年金制度は保険料負担を下げて国庫比率をあげよう

例の2000万円の問題が拡がりつつあるようです。


問題となったのは、金融庁の有識者が議論した中で、リタイヤ後に30年で預貯金の取り崩しが2000万円くらいになるという報告でした。

リタイヤまでに2000万貯められるだろうか?

そんな不安を持つ人も少なくないでしょう。

ただ、前回の記事にも書いたのですが、今回の金融庁の発表というのは、貯蓄から投資へという国の方向性を強化する目的があったと考えています。

高齢者は資産を沢山もってますので、いかに投資に取り込むかという議論がされていて、認知能力の低下とリスク商品との付き合い方みたいな議論もされています。

認知症の人が増えて、投資したはいいが管理ができなくなると困るというわけです。

高齢になったらできるだけ資産管理はシンプルにといった提言もされています。

確かに管理しやすくしておくのはいいんですが、そもそも高齢になれば資産はリスク商品から債権などの低リスク商品に移行させていくというのが投資のセオリーです。

リタイヤした人に国が投資を推奨するというのはかなり問題があります。

また、多くの人は年金は下がっていくか、そのうち受け取ることができなくなるという思いがあるようです。

まったく受け取ることができなくなるのはないにしても、受け取る額が減るのは仕方がないと思う人は多いのではないでしょうか。

だったら、投資して自己防衛しとこうとなるのは自然だと思います。

しかし、必ずしも年金は減るとは限りません。

少子高齢化していきますので、現役世代が少なくなるのは事実です。

少ない現役世代が多くの高齢者を支えるには、保険料を多く納める必要があるので、おのずと限界があるというのが常識的な見方です。

しかし、これは必ずしもそうではないのです。

公的年金(国民、厚生、共済)全体をみると、税金が占める割合が過去20年間で増えています。

支払い総額うち税金補填分税金が占める割合
平成9年39.3兆円4.5兆円11.4%
平成29年52.4兆円12.5兆円23.9%

つまり、私たちが納める保険料だけでは足りないので、国が国庫(税金)からプラスしてくれる部分が、最近では2割以上になっているということです。

これをこのまま3割4割に引き上げていけば、現役世代の保険料負担はそのままに、今以上の年金の給付を行うことは可能です。

もちろん、税金にしても私たちが負担するものですが、平成9年から29年にかけての税金補填というのは、私たちが納めた税金ではなく、赤字国債によって行われてきています。

いわゆる国の借金です。

国の借金という言い方は財務省の専売特許なので、より正確に言い直すと政府の借金ですね。

つまり、私たちの負担増になることなく、今の年金水準が維持できているのは、政府が借金をしてくれて給付に回してくれているから、ということになります。

年金に占める税金の割合が増えて、かつ、その財源が赤字国債によって賄われているというのは、一般の生活者の立場からすると2つの意味で良い方向だといえます。

悪い方向ではなく、良い方向です。

ポイントは2つあります。

  • 給付に占める国庫の割合が増えているところ
  • しかも国庫は赤字国債によって拠出されているところ

まず、税金が占める割合が増えているのが良いというのは、逆進性の問題の解消があります。

逆進性というのは高所得者にとっては有利で、低所得者に不利な税制を指します。

国民年金の保険料は一律16,410円/月(令和元年現在)で、年収200万円の人も年収2,000万円の人も、毎月同じ額を支払わなければなりません。

年間196,920円もの保険料を、年収200万の人が払うのはかなりの負担です。

免除措置などあるものの、定額の保険料は収入が低い人ほど所得に占める割合が高くなります。

年金を一律の保険料で徴収するというのは、低所得者にとっては大変厳しい制度ということが言えます。

任意で加入できるものであれば、所得に応じて加入したりしなかったり調整ができるわけですが、年金は強制加入です。

保険料の占める割合が減って赤字国債による給付分が増えれば、それだけ国民負担が減ることになります。

現在の2割の税金補填部分を、3割~4割に引き上げることができれば、少子高齢化が進んでも保険料を上げることなく、現状と同じかそれ以上の給付を実現することは可能です。

次に赤字国債の拡大ですが、不足する給付を税金で穴埋めしなかったのは、不幸中の幸いだったといえます。

税金によって拠出されてしまえば、経路が異なるだけで国民から徴収することに変わりがありません。

現在の日本はデフレという病にかかっています。

ひと言でいうとデフレというのは国民総金欠病です。

賃金や年金が上がらないので支出ができず、モノやサービスを安くしなければ売れないのがデフレです。

デフレはなぜ悪者なのか?ずばり、金欠で生活が苦しいということにつきます。

もし、デフレ下で税金を徴収すれば、さらに金欠病が悪化していたでしょう。

税金ではなく赤字国債によって年金に補填したことによって、いくらか国民の負担が軽減されたのは不幸中の幸いだったと思います。

不足する給付は赤字国債で賄うとして、最後に 政府の借金をどうするか? という大きな問題が残ることになります。

2018年12月末で中央政府と自治体には 1,304兆円の 借金があります。(日銀データ

本来、政府に通貨発行権があるはずなのですが、日本銀行に通貨発行権を渡してしまっています。

現在、通貨発行を行っているのは日本銀行です。

政府自身は通貨発行が出来なくなっていて、資金が必要なときは日本銀行から借りるという形をとりますが、それも、特別な事情がない限り、日銀が政府に資金を貸すことを禁止しています。

日銀が政府に資金を貸すことを、直接引受といいます。

通貨発行権を日銀に預けて、直接引受も禁止してしまったため、政府がお金が必要な時は、民間の金融機関から借りて使うという情けないことになっています。

1,304兆円はそのようにしてできた負債です。

日銀には通貨発行権があるため、必要とあれば政府はいつでも返済することは可能です。

所詮、日銀は政府の一部ですし、通貨発行権を手放したといっても、日銀に通貨発行させれば金額無制限でいつでも返済可能なのです。

わざわざこんなことをするのは、気軽に通貨発行できてしまうと、ジャンジャンお金を使ってしまってインフレになるからということらしいです。

地元にお金をばらまく政治家のほうが選挙に勝てますので、そういった野放図な支出を戒める為に、このような仕組みになっていると言われています。

しかし、経済評論家の中野剛志さんによれば、これは憲法83条に違反するそうです。

第83条 【財政処理の基本原則】 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

歳出歳入はもちろん、通貨発行についても国会で議決することで行使され、決めるのは主権者たる国民だということです。

税制や政府支出は国会で決めるというのは常識ですが、もう一つ、どの程度通貨発行をするかということも私達が決めることなのです。

老後の資産が2000万円必要とありますが、現実的に用意できない方も多いでしょう。

であるなら赤字国債(通貨)を発行して使えばいいというのが、からあげ弁当の結論です。

そのためには政治を動かす必要がありますが、残念なことに与野党揃いも揃って緊縮財政ばかりです。

山本太郎のれいわ新選組が、今のところもっともまともな経済政策を掲げています。

2,000万円用意するのも、政治を変えるのも非常にキツイのですが、いずれかを選択せざるを得ません。

20歳かそこらなら仕方ないですが、40代50代で選挙に行かないとかありえません。

是非、来月の参院選では自分の意志で、政治家を選んでみてはいかがでしょうか。

老後に備えて2000万円が必要という金融庁の発表を、真に受けるべきか、それとも受け流すか。

金融庁が老後に備えて2,000万円貯金して自助努力を、という報道がなされています。

多くの人が唖然としましたし、Yahooのコメント欄も大荒れです。

からあげ弁当もどういうことか金融庁に見に行きました。

 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

無職の高齢夫婦だと月平均5万円くらい貯金を切り崩しているので、30年で2,000万くらい貯金がいるよ、ということが書いてあります。

これは金融庁が有識者を集めて「高齢社会における金融サービスのあり方」などをテーマに議論を行い、その結果をまとめた報告書です。

金融資産の多くは高齢者が保有しているので、巷で言われるような年金不足を投資でカバーしろというよりは、いかに高齢者の持つ金融資産を株式市場に誘導するか、というところにポイントが置かれた議論のようです。

会議には大学教授の他、証券会社や保険会社の人が入っており、いわゆる貯蓄から投資へという動きに弾みをつける狙いがあるとからあげ弁当はみています。

言っても金融庁ですので、年金の敗北宣言というより、金融業界の意向をうけた資産運用啓発のようなものだと思います。

GPIFも35兆円を日本株で運用していますし、日銀はETFに25兆円入れています。

現在、65歳以上が3割近くいますので、更にその人たちの預貯金も株式に誘導するつもりでしょう。

国をあげて株をやろうというわけです。

この議論の中では加齢とともに認知力が低下するので、リスク商品との付き合い方についてどのように取り組むかという議論がなされています。

一般的な、年齢とともにリスク商品から安全資産に移行する、というセオリーとは逆行しています。

まして認知機能が低下してまで、投資を継続するなどどうかしてます。

最後に以下のような提言で締めくくられています。

<現役期>
  • 早い時期からの資産形成の有効性を認識する
  • 少額からであっても安定的に資産形成を行う
  • 自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する
  • 長期的に取引できる金融サービス提供者を選ぶ
<リタイヤ期前後>
  • 退職金がある場合、それを踏まえたマネープラン等を再検討する
  • 収支の改善策を実行する
  • 中長期的な資産運用の継続と計画的な取崩しを実行する
<高齢期>
  • 心身の衰えを見据えてマネープランを見直す
  • 認知・判断能力の低下・喪失に備える

一言で言うなら、投資で老後の資金を作ってくださいということです。


働いても給料はたかが知れているし、貯金しても老後の生活は支えきれないというわけです。


そのための煽りとして、年金の不足をあげていることが今回の騒ぎの本質です。

あくまで、軸足は金融商品の販売促進です。

証券会社の会議ならまだ理解できますが、政府がやることじゃないですね。

非正規雇用の拡大や終身雇用の崩壊を促進させておいて、その代わりに投資をすすめるというのは、もはや政治ではありません。

日本人の金融資産1800兆円のうち、300兆円しか株や投資信託に入っていませんので、まだまだ投資に向かう余力はあるのですが、日本人に不足しているのは投資ではなく、自分の置かれた状況を真剣に考えるということではないでしょうか。

年金について不安があるなら、年金について勉強してみるとか、非正規雇用の賃金は本当に妥当なのかとか。

それを抜きにいきなり投資に走るというのは、まさに為政者の思うツボです。

個人的な考えですが、投資というのは余力のある人が、趣味の範囲でやるものだと思います。

そして、がっぽり儲かった日には、ベンツを乗り回して「いやー、株でちょっとね」とシャバを流すというのが、本来のあり方のような気がします。

ちなみに年金が危機的状況というのは嘘で、金を刷れば年金問題は解決します。

問題なのは生産年齢人口が少なくなったときに、日本人全体を満たせる生産力が維持できないことにあります。

お金は刷れば無限にありますけど、買えるものには限界があるということです。

2025年には700万人に達するとも言われる認知症の高齢者を、誰がどうやって看るのでしょうか。

年金が足りないから投資させるというのは、政府の姿勢としてかなり問題です。

年金の危機というウソを交えながら、社会環境の改善もせずに、老後に備えて投資をそそのかすという怠惰な姿勢に対して、国民は徹底的に怒るべきでしょう。

消費税よりも逆進性の高い、現在の年金制度

消費税増税が10月に迫っています。

消費税といえば低所得者いじめの逆進性の高い税制として悪名高いわけですが、意外に今の年金制度はそれ以上に逆進性が高いのではないか?と、からあげ弁当は考えています。

年金制度をザックリと確認したいと思います。

国民年金も厚生年金も支払った保険料は、すべて厚生労働省が管理する年金特別会計に入ります。

平成28年度は国民年金と厚生年金合わせて39.6兆円の保険料収入があり、この保険料に税金から支出された11.2兆円を加算して受給者へ支払いました。 (厚生労働省のデータ

年金は若いころに貯めていたものを受取るわけではなく、現役世代からダイレクトにお金が渡る仕組みになっています。

これは国民年金も厚生年金も同じです。

現役世代がいっさい保険料を支払わなくなるか、税金から補填されなくならないかぎり、もらえなくなることはないと言えます。

なので、年金制度の破綻というのはまずあり得ないということにります。

ただ、少子高齢化が進むので、もらえたとしても金額が減るのではないか、という心配もあるかと思います。

実は年金特別会計には平成28年度末で185.8兆円の積立残高があります。

これを運用しつつ取り壊していけば、今後100年くらいは今の給付水準は保てると厚生労働省は試算しています。(100年から先はわかりませんが)

ちなみに、積立金の取り崩しはほとんど行われておらず、積立ては増える一方で、平成を通じて2倍以上になりました。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用を行っており、平成13年から平成31年末までに年平均で2.73%のパフォーマンスをたたき出しています。(GPIFデータ

18年間で 56.7兆円の累積黒字がでていますので、たまに アベノミクスで年金が15兆円溶けたのような記事が出ますが、さほど心配はいらないと思います。

株は長期的には上がっていくものですので、いずれ回復していきます。

ただ、からあげ弁当はこの積立金はそもそも必要がないと思っています。

年金は税金から払えばいい

老齢年金は保険制度で維持されていますが、未加入の人は受給権がないため、生活保護を申請することになります。

年金を納めていなければ野垂れ死にもやむなし、とはいかなからです。

保険料を納めても納めなくても生活費がもらえるのなら、いっそのこと全て税金から支出したほうが公平で透明性も高いといえます。

そもそも国民年金は日本人は全員加入が義務付けられているにもかかわらず、保険制度というのが矛盾しています。

全員が負担すべきであるなら、未納が発生しにくい税金で賄うべきです。

積立金が必要がないというのは、税金かもしくは赤字国債によってカバーすればよいからです。

カバーすればよいというより、カバーすべきなのです。

保険制度の本質的な問題点

所得税は累進課税によって所得が多ければ多いほど納税額が大きくなります。

しかし、年金保険料はどんなに所得が高くても、

  • 49,290円(厚生年金、平成31年現在)
  • 16,410円(国民年金、  〃   )

が最高になります。

つまり、年金が保険制度であることは、所得が高い人にとって有利なのです。

もし、保険制度をやめて年金保険料を税制に組み込むと、所得税率の引き上げを行うと考えられますが、所得が高い人は 49,290円以上の負担増が予想されます。

その意味で、現在の年金の保険制度というのは、相互扶助という美名でごまかされた、金持ち優遇システムといえます。

税制というのは本質的にあるところから徴収して、足りないところに再分配するというのが基本になります。

年金というのは福祉の本丸であり、日本の予算の中で最大の支出を伴うものであるにもかかわらず、再分配の思想の枠外に置かれています。

平成28年度の徴収された年金保険料が39.2兆円に対し、消費税は17.2兆円です。

自助努力、自己責任、相互扶助というキーワードは落とし穴があります。