日本の財政を考える

政治, 為替, 社会, 通貨
規模の感覚をつかもう

私たちは消費税をはじめ、所得税や固定資産税など、様々な場面で税金を納めています。国民はどのくらい税金を納めて、国はどういったことに支出しているのでしょうか?

全体的な収入と支出のバランスを見ていただきたいと思います。ここではざっくりと、あえて兆単位以下は四捨五入しました。

これは一般会計と呼ばれるもので、29年度の予算の内訳です。毎年、国会で予算編成が行われるのがこの一般会計です。支出の中でも飛び抜けているのが、社会保障費の32兆円です。高齢化により、医療費、介護、年金の支出が多いためです。

1980年代は65歳以上は10人に1人もいませんでしたが、2017年現在、4人に1人が65歳以上です。まさに高齢化社会です。今後は更に高齢者は増え続けて、2050年には2人に1人が65歳以上の高齢者になると予想されています。

消費税は所得税の次に大きな税収になっており、17兆円もあります。8%にあげる前は約10兆円でしたので、消費税増税によってそれなりに増収になりました。しかし、国民の貧困化が進行しており、これ以上の増税は経済に悪影響を及ぼすでしょう。

収入で34兆円の借金をしつつ支出では24兆円の借金を返済しています。国債の利子の支払いや、新たな借り換えによるものです。返済よりも借りるほうが大きくなっています。国と地方を合わせると1200兆円の借金があるというのは、この部分に原因があるためです。予定通りいけば、今年は32兆円-24兆円=10兆円の借金が増えます。

このように、ざっくりと見ることで、全体的な感覚がつかみやすいかと思います。限られた税収の中から予算は組まれていますが、一般会計のほかに政府は特別会計という別の財布を持っています。

真の埋蔵金「特別会計」

特別会計という言葉は、聞かれたことはあると思います。本来は見通しをよくするために一般会計ですべてを管理をするのが理想ですが、事業の性質によっては混ぜないほうが良いものもあります。その中のひとつに外国為替資金特別会計というものがあります。

「実は、2017年度予算案では、外国為替資金特別会計(以下、外為特会)の運用益(俗に言われる「埋蔵金」の1つ)の全額を一般会計のその他収入に繰り入れた。」
時事通信より

特別会計は全部で14個あり、外国為替資金特別会計(外為特会)はそのひとつです。日本政府は行きすぎた円高を是正するために、為替介入を行ってきました。

政府は日銀から円を借りてきて、為替市場でドルに交換することで円安に誘導しました。結果、手元にはドルが残ったわけですが、そのドルを管理しているのが外為特会です。最後に為替介入を行ったのは2011年になります。

残高は全て外貨(主にドル)です。2016年3月末の時点で144兆円あり、そのうち120兆円はアメリカ国債で運用していす。

外為特会のお金はどこから出たものか

144兆円もの残高のある外為特会ですが、これは税金をコツコツ貯めたものではありません。原資は政府が日銀から借りてきたものです。日銀は政府が管理する認可法人ですので、事実上は政府の機関といっても差し支えありません。

つまり、政府は何もないところから144兆円ものお金を作り出して、ドルに交換したことになります。外為特会はまさに埋蔵金なわけですが、そもそも政府が何もないところから、それだけのお金を作り出せるということがポイントです。通貨発行権は国家にだけ認められた大きな権力です。ニセ札作りが重い罪に問われるのはこのためです。

外為特会の残高はアメリカ国債で運用されていて、年に2~3兆円くらいの利子が入っています。時事通信の記事は2017年度は、その全てを一般会計に繰り入れたとあります。

まさに打出の小槌ですね。年金削減や消費税増税の議論がある一方で、あるところにはあるものです。利子だけでなく、元本を使っても構いません。毎年20兆円ずつ使えば、消費税分以上の支出が可能ですし、なくなればまた通貨発行すればすむ話です。

注意しなければならないのは、政府支出による物価の上昇です。とはいうもののデフレの今、もっと大胆に使っても良いのではないでしょうか。少なくとも消費税増税は、今のところ必要なさそうです。


株と違い、FXが投資にはならない理由

投資, 為替

FXは投資ではない

FXで投資を始めようと考えている方には、冷や水をかけるようで申し訳ないのですが、FXは株などの投資とは違います。預貯金に金利がつかず年金に不安がある中、老後の準備に投資を考える方も多いかと思います。

確定拠出型年金などは株などを組み込んだ投資商品であり、こういったものは問題ないのですが、外国証拠金取引のFXは投資対象にはなりえません。特に老後の資金を考えている人には、とてもおすすめできるようなものではないのです。

その理由は、FXは投機だからです。FX業者の広告などを見るとFX投資を始めませんか?と必ず投資と書かれています。でも、これは少し問題がある表現と言わざるを得ません。

その利益の裏には誰かの損がある

投機と投資の違いは、その利益のうらには誰かの損失があるかどうかです。もし、1ドル110円の時に、1ドルを保有したとします。その後、120円になった所で円に戻せば10円の利益になります。その後、110円に戻ったとしても、利益は確保されています。ただし、120円で円を買いに戻す際に、反対側では120円を1ドルにした人がいたわけです。

1ドルを持った人は、逆に110円に値下がりすることで、10円の損になります。あなたが10円利益を得た裏では、10円の損失を出した人がいるわけです。いわゆるゼロサムゲームというものです。

利益を得た人と損をした人の損益を合計すると、ゼロになるためにそう呼ばれています。投資と投機の区別はゼロサムゲームがどうか?利益の裏で、誰か損をした人がいるかどうかで決まります。

株とFXの決定的な違い

下の図は46年にわたるドル円のチャートです。

1971年に変動為替になったために、それ以前のデータはありません。1971年から今現在(2017年)までに1/3になりました。

大きく値下がりしているように見えますが、360円から120円という値幅は、株に比べると小さな動きです。また、下がっても売りから入ることができれば儲けることは可能です。

一方、下の図は株です。ダウ指数の過去37年のものです。

1980年に比べて10倍以上になっています。株は時間が経てばたつほど価格が上がります。企業が成長すると株価も上がるためです。

簡単に言うと為替の動きは

といったような横の波であり、株は

のような右肩上がりのグラフになります。

株と為替が決定的に違うのは、このグラフの形状です。為替の動きは2国間の通貨の交換レートですので、上がるのが正義というわけではありません。その時々で適正と思われる価格に落ち着きます。

上がると思って買ったら下がりだしたり、下がると思って売ったら上がり出したりするので、勘よく売買する必要があります。細かく売買するうちに、儲かる人と損をする人がでてきます。横の波はゼロサムゲーム(投機)になる原因になります。

株も短期で見れば上下を繰り返しており、その点は為替と変わりありません。しかし、長期的には値段が上がり続けるため、短期売買をしなければ、ゼロサムゲームにはなりません。

長期的なスタンスで株を保有すれば、みんなが利益を得ることも可能なのです。残念ながら、日本の株は1990年代のバブル崩壊以降は、その当時の価格を上回っていません。日本経済がデフレで、経済成長がストップしているためです。早いデフレ脱却が求められます。

スワップ金利による投資

高金利通貨のスワップを目的としたものは、投資のようにも思えます。ただ、これは外貨預金と同じで投資ではありません。お金を借りてきて貯金をしているのと同じことです。貯金をするのに為替リスクをとるのは割に合いません。

ランド円は高金利通貨ですので、スワップ目的で保有する人が多い通貨です。ただ、2007年からのチャートを見てもらうと大きく値下がりしています。

少しくらいスワップ金利がよくても、これだけレートが動いてしまうと損失になるでしょう。含み損がプラスになるには長い年月待つことになります。短期トレードよりはましかもしれませんが、それでもおいしい話というわけでもなさそうです。

コツコツ貯まっているようで、一年間スワップ金利を貯めたとしても、1日で評価損がマイナスになることもあります。待っていればプラスになるかもしれませんが、それがいつになるかはわかりません。

FXで勝ち続ける自信はありますか?

FXで勝ち続けるのは、ある意味、他の人を負かし続けることです。勝ち続ける人がいない訳ではないのですが、かなり難しいのが現実です。まして、資産形成の為に手を出すのはオススメしません。

パチンコのように攻略できないことはないのかもしれません。しかし、投資とは程遠いのは言うまでもありません。投機は運の要素が大きいのです。

まとめ

横に続いていく波はゼロサムゲームを生みやすいので、注意が必要です。FXは特にその傾向が顕著なので、理解した上で取り組むことをオススメします。

また、スワップ目的としたものも、貯金をするのに為替リスクをとるのは割に合いません。同じ理由で外貨預金などもオススメできないのですが、手数料が安い分、FXのほうがまだましかもしれません。

・投資はみんなが利益を得ることも可能。
・投機はみんなが利益を得ることは不可能。(うまく売買はすれば利益になる。)

横波にはくれぐれもご注意を。


ビットコインを他のものに例えると?

為替, 通貨

ビットコインは郵便為替のようなもの

最近ビットコインという言葉を耳にすることが多くなってきました。ビットコインというのはインターネット上で使用される仮想的な通貨です。

しかし、ビットコインがどういうものであるかというのは、なかなか理解が難しいところです。ビットコインを他のモノに例えるなら郵便為替のようなものと言えるでしょう。

郵便では現金は送れないので、通常は現金書留か為替にして送ります。窓口で送金するお金と手数料を払うと、為替の証書をもらえるのでそれを郵送します。受け取った人は再び窓口で現金に替えるわけです。

ビットコインもこれと全く同じような使い方をします。現金をビットコインに交換して相手に送ると、受け取った人は再び現金に交換します。ビットコインは決済手段の一つと言われるのは、このような利用の仕方をするためです。

郵便為替との違いは世界中どこにでも送金できるのと、10分ほどで送金完了できる早さです。他にもいろいろと送金手段はありますが、手数料が安く利用できるということと、個人情報などを必要としないことも特徴となっています。

安く早くお手軽に送金ができるため、主にネットショッピングやオークションといった商取引でひろく利用されています。

郵便為替は半年以内に窓口で現金に交換する必要がありますが、ビットコインに現金への交換期限はありません。そのため、ビットコインのまま保持し続けて、次の取引のときに使う場合もあります。そうするとビットコインは一種のお金のような性質をもつことになります。

ビットコインの正体は数字のやりとり

ビットコインというのはコンピュータの中の数字にすぎません。ネットワークを通じて田中さんから鈴木さんにコンピュータ上の数字を送ったというだけで、本来、経済とは関係のないの単なる数のやりとりです。ただ、郵便為替のように信頼性が高いために、送金手段として使われているわけです。

131voZorSMjx6uJPTFw65hHvaxZdedGY4M

これは実際の私のビットコインの口座番号(のようなもの)になります。このアドレスを指定すれば私にビットコインを送ることができます。郵便為替でいうところの住所氏名にあたります。このアドレスだけでは私がどこの誰かということはわかりません。ビットコインは個人情報を必要としないのです。

ちなみに上のアドレスは本物ですので、本当にビットコインを送ってもらってもかまいません(笑)。

送金するということ

少し送金するということを考えてみたいと思います。

A銀行からB銀行に1万円を送金したとします。A銀行の残高を1万円減らすと同時に、B銀行の残高を1万円ふやす操作をします。このような操作をすることで「送った」ように見えるわけです。

完全に電子的な操作なので、本当に何かを送ったわけではありません。また、電子的なものなので、間違えると証拠がありません。A銀行の口座を1万円減らしたのに、停電などのトラブルでB銀行の口座を増やさなかったら、1万円がこの世から消えてしまいます。

実際にこのようなことが起きることはまず考えられませんが、技術的な話としてはあり得るわけです。金融システムは一方を減らして一方を増やすといった、矛盾が無い状態を保つことが重要になります。ビットコインはこの仕組みが、とても優秀なのです。

つまり、送ったコインが消えてしまったり、送られてもいないコインを不正に受け取ったりすることが、できない仕組みになっています。

ビットコインの仕組み

ビットコインのキモは台帳の管理の仕方にあります。銀行の口座残高は銀行のシステムで一か所で厳重に管理されていますが、ビットコインの残高はビットコイン参加者全員が同じ台帳を持っています。

これは逆転の発想で、全員が同じ台帳をもっていればもし一人が不正を行ったとしても、他の人の台帳とちがえばすぐにばれるという考え方です。世界中で何億という人がビットコインに参加していますので、一遍にそれらの人たちの台帳を改ざんしなければ不正はできません。

全員で監視するほうが、ある意味、銀行のシステムのように一か所で管理するよりリスクが低いとも言えます。また、個人情報は一切必要としないため、口座残高や口座間のコインの動きはわかっても、それがどこの誰のものかはわからないようになっています。

ビットコインを送信するということ

ビットコインは分散された台帳に記録されています。ビットコインを1枚、AさんからBさんに送信したら、すべての台帳の残高を変更しなければなりません。その台帳を更新する役割を買って出ているのが、マイナーと呼ばれる人たちです。

マイナーになって台帳更新の作業を行うとビットコインが手数料としてもらえます。台帳更新専用のソフトをダウンロードすれば、だれでもマイナーになれます。ビットコインを求めて、世界中に不特定多数のマイナーがいます。

作業といっても、ソフトを立ち上げればあとは自動で動いてくれますので、人が何かをやるわけではありません。例えばMinerGateというソフトはそのひとつです。

緑になっているところがマイニング(台帳の更新作業)をおこなっている部分になります。あとは、パソコンの電源を落とさずに放置しておけばビットコインがもらえるというわけです。このソフトはほかにもイーサリアムといった他の仮想通貨のマイニングもできます。

残念なことにビットコインは人気がありますので、実際にマイニングを行ってもパソコンの電気代のほうが高くついて、儲からないというのが現状です。ビットコインのマイニングは日本でなく、電気代の安い中国で企業が高性能コンピューターを導入して大々的に行っているそうです。

まとめ

以上のことからビットコインは郵便為替のようなものといえるわけです。マイナーが郵便局の代わりに送金のシステムを支えています。

仮想通貨というより、仮想為替といったほうがいいかもしれません。お金というより送金するためのツールだからです。


米大統領選と円安ドル高

海外, 為替

以前、トランプが大統領になれば円高になるという予想を立てていましたが、ものの見事に外れてしまいました。

現在の円安は、アメリカ国債の金利が上昇したことによるものという見方が多いようです。直近のアメリカの10年満期国債の利回りは2.35%です。日本の10年満期国債の利回りが0.02%ですので、アメリカに投資するほうが断然利益がでます。そこで円をドルに両替して国債や株などを購入する動きがでてきており、それが円安を引き起こしていると考えられます。
2.35%の金利では10000ドルをアメリカ10年満期国債に投資すると、10年後には12350ドルになって戻って来る計算です。
金利が変化するメカニズムを少しご説明したいと思います。

国債の利回りの計算

新規に発行された国債を購入する場合は、下のようなイメージになります。購入金額と満期の時に戻って来る金額が同じため、利子がそのまま利回りになります。

us_bond

利子100ドルと満期のときの元本はアメリカ政府によって保証されています。

購入するときは株のように市場で売買されているので、価格が変動しています。利子と満期は保証されていますが、購入価格は変動しているのです。なんらかの理由で途中で国債を売却して現金にするときは、新規の価格よりも安くなることが一般的です。
us_bond2
上の図は8900円で中古の国債を購入した例です。購入金額が安いために、新規で購入したときよりも利回りが良くなっています。

金利差によって動く為替レート

アメリカ国内ではトランプが大統領になったことで、より利回りの良い投資案件が出てきています。そこで、少し損してでも国債を売って、他の投資に振り向ける動きが出てきています。

特に10年間で1兆ドルのインフラ投資を公約として掲げていたために、建設関連の投資は増えることが予想されます。
世界中からアメリカに注目が集まって、ドルに両替する動きが続けばドル高は続くでしょう。しかし、ドル高はアメリカの輸入物価を押し下げることになり、外国製品がアメリカに大量に入ってくることを意味します。

トランプは雇用を重視していますので、こういった動きは受け入れられないでしょう。トランプがドル高に対してどのような対策を打ってくるかが注目されます。


ドナルドトランプが大統領になると円高になる理由

海外, 為替

トランプの政策が円高を招く
アメリカ大統領選挙が迫ってきました。ヒラリークリントンに引き離されていたドナルドトランプが、メール問題などをきっかけに追い上げてきているようです。

メディアや金融関係者はドナルドトランプが大統領になると円高になるという予測を立てています。なぜ、ドナルドトランプが大統領になると、円高になるのでしょうか。

 

オピニオン:米大統領選後はドル安と新興国株高へ=居林通氏

[東京 4日] – 今回の米大統領選挙で鮮明になったのは、米国政治の左傾化・保護主義化であり、為替市場へのインプリケーションとしては、選挙結果にかかわらず「ドル安」だと、UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパン・エクイティ・リサーチ・ヘッドの居林通氏は指摘する。

円高になる理由はドナルドトランプが掲げる政策にあります。

・TPPの離脱
・高所得者への課税、2万5千ドル以下の所得者の所得税免除
・最低賃金の引き上げ
・関税の引き上げなどの保護貿易
・10年間で1兆ドルのインフラへの投資

これらの政策を実行すれば、アメリカ国内の物価が上がることが予想されます。これらに共通するのは「大きい政府」ということです。トランプは共和党員であり、共和党は伝統的に小さい政府を目指していましたが、トランプは大きい政府をめざしています。

緩和的な財政政策を行うとインフレになります。戦争などで大量に支出すると短期間で物価が上がるなどがそうです。

最近はヒラリーも同じような中間所得層を重視した政策を掲げていますので、もしヒラリーが大統領になったとしても物価が上昇するかもしれません。

物価と為替
アメリカの物価が上がるとなぜ円高になるのでしょうか。1ドルのハンバーガーを例に考えてみます。
日本では同じハンバーガーが100円だとします。
bargar
同じものがアメリカでは1ドルで日本では100円であれば、為替の水準もだいたい1ドル100円ということになります。
rate

トランプが内需拡大して物価をあげてくると、当然ハンバーガーの値段も上がってきます。ハンバーガーが2ドルになったとします。
bargar2

日本の物価が変わらなければ2ドルで100円、つまり1ドル50円の円高になることが考えられます。
rate2

アメリカ国内の物価が上がれば円高になるメカニズムは以上です。

ご存知とは思いますがトランプ氏は不動産王です。内需拡大して物価が上昇すれば、当然不動産価格も上がることになります。そう考えるとアメリカ人の利益と自分の利益を実現できるので、トランプの掲げる政策の実現性はかなり高いと考えられます。


ポンド安の根本的な理由

為替

ポンドが安くなっている。イギリスのEU離脱前が1ポンド150円前後だったものが、離脱後130円まで下がった。

昨日、ついに130円の壁が破られて、一時125円台までポンド安が進んだ。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-10-08-10-58-52

なんでだろうと思って、材料を探したら次のようなものがあった。

http://klug-fx.jp/fxnews/detail.php?id=335024

メイ英首相は英中銀の金融刺激策の副作用を懸念しており、成長押し上げに新たなアプローチが必要との見方を示していた。メイ首相の政策チームの責任者である、ジョージ・フリーマン氏がBBCのインタビューで、政府の借り入れコストはゼロ付近で推移しており、インフラなど公的投資を増やす機会を提供していると指摘した。

メイ首相はキャメロン前首相が行っていた金持ち優遇の政策から、国内の中間層を重視した経済へ転換しようとしている。いわゆるサラリーマンを豊かにする経済だ。

そのためにインフラなどの財政出動をするらしい。このニュースが流れたことでポンドが下がったと考えられる。なぜなら、イギリス国内の物価が上昇する可能性が出てきたからだ。

 

igirisukeizai
なぜ、財政出動すると物価が上昇するのだろうか。
上の絵は一般的な資本主義社会における金持ちと庶民を表している。

政府がインフラ整備などで財政出動をすると、受注した企業に支払いが行われる。企業は従業員に給料を払うので、賃金が増える。

igirisukeizai2

政府が支出すると、広く国民の所得が増加する。図では庶民の所得が2倍に増えたのに対して、金持ちのお金は全体の比率としてはさほど増えていない。さらに財政出動が続くと・・

igirisukeizai3

今までは庶民に圧倒的な差をつけていたお金持ちだが、政府支出が続いてその差は縮まってしまった。こうなると、物価が変動することになる。

例えば、スタバのキャラメル フラペチーノのTallが470円なのは、日本人の一般的な所得水準から見て妥当だからだ。

給料が20万そこそこで、フラペチーノが5000円といっても売れる見込みはない。やはり、フラペチーノは470円になるべくしてなったのだ。

しかし、仮に平均的なサラリーマンの給料が60万になったとしたら、3倍の1410円でも十分に売れるだろう。

スターバックスにしても、世の中的な水準に合わせて価格設定をしていくはずだ。みんな給料を60万ももらっているのに、キャラメルフラペチーノをいつまでも470円で売るほど世間知らずではない。

 

政府が財政出動をすると国民の所得が増える。所得が増えるとそれに合わせるように、物価が上昇していくことになる。これがインフレだ。

では、インフレがどうポンド安に結びつくのだろうか。

同じものが日本とイギイスで売っていれば、ほぼ同じ価格と考えられる。そのことから、逆に通貨のレートを決めることができる。
日本とイギリスでスタバの価格を比較してみたい。

トラベロコさんによると、イギリスのスタバでキャラメルフラペチーノが3.4ポンドらしい。

igirisukeizai4
キャラメルフラペチーノが同じ品質とすると1ポンド138円になる。イギリスでインフレが起こって、キャラメルフラペチーノが6ポンドになったとすると、

igirisukeizai5

1ポンド78円になると考えられる。物価が上昇するとその国の通貨は安くなる。

このように、財政出動をすれば国民の所得が増える。国民の所得が増えればインフレになり、インフレが通貨を安くすることになる。

EUに加盟している国は、財政規律を守るようにドイツに厳しく注文をつけれられる。今回、イギリスはEUを離脱したことによって、財政の自由を手にいれた。離脱の瞬間も大きくポンドが値下がりしたが、今回の閣僚の発言でも財政に対する期待が膨らんだのではないだろうか。

ロイターやブルームバーグといった、大企業や金融機関寄りの新聞は離脱について否定的だ。彼らはできるだけ大きな市場で商売をしたほうが儲かるので、イギリスの離脱のことを快く思っていない。

しかし、日本でも円安が進んで爆買いが起こったように、イギリスでも旅行者が大きく増えるだろう。また、輸入物価が上がるので、価格の安い国内の産業が見直されるかもしれない。

グローバル企業には悪夢かもしれないが、イギリスの中産階級のためには、離脱してよかったのではないだろうか。

【追記】2016/10/9
要人発言でポンドが安くなったように書いたが、ポンドが急激に動いたのは日本時間の朝8時であり、イギリスでは夜中の0時を回った頃になる。

131円台から125円台まで6円以上数分のうちに動いたらしいので、発言をきっかけに動いたというのは誤りだ。ただ、イギリスがインフレ基調になっているのは間違いないと思われる。