日銀データの見かた(資金循環統計)

データを見てみよう

国の借金が1200兆円にもなって大変だというニュースをよく目にします。元になるデータというのは日銀が三か月に一回発表する資金循環統計です。経済のことを考えるうえでデータは最も重要なのですが、発表する省庁ごとにバラバラに管理されており、探すのも結構めんどくさかったりします。なので、今回は一緒に見ていきたいと思います。

以下は日銀のサイトです。
http://www.boj.or.jp/

赤丸の統計にマウスを合わせるとメニューが表示されますので、「資金循環」をクリックしてください。

少し下のほうに参考図表というところがありますので、PDFをクリックします。

以下が政府、企業、家計などの金融資産と負債をいくら持っているかを表した図表になります。左下のほうに一般政府 (1,284)とあるのが、いわゆる「国の借金が1200兆円もあって大変だ!」といわれる政府の負債になりす。

参考図表なので細かい数字を並べた文書は他にあると思いますが、私はこれしか見ていません。ざっくりとした規模感覚が重要なので参考図表は便利です。右上の家計 (1,859)は「日本の家計の金融資産1800兆円!すごい!」といわれる根拠となる数字です。下のほうに資産の内訳が書いてあります。ちなみに経済学者や評論家の先生方もこの数字を見て発言しています。

画像では切れて見えませんが、下のほうに海外という項目があります。海外資産は708兆円あり、海外から見た資産というのは日本から見ると負債になります。つまり日本は海外に対して708兆円の金融負債があることになります。一方で資産(海外からみれば負債)は1040兆円あります。差し引き332兆円の金融資産を日本は持っているということがこの図表からわかります。

下のほうに行くと部門別の過不足金というページがあります。これは増えた資産と負債の差額を表しています。例えば一年間で200万円貯金して同時に100万円のローンを組んだとしたら、差し引き100万円の余剰金があったことなります。

②暦年を見ていただきたいのですが、17年の民間非金融法人企業は27.3兆円の余剰金が発生しています。これは2017年1月~12月までに企業全体の資産が負債よりも27.3兆円増えたということです。いわゆる内部留保が増えているというのが、この図からもわかると思います。12年~16年にかけて政府は猛烈な勢いで緊縮しています。2011年に東日本大震災があったことなど眼中にないかのような激しさです。

データは楽しい

このように実際にデータを見ることでわかることが色々ありますので、じっと眺めるだけでも結構楽しかったりします。政府の杜撰なデータ管理が問題になっていますが、これは非常に問題です。たとえ話ですが、手術中に血圧データが正確にわからなかったら患者はどうなるでしょうか。正しいデータからしか正しい政策は生まれませんので、総理大臣以下襟を正す必要があると思います。

ひょっとしてわざと景気を悪くしてる?

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アメリカが利上げのタイミングを計っている。先進国の中では比較的経済がマトモなのがアメリカだ。一般的に景気が良くなれば金利を引き上げて景気を冷ますとされている。

ドイツや中国も調子がいいと言われているが、外需依存であり、ある意味、他の国の活力を奪って成り立っている国と言える。

アメリカは慢性的な経常収支赤字国で、他の国の輸出を受け入れながらも経済成長している。

中国やドイツ製品を受け入れているのがアメリカだ。もちろん、日本もアメリカに頼っている部分が大きい。多くの先進国にとってアメリカはいいお客さんなのだ。

GDPに計上されるのは輸出-輸入の純輸出の部分になり、ここがマイナスになればGDPから引かれることになる。輸入が多いとそれだけマイナス成長になるが、その部分を引いてもプラスなのがアメリカなのだ。

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つまり、アメリカは他の国の経済を支えつつ、自分のところも成長するという強力な経済を持っていることになる。

FRBは日銀と同じ物価上昇率の目標を2%に掲げており、現在の物価は1%後半で推移しているので、日本と違い達成する見込みはある。

しかし、2%に到達したからといって、決して高い物価上昇率ではない。2%という数字は最低限度のものだ。
すぐに利上げをして、物価を押さえ込まなければならないといったものではない。80年代やもっと以前は5%程度のインフレは普通だったわけで、ここ二十年ほどで極端なまでのインフレ嫌いになってしまった。

ご存じのようにアメリカの格差は大きい上、6人に一人は健康保険にすら加入していない。そのため、自己破産で多い理由のひとつが、医療費が払えないことによるものだ。

経済成長はしているが、物価は低く、国民は貧しいというのが今のアメリカの状況だ。

この状況で早々と利上げの話が出てくることに違和感を覚えている。なぜ、そんなに利上げを急ぐのだろうか?

物価上昇には資産の目減りという側面がある。当然、富裕層はインフレを嫌う。もし、物価が倍になれば自分が必死にためてきた資産価値が半分になるからだ。早いうちに利上げをして、このインフレを押さえ込もうとしているのではないかと想像する。

これはあくまで推測の域を出ないが、政治や金融といった国を動かしている連中は、富裕層か富裕層に近い位置にいる。アメリカの大統領選でヒラリークリントンが集めた金額は数十億ドルと言われる。もちろん、多くがアメリカのスーパーリッチや企業からの支援だ。

こういった想像を絶する金持ちが政治家や金融関係者、マスコミに働きかけて早々に金融の引き締めを図っている可能性は否定できない。
もし、何百億という金を持っているなら、このまま物価が上がらなくても構わないが、インフレは困るだろう。

ドルが対円で上昇、米12月利上げ観測高まる=NY市場

[ニューヨーク 24日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で上昇した。最近発表された米経済指標が堅調なうえ、米連邦準備理事会(FRB)当局者から早期利上げを示唆する発言が相次ぎ、FRBは12月に追加利上げ(訂正)を決めるとの観測が高まった。

12月の利上げ観測が高まったらしいが客観的な根拠に乏しい。すでに利上げするのが規定路線ような印象を読者に与えている。こういった報道はミスリードで利上げに誘導する役目があると思われる。

ロイターやブルームバーグといった米メディアはそのほとんどが金持ち寄りだ。彼らが「世界経済にとってダメージになる」という場合はたいてい、金持ちや企業にとってダメージになると読み直すことにしている。

インフレが好景気とは限らないが、好景気はすべからくインフレだ。アメリカの金持ちは自分の資産防衛のために人々から好景気を奪っている。