老後に備えて2000万円が必要という金融庁の発表を、真に受けるべきか、それとも受け流すか。

金融庁が老後に備えて2,000万円貯金して自助努力を、という報道がなされています。

多くの人が唖然としましたし、Yahooのコメント欄も大荒れです。

からあげ弁当もどういうことか金融庁に見に行きました。

 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

無職の高齢夫婦だと月平均5万円くらい貯金を切り崩しているので、30年で2,000万くらい貯金がいるよ、ということが書いてあります。

これは金融庁が有識者を集めて「高齢社会における金融サービスのあり方」などをテーマに議論を行い、その結果をまとめた報告書です。

金融資産の多くは高齢者が保有しているので、巷で言われるような年金不足を投資でカバーしろというよりは、いかに高齢者の持つ金融資産を株式市場に誘導するか、というところにポイントが置かれた議論のようです。

会議には大学教授の他、証券会社や保険会社の人が入っており、いわゆる貯蓄から投資へという動きに弾みをつける狙いがあるとからあげ弁当はみています。

言っても金融庁ですので、年金の敗北宣言というより、金融業界の意向をうけた資産運用啓発のようなものだと思います。

GPIFも35兆円を日本株で運用していますし、日銀はETFに25兆円入れています。

現在、65歳以上が3割近くいますので、更にその人たちの預貯金も株式に誘導するつもりでしょう。

国をあげて株をやろうというわけです。

この議論の中では加齢とともに認知力が低下するので、リスク商品との付き合い方についてどのように取り組むかという議論がなされています。

一般的な、年齢とともにリスク商品から安全資産に移行する、というセオリーとは逆行しています。

まして認知機能が低下してまで、投資を継続するなどどうかしてます。

最後に以下のような提言で締めくくられています。

<現役期>
  • 早い時期からの資産形成の有効性を認識する
  • 少額からであっても安定的に資産形成を行う
  • 自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する
  • 長期的に取引できる金融サービス提供者を選ぶ
<リタイヤ期前後>
  • 退職金がある場合、それを踏まえたマネープラン等を再検討する
  • 収支の改善策を実行する
  • 中長期的な資産運用の継続と計画的な取崩しを実行する
<高齢期>
  • 心身の衰えを見据えてマネープランを見直す
  • 認知・判断能力の低下・喪失に備える

一言で言うなら、投資で老後の資金を作ってくださいということです。


働いても給料はたかが知れているし、貯金しても老後の生活は支えきれないというわけです。


そのための煽りとして、年金の不足をあげていることが今回の騒ぎの本質です。

あくまで、軸足は金融商品の販売促進です。

証券会社の会議ならまだ理解できますが、政府がやることじゃないですね。

非正規雇用の拡大や終身雇用の崩壊を促進させておいて、その代わりに投資をすすめるというのは、もはや政治ではありません。

日本人の金融資産1800兆円のうち、300兆円しか株や投資信託に入っていませんので、まだまだ投資に向かう余力はあるのですが、日本人に不足しているのは投資ではなく、自分の置かれた状況を真剣に考えるということではないでしょうか。

年金について不安があるなら、年金について勉強してみるとか、非正規雇用の賃金は本当に妥当なのかとか。

それを抜きにいきなり投資に走るというのは、まさに為政者の思うツボです。

個人的な考えですが、投資というのは余力のある人が、趣味の範囲でやるものだと思います。

そして、がっぽり儲かった日には、ベンツを乗り回して「いやー、株でちょっとね」とシャバを流すというのが、本来のあり方のような気がします。

ちなみに年金が危機的状況というのは嘘で、金を刷れば年金問題は解決します。

問題なのは生産年齢人口が少なくなったときに、日本人全体を満たせる生産力が維持できないことにあります。

お金は刷れば無限にありますけど、買えるものには限界があるということです。

2025年には700万人に達するとも言われる認知症の高齢者を、誰がどうやって看るのでしょうか。

年金が足りないから投資させるというのは、政府の姿勢としてかなり問題です。

年金の危機というウソを交えながら、社会環境の改善もせずに、老後に備えて投資をそそのかすという怠惰な姿勢に対して、国民は徹底的に怒るべきでしょう。