用指数(調査産業計)
実質法人企業設備投資(全産業)
家計消費支出(勤労者世帯、名目)
法人税収入
完全失業率
きまって支給する給与(製造業、名目)
消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)
最終需要財在庫指数

これだけ色々集めれば、だいたい景気がわかるだろうというパッケージです。

先行指数はこれからの景気判断に使われ、一致指数は現状の景気判断に、遅行指数はこれまでの景気の評価に使用されます。

株価は景気の先どりをすると言われるように、東証株価指数 が先行指数に採用されています。

法人税は企業がどれくらい儲けたかという結過去の業績を表していますので、遅行指数に採用されています。

景気動向指数にはCIとDIという2つの指標があります。

いずれも同じ29の指標をもとに計算されているのですが、若干切り口が異なるものです。

CIは2015年を100としたときに、どの程度の景気の強さかを表すものです。

DIは3ヶ月前に比べて改善した指数と悪化した指数の比率を表しています。

例えば一致指数9つのうち、3つが改善して6つが悪化したなら33.3という具合です。

なので、CIは景気の強弱をみるのに適していて、DIは影響範囲をみるのに適しています。

CIDI
先行一致遅行先行一致遅行
1月96.499.7104.920.012.562.5
2月97.1100.5104.540.018.862.5
3月96.399.6104.650.07.175.0

CIの一致指数は99.6で、前月より0.9ポイント下がっています。

先行指数は96.3ですので、今後更に悪化することが予想されます。

DI の一致指数は7.1なので、広範囲にわたって悪化していることがわかります。

9つの指標のうち7.1%しか改善している指数がないということです。

DIの先行指数は50と改善していますので、この先持ち直すかも?というところでしょうか。

CIとDIを合わせると、現状の景気はさほど谷は深くないけど、ほとんどの指数は悪化していると言えます。

一致指数のCIのグラフを見てみます。

からあげ弁当は短期的な動きより、少し長いスパンで物事を見るようにしています。

たとえば、リーマンショック後の2009年をみると、かなり悲惨なことになっていることがわかります。

月単位の統計で一喜一憂はしません。

長期投資に対するスタンスと同じですね。

引いて見ると、この先少々落ち込んだとしても、リーマン級までは行かないだろう、といったことも考えることができます。

政府はCIのみをみて、消費税増税は可能としているようですが、そもそも2000年以降の低成長をどう考えているのでしょうか。


この長期停滞をどうにかしないと、日本は縮小してしまいます。

月単位の景気の上がり下がりは小さいものです。

少しスパンを長めにみると、リーマンショックがいかに大変だったかというのも見えてきます。

もっと長いスパンで見ると、90年代から日本がまったく成長していないという問題がわかります。

政府はもっと長いスパンで見て、経済政策を決定する必要があります。

日本株のポートフォリオ

からあげ弁当は投資もやっておりまして、基本的に投資信託で先進国、新興国へ分散投資を行っています。

投資信託ばかりだと面白味にかけるので、日本株にも資産1/5を投入しています。

銘柄名数量評価損益評価損益率
キユーピー10069002.7
カゴメ100228008.1
ネクソン1003260024.1
オプティム20018960073.7
日本郵政100-14900-10.6
マブチ1005570016.1
積水ハウス100-5150-2.8
GCA100-5000-5.7
エムスリー1001790010.9
カッシーナ100-5800-6.1
オイラ大地100-25200-12.6
7&I-HD100-48500-11.1
ガンホー100660021.6
住友化20010000.9
東ソー1004030028
大塚HD100-36600-8.2
ヤフー100-5900-17.5
楽天10097009.9
JDI10080011.3
日産自100-25260-21.2
ライトオン100-23800-23.8
キヤノン100-18600-5.4
みずほ500-21200-19.6
スカパーJ100-6100-11.8
NTTドコモ100-43450-15.9
丹青社1002030018.9
プレナス100-35600-16.7
日本リート/REIT113378547.6
日本ビルF/REIT115636528
JRE/REIT1440007.6
福岡リート/REIT1-15400-8.5

含み益は今日現在で6.3%です。

これらの銘柄はPERなどの詳細な株価分析を行って買ったわけでなく、優待目的や高配当などいわば思い付きで買ったものがほとんどです。

ほっともっとの弁当が好きなのでプレナス買おうとか。

カゴメは優待目的ですね。日産は配当金というように脈絡は無いのですが、日本株というアセットは資産の1/5までという条件があり、毎年1月に追加されるNISAの枠を使いながらリバランスしています。

スクリーニングして業績と財務はばっちりだけど、全然聞いたこともない会社、というのも微妙なのでなのでそういった買い方になりました。

また、一銘柄につき1単位までと決めています。

ところどころ守られていませんが。

オプティムはもともと100株だったのですが、株式分割が3月にあったため200株に増えました。IT関連企業で、AIなどの技術も持っているようなので、今後に期待して購入した「成長株投資」です。

2018年の年末に大きめの調整が来ましたが、損切などはせずに買い増ししました。

中国経済の減速ということが心配されたようですが、企業の言いなりの日本やアメリカとは違い、中国は共産党一党独裁です。

景気が腰折れするようであるなら、減税でも財政出動でもなりふり構わず実行してくると思っていますので、中国の景気に関しては楽観視しています。

アメリカも財政の崖だとか言いながらも、2000年以降は日本よりも拡張的な財政ですし、リーマンショックの震源地でありながら、日本よりも早く立ち直っています。

景気対策で最も心配なのは日本です。

わざと景気を悪くしようという勢力が政権を握ってますので、どうしようもないですね。

今度の参院選で、自民党は痛い目を見なければ消費税は10%になるでしょう。

7月の選挙の情勢によっては日本株危うし、ということになるかもしれません。

なので、世界中に分散して投資しておくことは必須だと考えています。

安倍政権はMMTをやっているのか?

今、MMTと呼ばれる経済理論がアメリカで話題になっています。

このMMTを一言で言えば、物価上昇率が適正な範囲内であれば、政府は財政赤字を気にする必要はないというものです。

FRBのパウエル議長をはじめ、サマーズ元財務長官、黒田日銀総裁など経済界の重鎮はMMTに辛辣ですが、このブログではMMTを支持しています。

アメリカでは法律で政府債務の上限が決められていて、毎年のように与野党が予算編成でもめて、 政府機関が閉鎖されたりしています。


そんな中、予算の上限を気にする必要がないという理論は、大きな議論を巻き起こしました。


議論でよく引き合いに出されるのが、日本です


日本はGDPの200%を超える政府債務を抱えながら、物価上昇率は低く保たれて特に大きな問題を引き起こしていません。

アメリカの政府債務は対GDP比で100%そこそこですので、仮に今の2倍に政府債務が膨らんだとしても、日本をみればそれほど問題ないと考えることができます。

これをもって、日本はMMTのモデルだと考えているわけです。

ところが、4月4日の参院決算委員会で安倍総理は、MMTはやっていないと否定しています。

どちらが本当でしょうか?

結論を言うと、今回に関しては安倍総理は珍しく本当の事を言ったといえます。

第二次安倍政権が誕生した、平成25年度からの一般会計の決算を見てみましょう。

公債借入公債返済赤字
24年度
50.0 兆
21.0 兆 29.0 兆
25 年度 43.4 兆 21.3 兆 22.1 兆
26 年度 38.5 兆 22.2 兆 16.3 兆
27 年度 34.9 兆 22.5 兆 12.4 兆
28 年度 38.0 兆 22.1 兆 15.9 兆
29 年度 33.6 兆 22.5 兆 11.1 兆

平成24年末に安倍政権が誕生していますので、安倍政権が予算編成を行ったのは平成25年度からになります。

30年度がまだ出ていませんので29年度分までですが、安倍政権はゴリゴリの緊縮財政だとわかると思います。

返済額はほぼ一定ですが、借入が劇的に減っています

一般的な現政権に対するイメージは、軍事費やバラマキ型の外交で税金の無駄遣いを行っているように見えるかもしれませんが、実はかなりケチな財政運営を行っています。

借入が減った分は、平成26年の8%消費増税によってカバーされています。

注目していただきたいのは、25年度から、26年度にかけて公債借入が一気に5兆円も減っているところです。

8%に引き上げたことによって、消費税は5兆円程度増収になっていますが、社会保障費が1兆円程度増えた意外は、他の支出は一切増えていません。

つまり、消費増税分は見事に公債費圧縮の原資に使われてしまいました。

消費増税は社会保障に回っているという噂もありますが、そうではないのです。

政府の骨太の方針(嫌な響きですが)では、財政赤字は2025年にゼロになる予定です。

このことから、10月に予定されている消費増税は公債費圧縮の原資となる可能性が、極めて高いということが言えます。

財政赤字額を問題にしないMMTとは、真逆の姿勢です。

つまり、参院決算委員会で安倍総理が言ったように、安倍政権になってからMMT的な経済政策は行っていません

2000年から2018年までにアメリカのGDPは2倍に成長しており、日本はほぼ同額にとどまっています。

その間、アメリカの政府債務残高は4倍以上になり、対する日本は1.6倍程度です。

日本のGDPと政府債務の比率は、あたかも積極財政を行っているかのように見えますが、日本がMMT的だったのは2000年より前の話です。

2000年以降にMMTを積極的に行ったのはアメリカであり、日本は真逆の緊縮財政に走って経済が縮小したというのが現実です。

日銀データの見かた(資金循環統計)

データを見てみよう

国の借金が1200兆円にもなって大変だというニュースをよく目にします。元になるデータというのは日銀が三か月に一回発表する資金循環統計です。経済のことを考えるうえでデータは最も重要なのですが、発表する省庁ごとにバラバラに管理されており、探すのも結構めんどくさかったりします。なので、今回は一緒に見ていきたいと思います。

以下は日銀のサイトです。
http://www.boj.or.jp/

赤丸の統計にマウスを合わせるとメニューが表示されますので、「資金循環」をクリックしてください。

少し下のほうに参考図表というところがありますので、PDFをクリックします。

以下が政府、企業、家計などの金融資産と負債をいくら持っているかを表した図表になります。左下のほうに一般政府 (1,284)とあるのが、いわゆる「国の借金が1200兆円もあって大変だ!」といわれる政府の負債になりす。

参考図表なので細かい数字を並べた文書は他にあると思いますが、私はこれしか見ていません。ざっくりとした規模感覚が重要なので参考図表は便利です。右上の家計 (1,859)は「日本の家計の金融資産1800兆円!すごい!」といわれる根拠となる数字です。下のほうに資産の内訳が書いてあります。ちなみに経済学者や評論家の先生方もこの数字を見て発言しています。

画像では切れて見えませんが、下のほうに海外という項目があります。海外資産は708兆円あり、海外から見た資産というのは日本から見ると負債になります。つまり日本は海外に対して708兆円の金融負債があることになります。一方で資産(海外からみれば負債)は1040兆円あります。差し引き332兆円の金融資産を日本は持っているということがこの図表からわかります。

下のほうに行くと部門別の過不足金というページがあります。これは増えた資産と負債の差額を表しています。例えば一年間で200万円貯金して同時に100万円のローンを組んだとしたら、差し引き100万円の余剰金があったことなります。

②暦年を見ていただきたいのですが、17年の民間非金融法人企業は27.3兆円の余剰金が発生しています。これは2017年1月~12月までに企業全体の資産が負債よりも27.3兆円増えたということです。いわゆる内部留保が増えているというのが、この図からもわかると思います。12年~16年にかけて政府は猛烈な勢いで緊縮しています。2011年に東日本大震災があったことなど眼中にないかのような激しさです。

データは楽しい

このように実際にデータを見ることでわかることが色々ありますので、じっと眺めるだけでも結構楽しかったりします。政府の杜撰なデータ管理が問題になっていますが、これは非常に問題です。たとえ話ですが、手術中に血圧データが正確にわからなかったら患者はどうなるでしょうか。正しいデータからしか正しい政策は生まれませんので、総理大臣以下襟を正す必要があると思います。

希望の党の公約はなぜダメなのか

ユリノミクスの中身は?

衆議院選挙が10月22日に行われます。新たに小池東京都知事を代表とする希望の党が結成され、旧民進党から多くの議員が移籍するなど、政局が慌ただしくなっています。ただ、こういったときこそ政党の訴える政策を冷静に考えるべきです。希望の党は9の公約と12のゼロという政策を打ち上げており、総体としては小さな政府を目指しているということが言えます。

ただ、小さな政府を目指しているのであって、小さな政府ではないということを断っておきたいと思います。

「徹底した規制改革と特区を最大活用し、民間の活力を生かした経済活性化を図ります。」
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。」希望の党HP抜粋

小さな政府では政府はなるべく市場に口出しするのは控えて、民間企業の自由な経済活動を見守るという立場をとります。そのため、財政出動に過度に依存しないということが公約に掲げられているわけです。

ただ、希望の党の推進が推進しようとする小さな政府には矛盾点があります。2019年10月に10%引き上げが予定されている消費税ですが、小さな政府なら引き下げるか廃止の方向に行かざるを得ないからです。

財政出動を削減して、同時に減税をするというのが小さな政府のパッケージになります。共産党や社民党といった大きな政府を志向する政党なら、拡張的な財政出動を行いつつ増税となります。現状では消費増税は凍結するという煮え切らない態度をとっていますので、選挙の結果次第では増税に舵をきることは十分に考えられます。

アベユリでは庶民は置き去りに

もし自民党や希望の党のような緊縮的な財政政策をとりながら、かつ、増税という矛盾した政策をとる政党が政権を取った場合は、デフレが継続することになります。つまり、景気がいい景気がいいといわれながらも、庶民にはさっぱり美味しい部分が回ってこない経済ということです。

緊縮的な財政政策をとりながら増税しますので、当然といえば当然な結果です。こういった矛盾した政策をとるのには理由があります。

すべては財政再建のために

自民党も希望の党も小さい政府を志向していながら、なぜ増税という矛盾した税制を行うかというと財政再建のためです。中央と地方を合わせた公的債務は1200兆円を超えており、将来へのツケは減らさなければならないといわれています。

ただ、財政赤字が膨らんでいるのは日本だけではありません。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツなどすべて財政赤字は拡大しています。

アメリカ

カナダ

オーストラリア

ドイツ

そして日本

世界経済のネタ帳さんからお借りしました

先進国に限らず、発展途上国でも同様の傾向がみられます。すべての国は建国以来、右肩上がりに政府の債務は増え続けるものなのです。自然現象といってもいいでしょう。しかし、日本は2020年までにプライマリバランスをプラスにして、このグラフを右肩下がりにしようとしています。

財政支出を削減しながら増税をするのは国民を打ちのめすだけの政治であり、小さい政府でもなんでもありません。財政再建はやってはいけないのです。世界には200近くの国がありますが、政府債務が右肩下がりになっているところなどひとつもありません。それくらい財政赤字を削減するというのは尋常でない政策ということになります。

ベーシックインカムの甘いささやき

希望の党はベーシックインカムの議論も進めると公約にあります。国民全員(1億2千万人)一人当たり毎月5万円といった給付を行うものを、ベーシックインカムといいます。希望の党の基本路線はあくまで小さな政府ですので、ベーシックインカムを実施するとしたら、その分、既存の社会保障が削減されることが予想されます。

おそらく、ベーシックインカムを実施後の政府支出は、今よりもコンパクトなものになるでしょう。極論を言うと、医療費や国民年金といった社会保障はすべて廃止されてベーシックインカムでどうにかしようね、ということです。若くて健康なら良いでしょうが、高齢で病気がちの人にはきつい制度です。

本来、社会保障というのは、弱った人のためのものですので、そもそもといったところで疑問のある制度ではあります。むしろ、ベーシックインカムを導入するよりは、消費税を廃止するほうがすっきりするのではないでしょうか。

ベーシックインカムは全員一律ですので、制度管理などが簡略化されるのでコストがかからないというメリットがあります。しかし、政府全体の支出は削減の方向に行くのは間違いないので、やはり病気などの不測の事態に陥った時にどうするのか?が問われると考えられます。

客寄せパンダの12のゼロ

待機児童ゼロやブラック企業ゼロなど12のゼロの部分は一つ一つの政策に反対する人はほぼいないでしょう。花粉症ゼロや満員電車ゼロなどどうやって実現するのか???なものもあります。問題はいかにしてこの12のゼロを達成するか、という方法が明記されていないところです。

12のゼロ

原発ゼロ
隠ぺいゼロ
企業団体献金ゼロ
待機児童ゼロ
受動喫煙ゼロ
満員電車ゼロ
ペット殺処分ゼロ
フードロスゼロ
ブラック企業ゼロ
花粉症ゼロ
移動困難者ゼロ
電柱ゼロ

やはりここでも基本となるのは、財政に頼らずにどれだけできるのか?というところです。小さい政府を目指す以上は余計な支出は控えなければいけません。電柱ゼロを実行するのにはお金がかかるわけですが、ベーシックインカム同様、増税かほかの予算を削って実施することになるでしょう。どこかにしわ寄せがくるわけです。

希望の党とは

経済政策に関して言えば、希望の党は小さな政府のふりをした、国民いじめの党になる可能性があるといえます。これは現政権である自民党も同様です。財政再建にこだわって緊縮財政 + 増税というありえない政策を打ち出す以上、そう評価せざるを得ません。財政再建という発想をやめない限り、日本がデフレから脱却して、みんなが経済的な豊かさを感じることのできる社会は、絶対に来ないでしょう。

希望の党の経済政策上は以上のようなことが言えるわけです。他にも見るべきポイントはありますので、総合的に判断して投票していただきたいと思います。

日本はまだ経済成長できるのか?

古い経済発展のイメージ

第二次世界大戦後、日本は高度経済成長をしました。昭和40年代初めは、3Cと言われたカラーテレビ(Color TV)、車(Car)、クーラー(Cooler)が豊かさの象徴として家庭に普及していった時代です。

東京オリンピックを境に日本は急激に経済的な発展を遂げます。その頃は新幹線や高速自動車網といった、インフラの発展も目覚しいものがありました。こういったイメージがあるせいか、日本はこれ以上発展しないのではないか、と感じる人も少なくありません。

戦後の焼け野が原から、綺麗な建物が立ち並ぶ町並みや、整備された道路へ発展するには伸び代があるように思われます。しかし、今の日本から更に発展するとなると、なかなかイメージが湧き難いからです。

確かにモノは十分にあり、生活に困ることはないかもしれません。これ以上発展しなくても良い、と考える人もいるでしょう。

しかし、一方で豊かな国であるはずの日本に、貧困の問題がでてきています。所得の低い人にとっては日本が豊かであるというのは、どこか別の世界の話であるように感じるかもしれません。

貧困問題は経済発展のチャンス

所得の低い人たちがいるとういうことは、それだけ日本には経済発展する余地がある、ということでもあります。所得が低いばっかりに諦めている住宅や教育の機会など、それだけ経済発展の可能性があるからです。

そのためには労働者の4割を占める非正規雇用という働き方に、政府が真剣に取り組む必要があります。最低賃金を上げるだけにとどまらず、雇用形態や労働分配率の改善といった取り組みが必要です。不足しているところにお金を還流させることで、より日本を豊かにしていくことができます。

高度成長期はよくストライキがありました。小学校の先生なども賃上げ要求して、授業をボイコットしたりしていました。今の世の中でそこまでするのは難しいですが、昭和の労働者はしたたかで、明るさがあったように思います。労使の力関係も今のままで良いのか、考えていく必要があります。

災害対策やインフラへの投資が必要

また、最近は地震や台風、水害といった自然災害が多く発生しています。台風が日本列島を通過すると必ずと言っていいほど亡くなる方がいます。河川の洪水対策や建物の耐震化などは、まだまだ始まったばかりであり、やろうと思えば山のように仕事はあります。

インフラのバージョンアップというのは今からの課題です。ようやく実現したリニアの普及や、車の渋滞問題も解消しなければなりません。

休みの日にどこか行こうと思っても、思いのほか渋滞がひどくて、時間ばかり経ってしまうことがあります。これもインフラの投資不足が原因であり、スムーズに車が流れればそれだけ経済効果も高まります。被災者ゼロ、渋滞ゼロ、を目指してより質の高い社会資本整備を行う必要があります。

2016年はヴァーチャルリアリティ元年だそうです。また、AIやロボットといった、新たな産業が芽吹き始めています。自動車の自動運転もかなりのレベルまできており、東京オリンピックでは自動運転のタクシーを導入すると政府は公言しています。

社会資本整備や新しい分野の経済成長は今からです。高度成長期の数倍、数十倍のポテンシャルを秘めている。そう考えても間違いなさそうです。

国債は暴落するか?

国債とは

国債が暴落するという本が本屋さんにあり、心配している方もいらっしゃるかと思います。結論から言えばファンタジークラスのことが起こらなければ、理屈からいって起こることはありません。理屈を説明する前に国債について少し触れておきたいと思います。

国債というのは、政府がお金を借りるときの借用証書です。政府は税収で行政を行っていますが、足りない部分は国債を発行してお金を借りています。平成29年度の一般会計では73兆円の支出のうち、10兆円が国債で補填されました。

国債は主に銀行や生命保険といった金融機関が購入しています。購入すると言ってもお金を政府に貸しているということです。金融機関が国債を買うときのお金は私たちの預貯金や保険の掛金です。

kokusai
預貯金や保険料は利子をつけて返さないといけないので、銀行や生保にとっては負債になります。利子をつけて返すには住宅ローンや企業向け融資といったもので、金利を稼ぐ必要がありますが、適当な貸出先が見当たらない場合、銀行や生保は国債で運用します。

本来なら3、4%くらいで企業などに貸したいところですが、デフレの経済環境の中で借りてくれるところが無いために、国債を買わざるを得ないというのが現状です。個人や企業に貸すと返ってこなくなる可能性もあるのですが、政府はほぼそういった心配がありません。

国債は誰が持っているのか

以上のような理由で、銀行や生命保険は国債を持たざるを得ない状況にあるということを踏まえて下の図をご覧ください。

財務省HPより

これは今までに発行された国債を誰が持っているかの内訳です(2017年6月末)。1084兆円のうち436兆円を日銀が保有しています。以前はこんなに大量に国債は保有していませんでしたが、アベノミクスの第一の矢である金融緩和でお金を市場に流したために大量の国債を保有することになりました。

国債が暴落するとしたら、誰かが投げ売りをしてくると考えられますが、日銀が投げ売りをしてくることはまずないでしょう。日銀が政府に反旗をひるがえして投げ売りにでるのは、九州が日本から独立するくらいの確立です。

二番目に多いのが国内の金融機関です。投げ売りたくても投げうる理由がありません。政府が貸し倒れになる可能性は低く、他に適当な預貯金の運用先もなければ売る理由がないからです。その次に多いのが公的年金と年金基金が77兆円持っています。公的年金が国債を投げ売りすることも、ちょっと考えられません。

あとは海外が117兆円分もっていますが、これはどうでしょうか?もしかしたら投げ売りを仕掛けてくるかもしれません。

国債が投げ売りにあったら

可能性は低いですが、万が一海外が投げ売りをしてくれば、国内金融機関が我先に買うでしょう。日本国内に出回っている国債は不足気味ですので、銀行や生保が喜んで買う可能性大です。

もし、それでも足りなければ政府が日銀に買わせることも可能です。すでに436兆円もっていますが、あと117兆を買い取ることは不可能ではありません。買い取る時のお金の出所は税金ではありません。日銀が新たに発行したお金です。その意味では制限なく素早くに買い取ることも可能です。

安倍政権は量的緩和を行っており、日銀が金融機関から国債を大量に買っています。年間80兆円ペースで国債を買い集めており、海外の保有者が全部売ったとしても、日銀が一年ちょっとで買い取れる金額です。日銀が量的緩和で国債を買っているので、国内は国債不足にすらなりつつあります。

また、仮に外国人が国債を売ったとしても、売って手に入れたお金はどこにいくのでしょうか?両替してドルにするかもしれません。両替をして円を受け取ったであろう金融機関は、両替した円をどこかに貸出すなり使うなりする必要があります。

タンス預金でもすれば別ですが、兆単位のお金は口座に入れて管理するはずです。銀行に預けるのであれば再び国債の原資になります。銀行に預けられたお金は運用難で国債を買うからです。国債を売ったお金は巡り巡って国債に向かうのです。

というわけで、日本円はどうあがいても再び国債を買う運命にあるということが言えます。銀行の口座に入るということは、そのまま国債購入に充てられるからです。

保有者の構成や保有している理由を考えると、投げ売りにあうというシナリオは、極めて起こりにくいということが言えそうです。

消費税増税

そもそも税金はお金のある人から徴収して、お金の無い人への分配するのが本来の目的です。ところが、消費税は全ての人から徴収するため、再分配という税制本来の性格が歪められてしまいます。このことを逆進性といいます。逆進性の強い消費税は、税制本来の再分配とは真逆の政策ということになります。

 

安倍総理が消費税を予定通り2019年の10月に引き上げると公言しました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170805-00050064-yom-pol

 安倍首相は5日、読売テレビの番組に出演し、2019年10月の消費税率10%への引き上げについて、「予定通り行っていく考えだ」と述べた。

 当初15年10月の予定だった引き上げは、首相が景気失速への懸念から2度延期している。内閣支持率の下落で与党内からもアベノミクスへの批判が出ており、財政再建に取り組む姿勢を強調した。今後の経済運営については「企業に働きかけて賃上げし、デフレからの脱却を目指したい」と述べた。

 

最近、政府は財政再建の旗を掲げて緊縮財政と増税を推し進めようとしています。2020年までに支出と収入を同じにする、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を目標としています。消費税増税もプライマリーバランス黒字化の一環になります。

 

現状、日本は歳入よりも歳出の方が多く、財政赤字が拡大しています。それを2020年までにトントンにしようというわけです。歳入と歳出がバランスすればそれ以上は財政赤字は拡大しません。これをプライマリーバランスといいます。

 

一般の家庭であれば結構なことですが、政府がこれをやると景気が冷え込む原因になります。私が小学生の頃は景気が悪い時は、減税をして公共事業をすれば景気がよくなると社会科で習ったものでした。しかし、現在の政府がやろうとしていることはこれとは真逆です。文部科学省(旧文部省)も政府の一部ですので、なんかトチ狂ったことをやっているという感が否めません。前に言っていたことと違うことをやっているわけです。

 

そうは言っても、孫子の代に借金を残すのは・・という意見もあるかと思います。しかし、私たちのおじいさんやそのまたおじいさんは私たちに大量の借金を残してきました。その代わり、私たちに科学技術やインフラなどたくさんの資産ものこしてくれました。もし、お金をけちって日本に投資していなかったら今の私たちの暮らしはどうなっていたでしょうか。

 

インフラへの投資を行ったために大量輸送が可能になり、全国どこでも東京と同じような商品が手に入るようになりました。地震や水害といった災害で道路などが寸断されると、普通の生活が送れなくなるのはニュースなどを見ればすぐにわかります。私たちの生活はインフラなくして成り立たないのです。

 

プライマリーバランスといった何のための目標かわからないもののために、消費税を上げたり科学技術やインフラへの投資を削減したりするのは、それこそ孫子へ貧素な日本を残すことになります。

年金の財源問題。年金カット法案は必要か?

安部政権は国会を延長して年金改正法案を強制的に通そうとしているようです。

現行では物価が上がれば年金も上がるマクロ経済スライド制になっていますが、今回の改正は物価が上昇しても賃金が上がらなければ,賃金に合わせて据え置くようにするものです。民進党の試算では国民年金が年額で4万円、厚生年金が14万円の削減になるとのことで野党は批判をしています。

 

厚生年金は平均月額147,000円、国民年金のみの月額は平均で54,000円程度であり、いま現在でも年金だけで生活できる水準にはありません。年金の財源が足りなくなるという不安を抱えている人も多いかと思いますが、本当に年金運営は厳しいのでしょうか?

年金の構造65歳以上の高齢者は3000万人を超えており、現役世代は6500万人です。そのことからお年寄り一人を二人の現役世代が支えていると言われています。

nenkin12

国民年金の保険料は月に16,260円ですので、二人で支えるとすると32,520円にしかなりません。実は国が1/2負担していて、それで満額の65008円を支給しています。つまり、

nenkin12g

このようなイメージです。平成21年3月までは国庫からの支出は1/3でした。高齢化に伴い、現役世代の負担が大きくなることから、1/2へ引き上げられました。

政府が1/2負担するにしても、その分税金で支払うなら保険料を上げるのと同じことです。2050年には1人が1人を支えることになるので、政府支出は1/2からさらに増えることが考えられます。政府が負担するにも財源が問題になってきます。

財源をどうするか?28年度予定の流れをざっくり見ると、以下のようなものになるようです。145兆円積立があり、損失が問題になったGPIFが運用しています。
nenkin_flow

100年安心を謳っている制度ですが、株で失敗などしていれば145兆はすぐになくなりそうです。また、保険料だけで不足するときは、徐々に切り崩して使います。若い人に限らずこれから受給する人でも少し不安があるかもしれません。

埋蔵金でもあればいいのですが、 実はあるのです。

埋蔵金はどこにあるのか?毎年1月から予算編成が始まり、一年のお金の使い道が決まります。これを一般会計といいます。それとは別に特別会計という用途を限定した会計があり、その中外国為替資金特別会計というものがあります。略して外為特会といいます。

外為特会には2016年10月末現在で1,242,792百万ドルの残高があり、日本円で140兆円ほどになります。今の所使う予定もそれほどなく、眠っている状態です。このお金を使おうというわけではありません。

そもそも、なぜこれほどまでの大金が眠っているのか?

というところに着目していただきたいのです。
もともと、円高が進行したときに、財務省が為替介入を行った名残です。為替が円高になると輸出企業の収益が悪化するので、円をドルに交換する市場介入をおこないます。

政府は政府短期債権を発行して、日銀から資金を得ます。これは税金ではなく、日銀が新たに発行したお金です。為替介入によって円安に誘導することで、政府の手元にはドルが残ります。これがさきほどの1,242,792百万ドルです。

ドルのままではなく、アメリカ国債を買って保有しているため、毎年2兆円前後の金利収入もあります。

つまり、この外為特会は通過発行によって、140兆円もの資金を保有していることになります。コツコツ税金を貯めたお金ではありません

隠さず外為特会のお金を使え、という議論もありますが、そんなことをしなくても通過発行して使えば済む話です。これが埋蔵量です。

お金はもともと人が作り出したものです。年金の支払いにも節度をもって使用すれば、新しく通貨発行することに何の問題ありません。

節度と言うのは物価上昇率です。一気に巨額の支出をすると、強いインフレになりますので、様子を見ながらということになります。通貨発行は物価の上昇を伴いますので、うまく支出すればデフレ脱却にも繋がると考えられます。

お金を発行して使うなど、とんでも無いことだと思われるかもしれません。このブログには他にもなぜお金に価値があるのかを説明した記事もありますので、一度落ちついてゆっくり考えてみられることをおすすめします。

日銀が行った量的緩和とは何か?

黒田日銀総裁が就任して3年半が経ちました。その間、一貫して2%の物価上昇率の達成を約束してきましたが、とうとう自分の任期の間は達成できない見通しとなりました。

あらためて、黒田日銀が行った量的緩和とは何かを振り返ってみましょう。

物価を上げるためには、消費や投資といった支出が必要となります。消費や投資が盛んということはイコール好景気であり、支出が増えればに物価が上がることになります。つまり、黒田総裁は景気を良くしたかった、ということです。そのためには、銀行にお金が大量にあれば、企業や個人が借りて投資するので好景気になると考えました。

銀行は国の債権である国債を大量に持っています。預金者から預かったお金を、国に貸し出して運用するためです。債権は元本が保証されているので、安全に運用をすることができます。その国債を日銀が買い取りました。これが量的緩和と言われるものです。

finance3

銀行は国債を手放して現金を入手します。このことによって、企業に貸し出す資金が銀行に準備されたわけです。日銀が国債を買い取るために支払ったお金は税金ではありません。日銀が新規に発行した通貨です。量的緩和には300兆円近いお金が使われており、今後も年間80兆円くらいのペースで国債を買い取っていく予定です。

sosai

楽しそうに印刷していますね。ここまでは上手くいきましたが、銀行から先に貸出しが拡大しなければ意味がありません。
理想としては全部貸し出せば企業は投資に回すので景気拡大と物価上昇が見込まれます。
しかし、現実にはこのようにほとんど投資にはまわらず、銀行の手元に残ってしまいました。

finance4

緩和をしたものの、お金は市場には十分にまわりませんでした。お金の貸し借りは、貸す側と借りる側の両方の意見が一致しなければ成立しません。通常、企業は仕事が忙しくなると人を増やしたり、事務所を大きくしたり投資を行います。いくら銀行が貸すからといっても仕事がない以上、投資はしないわけです。また、銀行にしても借りてくれるなら誰でもいいわけではありません。確実に返してくれる人を選ぶ必要があります。

このような理由から量的緩和は失敗ということになりました。