消費税が10%に上がろうとしていますが、その税金は何に使われるのでしょうか?
表向きには財務省は10%増税分は、全世代型の社会保障に使用すると説明しています。
前回、平成26年4月1日から消費税が8%に上がったときも、財務省の説明は社会保障のためにというのがその理由でした。
財務省のパンフレットに書いてあります。
同じ理由で増税をしようとしているんですね。
なので、平成26年に8%にあがったときの使われ方を見れば、10%が何に使われるのか何となく予想がつくと思います。
以下は補正予算を含めた一般会計の決算の数字ですので、結果として実際の歳入を表しています。
これを見れば、いくら言い訳をしても、数字に表れているというわけです。
25年度 | 26年度 | 差額 | |
前年度余剰金 | 10.7兆円 | 5.8兆円 | -4.9兆円 |
公債金収入 | 43.5兆円 | 38.5兆円 | -5.0兆円 |
税外収入 | 5.0兆円 | 6.4兆円 | 1.4兆円 |
所得税 | 15.5兆円 | 16.8兆円 | 1.3兆円 |
消費税 | 10.8兆円 | 16.2兆円 | 5.4兆円 |
法人税 | 10.5兆円 | 11.0兆円 | 0.5兆円 |
合計 | 106.0兆円 | 104.7兆円 | -1.3兆円 |
消費税増税前の25年度と増税後の26年度の歳入の比較を行っています。(100億単位は四捨五入)
消費税収が大きく5.4兆円の増収になっている一方、前年度剰余金と公債金収入が大きく減っています。
前年度剰余金は前年度の一般会計の余りですね。
税収が足りないといいつつ、24年度は10.7兆円余って25年度に繰り越しています。
これは消費税1年分に匹敵します。
公債金収入というのは、いわゆる国の借金の部分です。
25年度に対して26年度は5兆円も借金が減っています。
なので、ここで言えるのは、26年4月の消費税増税をあてにしてかどうかはわかりませんが、25年度の剰余金を去年より余計に使ってしまおう!となった部分と、新たな借金を減らしたということです。
下は歳出に関して25年度と26年度を比較したものです。
25年度 | 26年度 | 差額 | |
余剰金 | 5.8兆円 | 5.9兆円 | 0.1兆円 |
社会保障関連費 | 29.2兆円 | 30.2兆円 | 1.0兆円 |
文教及び科学振興費 | 6.2兆円 | 5.9兆円 | -0.3兆円 |
国債費 | 21.3兆円 | 22.2兆円 | 0.9兆円 |
地方交付税交付金 | 17.6兆円 | 17.1兆円 | -0.5兆円 |
防衛関係費 | 4.8兆円 | 5.1兆円 | 0.3兆円 |
公共事業関係費 | 8.0兆円 | 7.3兆円 | -0.7兆円 |
その他 | 13.2兆円 | 11.1兆円 | -2.1兆円 |
合計 | 106.0兆円 | 104.7兆円 | 4.5兆円 |
歳出で大きく増加しているのは、社会保障関連費が1兆円増額されたのと、国債費が0.9兆円増えた部分です。
国債費というのは借金の返済(元本と金利)部分です。
歳入と歳出で一貫しているのは、政府は借金を減らそうとしているということです。
歳入で新たな借金を減らす一方、歳出では返済額を増やしています。
肝心の社会保障は確かに1兆円は増えていますが、消費税収は5.4兆円増えていたはずです。
8%増税の時に財務省は増税分は、全額社会保障に支出されると説明していました。
社会保障関連費の年ごとの変化を見たいと思います。
社会保障関連費 | |
22年度 | 28.3兆円 |
23年度 | 29.8兆円 |
24年度 | 29.2兆円 |
25年度 | 29.2兆円 |
26年度 | 30.2兆円←ここで増税 |
27年度 | 31.3兆円 |
28年度 | 32.2兆円 |
29年度 | 32.5兆円 |
時系列的に見ると、消費税によって特別に社会保障が拡充されたというようには見えません。
年金や医療は義務的経費なので、高齢者が増えれば増えていく費用です。
26年度に1兆円増えたようにみえた社会保障も、複数年を俯瞰してみてみると消費税が社会保障に使われたようには見えないわけです。
つまり、5.4兆円はほぼ全額借金の抑制と返済に使用された、と考えていいのではないでしょうか。
財務省は嘘をついたということになりますが、その点は狡猾な省庁ですので抜かりはありません。
一般会計というのは所得税は防衛費に使って、消費税は社会保障に使うというような考え方はしません。
一般会計という一つの財布に税金を入れて、それから使い道を検討するので、今まで借金で社会保障を行っていたものを、消費税に入れ替えたといえばウソにはならないからです。
でも、屁理屈の域はでませんよね。
財務省は2025年までにプライマリーバランスの黒字化を目指しています。
プライマリーバランスというのは、歳入の公債金収入と歳出の国債費の額をイコールにすることです。
8%増税はプライマリーバランスを黒字化するためにあったと、からあげ弁当は考えています。
プライマリーバランスを黒字化させるためには、11兆円近く公債金収入と国債費に開きがありますので、10%増税による増収はそれを埋めるために使用されることは間違いないと思います。