TPPは経済統合?

アメリカのUSTRについて検索していたら、日本の外務省がだしているこんな文書を見つけた。

USTRというのはアメリカ大統領直属のビジネスに関する外交をやる部門らしいが、この文書の中でTPPをアジア太平洋地域の経済統合の基盤にするとある。

TPPというのは自由貿易協定だと思っていたが、経済統合の基盤というのは穏やかでない。ユーロは通貨を含めた完全なる経済統合であり、その結果ギリシャ問題など南欧の貿易不均衡による貧富の偏りができてしまった。

80年代に日本がアメリカに自動車やら半導体を輸出して、スーパー301条を持ち出すとか持ち出さないとかで騒ぎになったのも貿易不均衡があったからだ。そんなことを忘れたかのようにアメリカは経済統合を行おうとしてる。

ユーロというのは人、物、金が国境をまたいで自由に行き来するグローバルな仕組みだ。イタリア人がフランスにチャリで買い物に行くことも可能だ。佐賀県人が福岡に買い物に行くのと同じことで、ほぼ経済に関しては県の集まりのようになっている。

そうなると、どうしても人がお金を落としたり、企業が集まりやすい県があったりで、県ごとの経済的な格差が生じてしまう。そのため、日本政府は地方交付税を各地方にばらまくことで地域の格差を是正している。この地方交付税という調整機能があるから、各県は自由に人もの金が動いても問題が生じないようになっているわけだ。

ところがユーロには地方交付税などない。ここがユーロの一番の問題点だ。ユーロ全体を管理して税金を取って、ギリシャのような国に分配する仕組みでもできればいいのだろうがまず不可能だろう。

そのような経済統合をUSTRは行おうとしているのだろうか?ユーロの場合は通貨統合してしまったのが命取りだったので、まだTPPは問題ないと言えるかもしれない。しかし、これから長い時間をかけて共通通貨導入の話がでてくるかもしれない。

間違い無く言えるのは、アメリカのUSTRはアメリカのものを売る気満々だということだ。でなければ地方交付税がないこの多国間経済統合でギリシャになってしまう。それで売る相手はだれかというと、もちろん参加国全員だ。よほど慎重に運営しなければTPPでは貿易不均衡が問題になるだろう。

今現在のTPPな内容は穏やかなものになったかもしれないが、徐々にこれが効いてくる。2000年にユーロが始まった時に今の混乱を予想していた人は少なかったはずだ。ユーロがドルに代わる基軸通貨になるか?といった話もでていたくらいだ。10年後、20年後にこんなはずじゃなかったとならないことを願いたい。

いずれにせよ日本は島国でよかった。ひとまず共通通貨でなくてよかった。

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