トランプと貿易赤字

アメリカのトランプ大統領が来日しています。

相撲を見るらしいですが、千秋楽を待たずに朝乃山が優勝したため、消化試合を見ることになりました。

日本の対米貿易黒字(アメリカは赤字)が問題になると思われます。

トランプは米中貿易でもそうですが、貿易赤字にこだわっています。

ただ、普通の会社とかだと赤字は困りますが、アメリカや日本のような通貨を自分で発行している国は、それほど貿易赤字にこだわる必要はありません。

1971年以前は金本位制で、ドルを一定量の金と交換することを米政府は保証していました。

60年代のベトナム戦争でアメリカは大量の物資を必要としたため、海外から輸入を行いドルで決済を行いました。

金本位制のもとでドルで支払うということは、金で支払うことと同じです。

長引くベトナム戦争によって金不足になったアメリカは、海外からの輸入ができなくなり、このことが金本位制をやめるきっかけになったといわれています。

金本位制のもとでは貿易不均衡が続くと、金不足になって輸入ができなくなります。

よく海外にドル(円)が流出して云々(うんぬん)というのは金本位制度のもとでの話です。

1971年以前の世界では貿易不均衡は非常に問題になります。

輸入超過で金不足になれば、輸入ができなくなるからです。

ところが、現在は金本位制ではないので、継続的な貿易不均衡であっても問題ありません。

どんどんドルを印刷して使用すればいいですから。

アメリカは対外債務残高は2018年末で33.4兆ドルありますが、米経済好調!などと言われています。

これは一国の経済状態と経常赤字との間には、直接的な関係がなくなったことを表しています。

昔なら33.4兆ドル分の金を持っていないと、それだけドルを発行することもできませんでしたが、今はちがいます。

外国が33.4兆ドルもっているということは、アメリカで33.4兆ドル分の買物ができるということです。

トランプは世界各国にアメリカ製品を売り込もうと躍起で、しかも、世界の多くの国が米ドルを持っています。

みんなドルを持っているし、売りたい商品もある。

トランプとしては渡りに船です。

しかし、買うほうもそれぞれ産業があるので、おいそれと輸入するわけにはいかない。

特に農産品はどこの国でも生産しているので、安易にアメリカから輸入すると、自分のところの農家の製品が売れなくなります。

今や世界中でセールス合戦が繰り広げられています。

輸出を増やすことができる国のトップの支持率は上がりますので、貿易黒字が増えればそれだけ地位が安泰になります。

輸出を増やしたいのはトランプだけではないんですね。

世界中セールスマンだらけなわけですが、これは買い手が不足しているということです。

その影響でモノがあふれている国は物価が低くなります。

日本、アメリカ、欧州など先進国は軒並み低物価です。

国内で売れないので、海外で売ろうということですが、あいにく海外も物価が低いのでお互いに間に合ってますよという。

ここでやるべきなのは、やはり内需拡大ですね。

国際協調して内需拡大をやれば、お互いに需要の食い合いをせずに済みます。

トランプが「瓶三、オレはこれだけ内需拡大するから、お前のところも内需拡大しろ。」みたいな話し合いが理想です。

思えば、80年代の日米構造協議のころは、アメリカは日本に内需拡大しろって言ってました。

よく考えれば、お互い協調して取り組むべき問題だと思います。

米中貿易戦争と株価

2019/5/5にトランプが中国製品の関税を25%にするとtweetして、世界中の株に大きめの調整が来ました。

日本は10連休の後半で、この海外の動きに冷や汗をかいた方も多かったのではないでしょうか。

なにせ、東証は休みで逃げられません。

少し落ち着きはしたものの、今後どうなるか気になる方も多いと思いますので、からあげ弁当なりに整理してみました。

まず、米中のGDPと貿易額は以下のような感じになります。

アメリカ中国
GDP(名目)195,000億ドル120,000億ドル
輸出1,300億ドル5,000億ドル
輸入5,000億ドル1,300億ドル

データは色々調べたのですが、貿易統計はまちまちで参考程度にしかならないものばかりでしたので、平均的なところで四捨五入しています。

なので、大体の規模をつかむ程度の正確さしかありません。あらかじめご了承ください。

現在、5000億ドルのうち2000億ドル分に10%の関税がかかっており、残りは0%です。

今回、5000億ドルすべてに対して25%にするということを言い出したので騒ぎになりました。

しかし、どうでしょうか。

中国の対米輸出はGDPと比較すると4%程度です。

仮にアメリカと貿易が無くなったとしても、輸出入で差し引きGDPの落ち込みは3%程度で済みます。

涙をのんで25%を受け入れたとしても、GDPの8割近くに課税される日本の消費税とは比較になりません。

もちろん、輸出産業に従事する人にとってはたまったものではないかもしれませんが、中国全体の経済への影響としてみた場合は限定的でしょう。

株価に対する影響は未知数ですが、実体経済に対する影響はさほどでもないとからあげ弁当は見ています。

つまり、騒ぎすぎです。

アメリカの姿勢を保護主義とメディアは批判します。

しかし、3700億ドルの貿易赤字はアメリカの雇用をそれだけ奪うものなので、トランプの雇用を守るという姿勢は大統領として理解できるところです。

もともと公約でしたし、選挙の時と180度方向が変わってしまう某総理大臣より偉いと思います。

ただ、どうも貿易赤字というものに対して、いろんな人が誤解をしているのはないでしょうか。

1971年以前の金本位制度の時代の感覚のまま、今の世界経済を見ているのかもしれません。

昔はドルを金に交換することを米政府は保証していました。

当然、米政府はそれだけの金の蓄えをしていたわけですが、60年代のベトナム戦争で膨大な物資の輸入のために金を放出してしまい、金本位制度を維持できなくなりニクソンショックが起こったといわれています。

つまり、金が足りなくなってドルが発行できなくなったわけです。

貿易赤字が続くと輸入ができなくなるので、1971年以前というのは貿易不均衡というのは避けなければならないものでした。

しかし、今は不換紙幣(金に交換しない)なのでいくら貿易赤字になっても、ドルを発行することで支払いができます。

貿易赤字が行き過ぎるとドル安になるのですが、トランプはドル安が好きそうなので、よけいに貿易赤字は容認するべきだと思うんですよね。

その辺の為替のメカニズムがわかっていないのではないかと。

貿易赤字がダメだというのは、財政赤字はダメだ財政再建だ!というのと同根だと思います。

結論としては株価はG20までは動きまくるかもしれませんが、実体経済への影響は限定的なので、おのずとその範囲内に株価も収斂していくと思います。