富裕層は好景気を好まないという疑念

2016年10月27日 物価

富裕層は好景気を望まないのではないか、という疑念が自分の中にはある。厳密に言えば好景気に伴うインフレを好まないということだ。

富裕層も好景気は歓迎したいところだとは思うが、好景気はどうしてもインフレを伴う。

好きなものの中に嫌いなものが混じっているという理由で、好景気も含めて全部を嫌っているのではないか。

前回の記事を書いたあとに、改めてこの事について考えた。

インフレは昔から親の仇のように嫌われている。インフレが進みすぎると店から物がなくなり、何をするにしても順番待ちになる。ただ、こういった戦後型のインフレは、日本では戦後とオイルショックのときにくらいしか起こっていない。

このタイプのインフレは生産力が弱い発展途上国にみられる。純粋にものが不足するために価格が上がるのだ。

終戦後のインフレは生産設備や人手不足といった生産力の低下が原因だった。働き盛りが戦争に行けば生産力は下がり、空襲でインフラや生産設備が破壊されることによって物価は上昇する。

オイルショックは中東戦争の影響による石油の輸入量の減少が原因だった。いずれもモノが不足することによる物価高騰だ。

一方、インフレには貨幣が市場に増えることによって起きるものもある。こちらが好景気に伴うインフレだ。

政府の支出増大や企業が借入による設備投資などを行うと、市場に流通する貨幣量が増える。相対的にモノやサービスよりも、貨幣の価値が下がるのでインフレになる。

物価上昇にはモノが不足するタイプと金が余るタイプの2種類があるのだ。しかし、意図してかどうかはわからないが、前者と後者は混同して語られる。いかにインフレが恐ろしいか過大に周知されている感じがする。
tenbin
好景気になるとレストランの予約がとれなくなったり、モノやサービスが不足することになるが、戦後型のインフレのような悲惨さはない。ただ、やはり資産が目減りするという点では、富裕層にとって両者とも変わりはない。

昨今の世界経済の動向を見ていると、富裕層にとって重要なのは物価上昇率であって、景気の良し悪しではないのではないかと思えてくる。日本、アメリカ、欧州などの物価の低迷や国際的な緊縮財政の励行などがそうだ。

アメリカの議会は財政の崖が定期的に問題に上がる。ドルはアメリカの自国通であるため、日本同様、印刷して支出することができる。デフォルトなど起きようもなく、オバマケアといった民間の医療保険など遣わなくても、政府が医療保険を運営することは十分に可能なのだ。

また、アメリカは格差の社会であるため、いずれ富裕層に対する課税が課題になってくるだろう。それは直接的な所得や資産に対する課税と、物価上昇によるインフレ税の二つの道がある。現状では富裕層はそのどちらからも逃げおおせている。

EUでは安定・成長協定(SGP)で財政赤字は単年度でGDPの3%以下、債務残高は60%以下と定められている。アメリカもヨーロッパもまた日本も財政出動に対しては、判で押したように緊縮財政を推進している。

緊縮財政を行えば企業の設備投資を含めて市場の貨幣量は抑えられることになり、物価は低調にならざるを得ない。それに先進国が歩調をあわせるように推進しているところが不気味だ。FRBにしてもまだ2%の物価目標は達成していないにもかかわらず、金利を引き上げようとしている。

また、ロイターやブルームバーグといった金融系のどちらかといえば金持ち相手の商売の連中は、インフレを伴った好景気のことを高圧経済と呼んで否定的な論陣を張っている。

入ってくるニュースのほとんどが金持ちに都合がいい、物価を下げるような(景気が悪くなる)政策ばかりだ。

陰謀論に興味ないが、好景気を潰してまでも今持っているものを失わないように、社会の上の方ではいろんなことが仕組まれているのではないかと思わざるを得ない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA