MMTのキモ

ステファニーケルトン教授が来日しました。

三橋さんのブログにも登場していた、水槽の図を紹介しようと思います。

ケルトン教授がMMTを説明する際に使用したものらしく、ケルトン教授自身のオリジナルの説明は聞いたことがないのですが、一目で何を言いたいのかがわかる図です。

水槽が日本国内を表しており、政府支出が水道から注がれています。

一方、税金が水槽から水を抜いていて、水槽の中は民間の金融資産の総量ということになります。

極めてシンプルですが、お金の流れをよく表していると思います。

水槽の水位は政府支出と税金によってコントロールされるわけですが、水槽の中には銀行もあり、そこでも信用創造によって水(お金)が生まれています。

なので、必ずしも支出と税金の差が水槽に蓄積されているわけではありません。

政府が意図しないところで、信用創造や信用収縮がおきますので、慎重に水位を調整する必要があります。

この図で厄介なのは、水位が上がったとしても、必ずしも物価が上がるわけではないというところです。水位がそのまま物価を表しているわけではありません。

水位はマネーストックを表しており、物価ではないからです。

普通に考えれば世の中にお金が溢れればインフレになるわけですが、考えないといけなのは格差の問題です。

20年くらいGDP横ばいで、国民総所得は一定のはずなのに、なぜか貧困が増えているというのは、所得の偏りが大きくなったということに他なりません。

政府支出をしても多くの人にお金が行き渡らなければ、100兆円支出してもインフレにはなりません。

日本のどこかに金欠病で苦しんでいる人がいる限り、インフレにはならないと考えられます。

マネーストックがいくら増えようと、金欠病を克服するまで政府支出は増やす必要があります。

溢れそうになったら、蛇口を閉めて下から抜けばいいというわけではないということです。

これはMMTの主張する財政の基準を物価に置くということで矛盾はありませんが、図として物価を説明しきれていないという意味で、もう少し工夫がいるのかもしれません。

物価は値段のことではありません。

MMTの議論が盛り上がっています。

MMTの主張は、財政赤字は物価上昇率の許す範囲であれば、その額は問題にならないというものです。

では、物価とは何なのか少し整理したいと思います。

ここで述べる物価理論は、からあげ弁当オリジナル理論ですので、そのつもりでお読みください。 

何でもそうですが、何かを他者と交換する場合、お互いの持ち物の価値を値踏みして交換します。

GパンとTシャツなら、Gパンのほうが生地も多いので価値が高いとします。

だったら、Gパン1枚とTシャツ2枚なら交換してもいいよ、といった感じになるでしょう。

お金を出して買う場合も全く同じで、買うものの価値と、円の価値を比較して値段が決まります。

値段はモノとお金の価値の合成値であると言うことです。

例えば野菜の値段が上がったとしたら、可能性としては2つ考えられます。

1つは天候不順で野菜か不作になって値段が上がる場合と、もう一つはお金の価値が下がって値段が上がる場合です。

インフレという場合は、後者の事を指します。

同じ値段が上がるにしても、インフレとそうでないものがあるという事です。

物価が上がるというのは、お金の価値が下がった結果、値段が上がることを指します。

原油高でガソリンが値上がりしたのを、インフレだというのは間違っているということですね。

お金にしろ野菜にしろ少なくなると価値が高まり、多くなると価値が下がります。

野菜の価値(量)は天候や生産技術などで決まりますが、お金の価値(量)は税制と政府支出と信用創造で決まります。

税金が高くなると、市場に出回るお金の量が減って、お金の価値が上がることで物価が下がります。

逆に政府支出や信用創造が活発になると、お金がより多く出回りますので、物価が上がります。

信用創造というのは、企業や個人が銀行からお金を借りて使うことです。

借りたお金というのは、新たに創出されたお金ですので、その分市場にお金が増えることになります。

企業が設備投資したり、景気がいいときにインフレになるのはこのためです。

ただ、企業の設備投資は税制と政府支出に依存しています。

リニアモーターカーを九州から北海道まで通すと国が宣言して投資減税などを行えば、大手ゼネコンは様々な投資を行うでしょう。

逆に企業に対して投資額に応じて課税するなどといった事をやれば、しょぼくれて確実に信用創造は減ります。

国内を還流するほとんどのお金は民間の信用創造によるものですが、ほぼ税制と政府支出によって決まります。

政府の態度によって、民間の信用創造は調子に乗りやすく、しょぼくれやすいのです。

そういう意味ではお金の量を決定するのは、税制と政府支出の2つだといって良いと思います。

物価が上がるときというのは、すべての物やサービスが一斉に上がります。

売買の基準となるお金の価値が下がるわけですから、当然ですね。

値段というのは単なるモノの値段ではなく、モノの価値とお金の価値の合成値であるという事を意識すると、色々面白い発見があるかもしれません。

ステファニー・ケルトン教授来たる!【MMT】

あのMMTで有名なステファニーケルトン教授が、7月に日本でシンポジウムを行うようです。


【藤井聡】ケルトン教授を招聘した、MMT国際シンポジウムを開催します!

バーニーサンダースも来年の大統領選挙に出馬するらしいので、再び経済アドバイザーに就任されるのでしょうか。

いずれにせよ、とてつもないビッグウェーブが暫く続きそうです。

あと、こちらの中野剛志さんのコラムも素晴らしいので是非ご覧ください。

MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由

政府(日銀)が円を発行しているのはご存知だと思いますが、その日本政府が円を借金したとしても、返せなくなることはないというのがMMTのベースになります。

三橋さんや西田さんなど信用創造の理屈にこだわってますが、あまりそこにこだわるとかえってわかりにくくなるような気がしています。

からあげ弁当は経済のことを考えるときは、下のような一枚の絵を思い浮かべます。

政府(日銀)が通貨を発行して世の中を回り、最後に税金として政府に戻っていくイメージです。

税金より政府支出が増えれば世の中に出回る量が増えます。

公務員給料や社会保障、教育など何でもいいのですが、何かに支出をすることによって流通する通貨が増えれば、インフレになります。

ガンガン支出しても、一方でガンガンに税金をとれば、バランス的に物価はさほど上がらないと考えることができます。(大きい政府)

逆に少ししが政府が支出しないとしても、税金がそれ以上に安かったらインフレになります。(小さい政府)

あり得ないことですが、支出より税金のほうが高くなれば、いずれ円は無くなります。

風呂のお湯も、蛇口から入るものより、栓が抜けて出ていくほうが多ければ、いつかなくなるのと同じことです。

通貨が減っていくときはデフレになります。

政府支出と税金はイコールで良いのではないか、という意見が出てくるかと思いますが、ここに落とし穴があります。

イコールということは、財務省のいうプライマリーバランスの均衡と同義です。

実は支出と税がバランスするとまずいのです。

少し前に流行った、ピケティの「資本収益率は産出と所得の成長率を上回ると、経済は持続不可能だ」というのを覚えていらっしゃるでしょうか。

自由に経済活動をしていくと、金持ちとそうでないの差がジャンジャン開いていきます。

政府支出と税収が均衡していると、お金のパイは一定ですから、徐々に金持ちとそうでない人がでてきて、みるみる生活が苦しくなるはずです。

もちろん、沢山持っている人から税金をとって再分配するわけですが、全員同じ資産になるほど徴税するわけにも行きません。

そこで、政府は通貨発行によって、税金よりも政府支出を多くして、お金のない人に配ることが必要になります。

毎年、世の中に出回るお金の量が増えますので、徐々にインフレが進むことになります。

昔の物価が安いのはそのせいです。

もう少しディテールを追加したものが、下の図になります。

ここでは銀行が貸出することで、信用創造を行っています。

国内の通貨量は政府支出と税の他に、銀行の貸出と返済で決まることになり、日銀は銀行の貸出態度を管理することで、物価を調整します。

貸出が増えれば通貨量が増えて物価が上昇し、返済すると通貨量が減ることで下落します。

ただ、どの程度貸し出すかは、銀行と借り手の合意の問題ですので、日銀が金利を操作しても、政府支出や税金ほどコントロールがビシッと決まるものではありません。

だいたい、日銀が金融緩和するときは、政府も補正予算を組んだり、減税したりするので、過去のデータをみても、それが日銀の金融政策が効いたのか、補正予算の効果なのかは区別はつかないでしょう。

日銀の金融緩和は貸出増加になれば効果はあったのかもれませんが、企業の設備投資は微増ですので、そこまで効果があったかどうかは疑問です。

バブルが崩壊して借り手が少なくなったり、いわゆる信用収縮(借金返済)が起こるとデフレになります。

借金はインフレ圧力で、借金返済はデフレ圧力になります。

簡単な図ですが、通貨が増えているのか減っているのかを考えるだけでも、物価や経済について色々考えることができます。

固定資産税を払いました【固定資産税の存在意義とは?】

税金の季節ですね。

からあげ弁当のところにも固定資産税の納付書が来ました。

相続した畑なんですが、まったくの放置状態で、持っているだけで税金だけがどんどん出ていきます。

納付書は大概のコンビニで支払いが可能になっていて、非常に便利です。

気が利いています。

税金を取ることに関して、役所は労を惜しみません。

まあ、1500円なので大した額ではないんですが、それでも毎年嫌な気分にさせられます。

いっそ売ってしまえばいいのですが、田舎の畑なんか売ろうにも買い手がいません。

都会のマンションとかなら、すぐにでも買い手が見つかるのですが、田舎の柿山とかまったく売れる気がしません。

タダでもいいので誰か引き取ってくれないものでしょうか・・。

しかし、ご存知でしょうか。

この税金こそが、お金に価値を生み出すもとになっています。

固定資産税というのは、不動産を持ってるだけでお金を取られるという、理不尽極まりない制度ですが、そのことによって、私はどうにかして1500円を工面する必要に迫られることになります。

払わずに済ますことなどできません。

滞納しようものなら、最悪、資産の差し押さえになるかもしれません。

「からあげ弁当さーん、〇〇市税務課です。」

とやって来るわけです。

完全に嫌がらせですね。

そんな嫌がらせを受けるくらいなら、払ったほうがマシとなります。

お金なんて所詮、紙やニッケルや銅ですが、こういった仕組みによって、価値があることして流通させているわけです。

税金は無闇に取り立てているようで、円を法定通貨たらしめる役割があります。

よくできていると思います。

また、お金の価値は一定ではありません。

税金が下がったらお金の必要性が薄れるため、お金の価値は下がることになります。

いわゆるインフレというやつです。

税金取るのをやめてしまえば、お金の価値はゼロになりますので、本来の姿である紙やニッケルや銅に戻ることでしょう。

よくいうハイパーインフレですね。

ハイパーインフレはこういった無茶な政策によって起こすことも可能です。

円ではなくドルで納めることになっても、ハイパーインフレになりますね。

1ドル1,000円をあっという間に飛び越すでしょう。

ドイツでは不動産を放棄できる法律があって、登記簿に放棄の旨を記載すれば「無主地」として州が管理するらしいです。

羨ましい法律です。

不要な不動産のために税金が取られることもなく、過剰な通貨価値の上昇が防げます。

ドイツは緊縮財政のイメージがありますが、こういった緩衝的な制度もあるからバランスがとれるのかもしれません。

でも、日本でも考えないといけないと思います。

空き家は家事になったりとかしますからね。

ヤマト運輸の値上げが喜べない理由

2017年から引き受け個数を制限していたヤマト運輸が、4月26日に連結決算を発表して増収増益になったようです。

純利益が40%アップという素晴らしい成果であり、主に値上げの効果が高かったとのこと。

引き受け単価のアップが、増加した人件費をカバーしての増益だったようです。

株主「ヒッヒッヒッ・・・」

しかし、やったーデフレ脱却だ!とはいきません。

一時に比べたら残業代などの労働対価がきちんと支払われるようになり、そういった部分では良いのですが、この値上げは本当の意味でのディマンドプルなインフレではないように思います。

あくまで業界の惨状が社会的問題になってのことです。

ディマンドプルなインフレというのは、需要が多くて値段が上がっていくことです。

この値上げというのはどちらかというと、野菜の不作による値上げに近いものがあります。

供給力が不足して運送業自体の価値があがったのです。

つまり、みんなの財布の中身は変わらないのに、宅配料だけ上がっているので実質的に国民は貧しくなったということが言えます。

本来であれば、消費者の財布の中身の増加に伴う値上げが理想です。

モノの値段というのはモノ自体の価値と通貨価値の合成値なので、値段が上がったといっても、物自体の価値が上がる場合もあれば、通貨価値が下がる場合もあります。

今回は、モノ自体の値段が上がったということであり、あまり喜ばしいことではありません。

例えば、格安スマホなどが普及していくのは逆に喜ばしいことです。

一見するとデフレが酷くなったようにも思えますが、これはキャリアの努力で安くサービスが提供できるようになったためであり、通貨価値が上がるデフレとは違います。

みんなの財布の中身は変わらずに、モノの値段が下がれば技術革新というわけです。

モノの値下がりや通貨の値下がりは歓迎すべきですが、モノの値上がりや通貨の値上がりはよいニュースではないので注意してください。

2019/5/8追記

値上げが喜べないと書きましたが、大口顧客への過剰な値引きが是正された、という意味では喜んでいいと思います。

ただ、これをもってデフレ脱却の兆しと捉えるのは間違いということです。

なぜ、マイルドなインフレがいいのか。

経済状態を考えるうえで、よく、マイルドなインフレがいいといわれます。

でも、なぜマイルドなインフレがいいのでしょうか?

ハイパーインフレよりは、マイルドなインフレがいいというのはわかると思います。

しかし、マイルドなデフレやゼロインフレではダメなのでしょうか?

ここで述べるのは、からあげ弁当オリジナルの理論なので、話半分に聞いていただきたいと思います。

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上の式は少し前に流行ったピケティ著、「21世紀の資本の資本」に出てくる式です。

株などの資本収益率のほうが、経済成長率(給料の伸び率)を超えているというのが、歴史の事実ということをピケティーは示しました。

簡単に言うと、資本主義では金持ちのところにより金が集まって、労働賃金より成長速度が速い。ということです。

このことにより格差が開いていきます。

放置すると格差はどんどん開いていくので政府が再分配を行うのですが、是正する方法として、持っているひとから徴税する方法と、通貨発行して(国債による財政赤字拡大)支出する方法の二つが考えられます。

富裕層への課税で再分配の財源をすべて賄おうとすると、かなり過激な税率になります。

現実的には通貨発行と併せて行うということになり、市場に流れるお金が政府の負債分増えてインフレになります。

これがマイルドなインフレじゃなければダメな理由です。

なので、お金持ちが全額負担してくれるのなら、ゼロインフレでも構わないと思います。

でも、政治的に難しそうなので、赤字国債を併用するというところに落ち着くでしょう。

全て金持ちが負担するとなると、「儲ける」ことができなくなります。

MMTでも財政赤字は物価上昇率が適正な範囲なら問題ないと言っていますし。

ピケティーに言わせれば、国際協調して資産に対して課税するのが一番良いということで、次善の策としてインフレをあげています。

ピケティーによるとインフレは必ずしも富裕層にマイナスに働くとは限らないといいます。

極端な金持ちは不動産や貴金属、株式といった、様々な金融商品に安いコストでアクセスすることができるためというものです。

一番割を食うのは中途半端な資産を持っている人たちだそうで、銀行預金で目減りするのを防ぐのがせいぜいということらしいです。

しかし、最近は投資信託もコストが安いものが多いですし、この本が書かれた2015年に比べてもかなり投資がやりやすい環境にはなっています。

適正なインフレ率とは?

適正なインフレ率とはどの程度かというと、当たり障りのないところで2%みたいな考え方をする人もいますが、からあげ弁当は一つの目安として国債金利を下回る程度であれば問題ないと考えています。

0 < 物価上昇率 < 国債金利

式にすると上のような感じでしょうか。

日本はゼロ金利、マイナス物価ですのでアウトですね。

アメリカの10年国債金利は2.5%程度で、物価上昇率が2%弱なので、適正といえるのではないかと思います。

ここでいう物価上昇率はGDPデフレーターが適当でしょう。

生活実感を捉えるなら消費者物価指数がいいですが、通貨価値の目減りを厳密にとらえるならGDPデフレーターが良いと思うからです。

ハイパーインフレになると、一気に国債金利を上回りますので、アウトということになります。

一つの仮説ですが、インフレによって損をする人は居ないかもしれないということが可能性としてあります。

インフレは金融資産の敵ではないかもしれません。

物価上昇率が国債金利以下であれば、銀行預金でも目減りしないからです。

となれば、デフレは誰の特にもならないので、さっさとインフレにしてwin-winの社会を迎え入れたいですね!

フリーランチはないという反論がありそうですが、高いと知らずに5,000円のランチを食べる人がいるのが現実ではないでしょうか。

経済を勉強しても、コレを知らなければまったく意味がないという話。


コレを知らなければ始まらない


経済を勉強する上で、絶対に押さえておくべきポイントがあります。

これを知らなければ、いかに難しい経済理論や金融工学を学んだところで、まったく無意味といってもいいかもしれません。

それは、金利から国民所得が決まるメカニズムでも、株価と債権価格の関係でもありません。

経済の勉強をする上で絶対に知っておかなければならないのは、なぜお金には価値があるのか?ということです。

経済のことを考えるのに、お金のことを知らなければなにも始まりません。

お金に価値がある理由を、既に知っているという方はいらっしゃるでしょうか?

福沢諭吉や野口英世が印刷してあるだけの、ただの紙切れです。
透かしが入っていて、多少デザインが凝ってますが。

  • みんながお金に価値があると思っているから価値がある。
  • 日本政府が価値を保障しているから価値がある。
  • 金と交換できるから価値がある。

よく言われるお金に価値がある理由は、こんなところでしょうか。

100%間違いというわけではありませんが、正解でもありません。答えを言うと・・・

政府がお金で税金を徴収するからです。

私達は普段の生活で様々な税金を払っています。

持家であっても固定資産税は払わなければなりませんし、車を持っていれば毎年自動車税の納付書が届くでしょう。また、年金や健康保険も納めなければなりません。

これらの納税義務は日本円でしか納めることができず、ドルなどの外貨やその他の貴金属などでは受け取ってもらえません。

この悩ましい税金や各種保険こそが、紙切れのお金に最初の需要を生み出します。

払いたくないからといって、固定資産税から逃れることはできるでしょうか?
悪質な脱税は実刑になる場合もあります。

誰しも脱税で逮捕されて刑務所に入りたくないから、お金が必要というわけです。

日産の元会長のカルロスゴーンが支払った保釈金は、10億円だそうです。

よくそんなに持っているなという感想しかでませんが、それだけ払っても外に出たいという気持ちもわかります。保釈金や罰則金にしても、日本円でしか受け付けません。

このように、日本政府が税金や罰則金という形で円に需要を発生させているために、お金に価値が生まれます。

お金に価値があるのは、意外にネガティブな理由なのです。

経済は政府の手の平の上にある


紙幣は日本銀行が発行しています。

銀行の銀行とか、政府の銀行と呼ばれるあの日本銀行です。

日本銀行の株式の55%は日本政府が保有しており、日本銀行の総裁は内閣が人選をして、国会で承認されます。また、日本銀行の運営は日銀法によって決められています。

つまり、日本銀行は株式会社なのですが、ほぼ政府の出先機関なのです。
なので、お金は実質的には政府が発行していると考えていいでしょう。

むしろ、普通の株式会社がお金を発行している方が異様です。

日本銀行(政府)が発行したお金を、政府が税金や各種保険料という形で徴収するというのが、お金の流れの全体像になります。

例えば、政府が発行したお金は公務員給料から始まり、スーパーの売上になり、銀行預金になり、子供のお年玉になり、ゲームソフトの売上などを経て、税金や保険料として再び政府の元に戻ります。

日本は資本主義であり、自由主義経済なのですが、最初と最後はガッチリ政府が握っています。

お金の偽造は罪に問われますし、紙幣を燃やしたりシュレッダーにかけるのも(あまりいないと思いますが)罪に問われます。

お金の誕生と最後を決められるのは、政府だけです。

私達は普段、自由な経済活動を行っているわけですが、大きな視点で見れば政府の手のひらの上にいるようなものです。

お金に価値があるから経済活動が行えるわけで、その価値の源泉は徴税や罰則金などです。

国家権力に裏付けられたお金というのは、まさに国家そのものと言えると思います。

ビットコインが円にとって代わるという議論がありますが、いかに的はずれであるかおわかり頂けると思います。

ビットコインが法定通貨に取って代わるには、日本政府がビットコインでの納税や罰則金の支払いを認める必要があるからです。

お金の価値は常に変化している


お金の価値は一定ではなく、常に変化しています。

一度に大量の政府支出を行えば、インフレになるのはご存知だと思います。
政府支出を増やす以外にも、税金を下げるとインフレになります。

いわゆる物価上昇率というのは、実はお金の価値の変化のことを指しています。
お金の価値が下がればインフレ、上がればデフレです。

みなさんは、税金のない世界に住んでみたいと考えたことは無いでしょうか?

税金や社会保険料の無い世界はみんなの夢だと思いますが、本当に税金を無くしてしまうと強烈なインフレになります。

政府の徴収する税金や各種保険などが、お金の価値の後ろ盾ですので、それが無くなってしまうとお金の価値も失われるからです。

逆に増税したり政府支出を削減したりするとデフレになります。

政府は収支を調整することで、世の中に出回るお金の量を変化させ、物価を安定させるのです。

2019年の現在の日本はデフレです。それは取りも直さず政府支出が少なすぎるか、税金が高すぎることを意味しています。

信用創造について


通貨の発行は政府の特権ですが、それ以外にもお金が作られるケースがあります。
それは誰かがお金を借りたときです。

AさんがBさんから3000万を借りたとします。
Aさんの手元には3000万、Bさんには借用証書が渡ります。

Aさんが3000万円分の買物ができるのはもちろんですが、Bさんも借用証書で3000万円分の買物ができます。

簿記ができる方は分かると思いますが、手形(借用証書)が裏書きして決済に使用できるのと同じです。

借用証書は誰の手に渡ったとしても、Aさんから返してもらえる限り、3000万と同等の価値があると考えられます。この借用証書は、現金に近い性質を持っているということができるでしょう。

借金という形ではありますが、表面的にはお金が増えました。これを信用創造といいます。

AさんBさんそれぞれが3000万円のお金(借用証書)を持つことになりました。

たくさんお金を持っていれば使いたくなるのが人情ですので、信用創造によって購買力が上がれば、物価もあがります。政府支出だけでなく、信用創造もインフレの原因になります。

一般的には信用創造は銀行など金融機関がメインで行っていますが、話を単純にするため個人同士の取引にしています。

政府は経済政策を行う上で、物価を注視しています。政府支出だけでなく、信用創造によっても物価が左右されるからです。

例えば景気が悪くなって、Aさんが借金を返せるか怪しくなったとします。

Bさんは早く返してもらいたいし、他に借金の依頼があったとしても断るでしょう。

そうなると信用創造が停滞して、物価は横ばいか下がることになり、政府は物価の変化によって、景気の悪化を知ることになります。

リーマンショックのような急激な景気変動が起こると、BさんはAさんから無理矢理にでも返済を迫るかも知れません。

借金が返済されてしまえば、見た目上のお金が減ることになります。

これを信用収縮といいます。

こうなると物価は下がり、景気の悪化が鮮明になります。
物価が下がれば、政府はカウンターで政府支出を増やしたり、減税を行うことで物価を上げようとします。

まとめ

お金に価値があるのは、 政府が 税金や保険料、罰則金を徴収することよって、価値があるということにしているためでした。

お金の価値は一定ではなく、政府支出と税金のバランスによって変化します。
また、信用創造も物価上昇率に影響を及ぼします。

政府は景気の動向を知るために物価を(通貨価値)を注視して、その時の経済状態に応じた政策を行います。

お金を理解することは、物価を理解することに繋がります。
物価は経済を考える上で最も重要な概念です。

この一連のメカニズムを知っているだけでも、経済に対する見方が広がると思います。

逆にお金や物価について知らなければ、経済のコアの部分について理解するのは、なかなか難しいでしょう。

せっかくいいところまできていたのに、再デフレ化した日本。

日本が再デフレ化しています。安倍政権の前半はデフレ脱却しかけていましたが、またデフレに逆戻りしてしまいました。

3月8日に内閣府が2018年の10~12月のGDP統計を発表しました。GDP統計は経済成長率がどのくらいあったかという統計ですが、同時に物価の指標であるGDPデフレーターが掲載されています。

経済が1.5倍に成長をしても、物価が1.5倍になってしまっては意味がありません。そのため、GDPには物価の影響を差し引いた、実質GDPを計算しておく必要があります。実質GDPを求めるのに使う物価の指標が、GDPデフレーターというわけです。

こういった政府がだす統計は、見るのが非常にめんどくさいです。あまり簡単に見られると困るのかな?と思ったりします。なので、このブログでは日本が再デフレ化したという証拠を、みなさんと一緒に見に行きたいと思います。こういうことは元となる情報が重要です(最近はあやしい?)。GDP統計は内閣府が発表する統計です。

内閣府のリンク

統計情報・調査結果のリンクをクリックします。



国民経済計算(GDP統計)のリンクをクリックします。



主な時系列データ(PDF形式:594KB)とありますので、ダウンロードしてください。サイズがそこそこありますので、スマホのギガが心配な方はWi-Fiのあるところでダウンロードしてください。



開くと以下のような表紙が出てくると思います。下のページにはびっしりと数字が並んでいますが、全部飛ばしてPDFの一番下(P28)に行くとGDPデフレーターが載っているところがあります。


暦年デフレーターというところがあります。これは2011年の物価を100とした時の物価を表しています。2018年は102.7で前年より下がっています。経済学の定義に従えば、二年連続で物価が下がるとデフレということになります。2016年から二年連続で下がっていますので、はれて再デフレ確定というわけです。



デフレというのは、国民が金欠病になっていることを表しています。お金がなくてモノが買えなければ(消費、投資) 物価が下がります。

物価上昇率を見る場合、いくつかの指標があります。一番ポピュラーなのは消費者物価指数でしょうか。衣食住といった日常生活をするうえで必要なものやサービスの価格を指標化したもので、私たちの生活実感と近い性質をもっています。

ただし、GDPデフレーターと違って国内のすべての財やサービスをカバーしていません。また、エネルギーといった為替に左右される輸入品の影響を受けますので、純粋に需給のバランスからくる物価(景気)を見るのには不向きです。

日本人が金欠病を再発していることが明らかになりました。この状況で安倍政権は消費税増税を行うのでしょうか。3月7日に発表された景気動向指数も悪化しており、これ以上国民を金欠にして何がしたいのか?という怒りがわいてきます。

ここからは個人的な予想ですが、消費税を上げるよ上げるよと言っておきながら、参議院選挙前に「やっぱり中止!」そして衆議院も解散して「中止するから自民党に入れてね!」とやるような気がしてなりません。

いろんな経済失策をやらかしている自民党ですが、それでも一定の支持者がいるのは事実です。国民が現状を肯定してそれでも支持するのなら仕方がないと思います。残念ですが日本が滅びるのをただ見守るしかないでしょう。

再デフレ化確定

2月14日に内閣府から国民経済計算(2018年10月~12月)の速報が発表されました。 2018年が終わったことで、 物価を考えるうえで最も重要と考えるGDPデフレーターも出そろいました。

物価を考える上でポピュラーなのは、消費者物価指数とGDPデフレータです。消費者物価指数は衣食住といった、私たちが生活するうえで直接的に使用するものやサービスに関する物価なので生活実感に近い指標といえます。それに対してGDPデフレーターは、国内で生産されたすべてのモノやサービスをカバーしています。GDPデフレーターは海外製品を除外していますので、日本全体の物価(景気)を知るのに適しており、筆者はGDPデフレーターを重視しています。

さっそく内閣府のHPまで見に行ってみましょう。

内閣府

赤丸の統計情報・調査結果をクリックしてください。

国民経済計算(GDP統計)をクリックします。


少し下のほうに行くと緑で成長率が表示してあるところがあります。黄色の枠の部分に注目していただきたいのですが、実質のほうが名目よりも成長率が高く出ています。これは物価上昇率がマイナスであったためで、2018年はマイナス物価だったことがわかります。

記者公表資料(PDF形式:252KB)とあるリンクをクリックすると、今回の発表に関する概要がPDFで閲覧できます。その中にあるのが下のグラフです。

赤いグラフが暦年のGDPデフレータを示しています。2017年に続いて二年連続でマイナスとなりました。経済学的には二年連続でマイナス物価になることをデフレと定義していますので、今回の発表で日本は再デフレ化したということになります。

デフレはみんなが金欠病にかかっていることの証明です。モノやサービスはあるにもかかわらずお金がないばっかりに支出が減り、結果的に物価が下がりました。店にものが無ければ仕方ありませんが、モノやサービスがあるにも関わらず買えないというのは悲惨です。売る方も商品は余っているわけですから、買ってもらいたいわけです。デフレというのは誰の得にもならないみじめな現象です。

安倍政権はデフレ脱却を掲げて登場したにもかかわらず、6年も政権を担当しておいてデフレ脱却できませんでした。そのうえ消費税増税を行って金欠病を悪化させようとしています。今、日本に必要なのは消費税の減税(廃止)と拡張的な財政支出です。この結果を受けて、それでも自民党を支持するなら、それは日本国民としてどんな結末でも受け入れる覚悟があるということでしょう。これこそ本当の自己責任だと思います。

名目GDPと実質GDPの違い

物価上昇率を加味しているかどうか

名目GDPは実際に調査を行って求める額面上のGDPです。名目GDPと実質GDPの違いは物価上昇率を加味しているかどうかです。名目GDPと実質GDPの関係は以下のようになります。

名目GDP ÷ 物価上昇率 = 実質GDP

実質GDPは名目GDPと物価上昇率から計算上求められる数字です。名目GDPが5%成長したとしても、物価上昇率も5%上昇していたなら、実質的には何も変化していないということになります。もし、名目GDPが5%成長して、物価上昇率に変化がないなら、実質的に5%成長したことになります。実質GDPが5%成長したということは、売り上げが5%増加したということを意味します。

経済成長を考える場合は、どれだけ数が売れたかを考える必要があるので、実質GDPを計算によって求めるのです。

GDPの計算の仕方

例えば、70万円の部品を仕入れて、150万円の自動車を生産したとしたら、80万円の付加価値が発生します。

150万円(売上)ー 70万円(仕入れ)= 80万円(付加価値)

この80万円の付加価値がGDPに計算される部分になります。自動車が1年間で10万台売れたとすると、

80万円 × 10万台 = 800億円

800億円のGDPが計上されることになります。

仮に国内で自動車とバイクだけを生産しているとします。50万円のバイクの部品の仕入れに20万円かかるとして、2万台を売り上げたとします。

50万円(売上) ー 20万円(仕入れ)= 30万円(付加価値)

30万円 × 2万台 =60億円

自動車とバイクを合わせて860億円のGDPが計上されることになります。

GDPデフレーターの計算の仕方

GDPデフレーターというのは物価上昇率のひとつです。新聞などには物価として消費者物価指数などがよく出てきますが、名目GDPから実質GDPを求めるときにはGDPデフレーターを使います。

実際にGDPデフレーターを計算してみたいと思います。物価上昇率という場合、以前の物価との比較して上昇か下落を判断する必要がありますので、5年前との比較を行います。少しややこしいので、読み飛ばして結果の数字だけ見てもらっても構いません。

注意する点としては今年も5年前も今年の販売台数を使用するところです。

現在 1台あたりの付加価値 売れた台数 付加価値
80万円 10万台 800億円
バイク 30万円 2万台 60億円
合計860億円
5年前
65万円 10万台 650億円
バイク 25万円 2万台 50億円
合計700億円

860億円 ÷ 700億円 = 1.229

5年前を基準としたとき、約22.9%の物価上昇が起こったことになります。GDPデフレーターが1を上回るとインフレ、下回るとデフレになります。

実質GDPの計算の仕方

名目GDPと物価上昇率(GDPデフレーター)は準備できましたので冒頭の式に当てはめてみます。

860億円 ÷ 1.229 = 700億円

となり、700億円が実質GDPということになります。5年前の物価の水準で見た場合に、700億円の生産がされたことになります。注意していただきたいのは、5年前と比較するときに、今の実質GDPと5年前の名目GDPを比較する必要があるということろです。今の実質GDPと5年前の実質GDPを比較しても意味がありません。

名目GDP 実質GDP
2007年 650億円 610億円
2012年 700億円 650億円
2017年 860億円 700億円

上の表では2012年の実質GDPは2007年をもとに計算しています。一見すると経済成長しているように見えますが、実は物価上昇をしているだけです。2012年の実質GDPと2007年の名目GDPを比較すると同じ650億円になっています。つまり、2007年から2017年の売上げ台数は同じになります。実質GDPが上昇しているので売り上げ数も上がっているように見えますが、今の実質GDPと基準となる年の名目GDPを比較する必要があるのです。

まとめ

・実質GDPは物価上昇を除いた量的な経済成長をみるためにある。
・実質GDPを見るときは、基準年の名目と比較する必要がある。