カタルーニャの分離独立運動

スペインのカタルーニャ州

スペインのカタルーニャをご存じでしょうか?最近、ヤフーニュースでも独立するかも?ということで話題になったところです。

スペインはアメリカと同じように17の州からできている国で、スペイン全体の人口4600万人のうち、700万人がカタルーニャ州に住んでいます。スペインのGDPの2割を占める、経済的に発展した州でもあります。日本でいうと、ちょうど東京のようなイメージでしょうか。東京が日本から独立するというのはインパクトありまくりですね。

州都はバルセロナでサグラダファミリアのあるところです。サグラダファミリアって、少し前までは完成までに数百年かかるといわれていました。生きているうちに見ることができないんだと思ってましたが、今は3Dプリンターでガシガシ作っていて2026年には完成するらしいですねww技術の進歩は素晴らしいと思います。

独立の理由は経済的行き詰まり

なぜ、独立しようとしたかですが、直接的な原因は経済的な行き詰まりということが言えます。

カタルーニャ州はスペイン中央政府に多額の税金を納めていますが、その見返りがあまりないのが不満だったようです。東京も日本のGDPの3割を稼ぎだして、国税として10兆円くらいの税収のある地域ですが、地方交付税は1円ももらっていません。ただ、それで東京が日本から独立する話なんて、聞いたことないですよね。

もともとスペインは地域によって言葉や民族の違いがあります。スペインにはカタルーニャ人、バスク人、バレンシア人などが集まってできた国です。なので、日本のような単一民族ではありません。

スペインの失業率は20%を超えており、若年者の失業率は50%を越えていて、日本よりひどいデフレに苦しんでいます。日本はデフレでありながら人手不足です。ふつうはデフレになると仕事がなくなるのですが、日本の場合は高齢化が進んでいて、労働人口が少ないので例外といえます。スペインでは仕事がないのです。

仕事がないうえに、自分達が納めた税金がよそのカタルーニャ民族でない人々にばらまかれたと思うと、いてもたってもいられなくなったというのが実態のようです。カタルーニャに負担ばかりが押し付けられている、という思いがあったのでしょう。

EU加盟がもともとの原因

政府は一般的には不景気になると、公共事業を増やして景気を下支えします。小学校のころ習った記憶はないでしょうか?

しかし、EUは加盟国にたいして欧州連合条約(マーストリヒト条約)で、財政赤字はGDP比で60%以内と決めています。日本は200%を超えているのでかなり厳しい基準です。EU加盟国は不景気でも、60%以上の財政赤字があると景気対策ができないのです。

また、通貨がユーロのため、以前ならスペインの旧通貨であるペソを発行して金融緩和していましたが、ユーロの通貨発行権はEUにあるので金融緩和することはできません。アベノミクスの第一の矢である、黒田バズーカのようなワザが使えないということですね。

以上のような理由で、スペインにかぎらずヨーロッパ全体の失業率は、10%を越える慢性的な不景気に陥っています。EUに加盟している国は、財政出動も金融緩和も縛りがあるためです。

経済と政治は不可分

日本の場合は東京の人も北海道の人も、同じ日本人という認識があるので、東京の税金が北海道で使われたとしてもさほど問題視しません。

もともと、東京は地方出身の人が多いというのもありますし、日本の国の歴史が長いために、1つの国民としてのまとまりがあるからというのもあります。なので、再分配するにも抵抗がないわけです。

しかし、カタルーニャの場合は他の地域とは言葉も風習も違うために、自分達の税金が他の民族のために使われるのは抵抗があったと考えられます。

まして、経済対策ができずに不景気なわけですから、そのストレスが爆発したというのが今回の国民投票になったということです。

選挙公約はここを見とけというはなし。

選挙演説では政策はわからない。

また、衆議院選挙がありますね。こないだ内閣改造したばっかりなのに、気の早いことです。去年、福岡6区では鳩山邦夫さんが亡くなられて補欠選挙があったので、色んな候補者の演説を見に行きました。

補欠選挙は党の大物が来るんですね。それこそ麻生太郎や小池百合子といった誰でも知ってる政治家が日替わりで来ます。あ、テレビで見たことある!というのが楽しくて5回は行きました。

全国一斉だとこうはいきませんが、補欠選挙だと候補者にこれでもかと党幹部が愛情を注げるというわけです。ただ、その時思ったのは、

「久留米の皆様のために一生懸命頑張ります。」

「鳩山二郎、鳩山二郎をよろしくお願いします。」

という名前の連呼や、がんばりますコールのオンパレードばかりということです。

麻生さんは候補者に政策は一切言うなと、指示してるみたいです。ご本人が演説でおっしゃってましたw一年目で政策なんて出来やしないから、というのがその理由らしいです。公衆の面前でよく言うなという感じですが。

これでは政策的なことは、全くわかりません。やはり、党のサイトで公約を確認する必要があります。

公約のここを見る

私が公約を見るときは、全体的な税負担と政府支出のバランスを見ます。個々の政策ではなく、トータルで気前がいいのか悪いのかというところです。

自民党は消費税増税の使い道について、私立高校の無償化や全世代型の社会保障の充実をやります!と主張しています。まあ、払った人に戻るというだけですよね。

希望の党は消費税増税は凍結して企業の内部留保に課税すると言っています。内部留保に課税するくらいなら、法人税を上げれば良いような気もしますが。

これらは全部、枝葉に過ぎません。大切なのは全体としてのお金の使い方なのです。消費税を上げて私立高校を無償化するのと、消費税増税は凍結するけど、内部留保に課税するのはどちらがより良いのか?

はっきりいって比べようがありません。個々の政策を散発的に並べても、全体の収支が見通せないからです。全体の予算をどう考えているかが重要なのです。税金をどのくらいとって、どのくらいの支出を予定しているか?です。

自民党は歳出削減に血道を上げており、2020年までにプライマリーバランスを黒字にすると宣言していました。最近少し路線変更したようですが。そして、消費税増税をするので、全体としては支出を減らしつつ、増税ということになります。

これでは国民は貧困化しますね。税金を多くとられて、再分配はほどほどにというわけですから。経済政策だけでいうなら、自民党には入れられません。

希望の党は、財政出動に頼らない経済運営をすると、はっきり公約に掲げています。消費税増税は凍結と言ってますのが、あくまで凍結ですので、いつ解凍されるかはわかりません。また、内部留保に課税するので、全体としては緊縮財政と増税のペアということになります。これは自民党と同じですね。

経済政策は落第です。

いくら待機児童ゼロとか言ったところで、財布の中身は減りますよということです。これはイヤですよね。歳出削減と増税のコンビネーションは私はイヤです。イヤイヤです。

第三極となった立憲民主党は、農業者戸別所得補償制度の法制化や自治体への一括交付金の復活といったことしかわかりませんが、これだけを見れば支出を増やすようにも思えますし、共産党と連携してきているので、そんなに緊縮はやらないと想像します。

というように、全体的な税負担と政府支出のバランスがどうなるのか?を注意して見るようにしてみて下さい。

公約の羅列をジーっと見ても、どこがいいのかはわかりませんので。今回は比例は立憲民主党、小選挙区は共産党にしようかと思います。

希望の党の公約はなぜダメなのか

ユリノミクスの中身は?

衆議院選挙が10月22日に行われます。新たに小池東京都知事を代表とする希望の党が結成され、旧民進党から多くの議員が移籍するなど、政局が慌ただしくなっています。ただ、こういったときこそ政党の訴える政策を冷静に考えるべきです。希望の党は9の公約と12のゼロという政策を打ち上げており、総体としては小さな政府を目指しているということが言えます。

ただ、小さな政府を目指しているのであって、小さな政府ではないということを断っておきたいと思います。

「徹底した規制改革と特区を最大活用し、民間の活力を生かした経済活性化を図ります。」
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。」希望の党HP抜粋

小さな政府では政府はなるべく市場に口出しするのは控えて、民間企業の自由な経済活動を見守るという立場をとります。そのため、財政出動に過度に依存しないということが公約に掲げられているわけです。

ただ、希望の党の推進が推進しようとする小さな政府には矛盾点があります。2019年10月に10%引き上げが予定されている消費税ですが、小さな政府なら引き下げるか廃止の方向に行かざるを得ないからです。

財政出動を削減して、同時に減税をするというのが小さな政府のパッケージになります。共産党や社民党といった大きな政府を志向する政党なら、拡張的な財政出動を行いつつ増税となります。現状では消費増税は凍結するという煮え切らない態度をとっていますので、選挙の結果次第では増税に舵をきることは十分に考えられます。

アベユリでは庶民は置き去りに

もし自民党や希望の党のような緊縮的な財政政策をとりながら、かつ、増税という矛盾した政策をとる政党が政権を取った場合は、デフレが継続することになります。つまり、景気がいい景気がいいといわれながらも、庶民にはさっぱり美味しい部分が回ってこない経済ということです。

緊縮的な財政政策をとりながら増税しますので、当然といえば当然な結果です。こういった矛盾した政策をとるのには理由があります。

すべては財政再建のために

自民党も希望の党も小さい政府を志向していながら、なぜ増税という矛盾した税制を行うかというと財政再建のためです。中央と地方を合わせた公的債務は1200兆円を超えており、将来へのツケは減らさなければならないといわれています。

ただ、財政赤字が膨らんでいるのは日本だけではありません。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツなどすべて財政赤字は拡大しています。

アメリカ

カナダ

オーストラリア

ドイツ

そして日本

世界経済のネタ帳さんからお借りしました

先進国に限らず、発展途上国でも同様の傾向がみられます。すべての国は建国以来、右肩上がりに政府の債務は増え続けるものなのです。自然現象といってもいいでしょう。しかし、日本は2020年までにプライマリバランスをプラスにして、このグラフを右肩下がりにしようとしています。

財政支出を削減しながら増税をするのは国民を打ちのめすだけの政治であり、小さい政府でもなんでもありません。財政再建はやってはいけないのです。世界には200近くの国がありますが、政府債務が右肩下がりになっているところなどひとつもありません。それくらい財政赤字を削減するというのは尋常でない政策ということになります。

ベーシックインカムの甘いささやき

希望の党はベーシックインカムの議論も進めると公約にあります。国民全員(1億2千万人)一人当たり毎月5万円といった給付を行うものを、ベーシックインカムといいます。希望の党の基本路線はあくまで小さな政府ですので、ベーシックインカムを実施するとしたら、その分、既存の社会保障が削減されることが予想されます。

おそらく、ベーシックインカムを実施後の政府支出は、今よりもコンパクトなものになるでしょう。極論を言うと、医療費や国民年金といった社会保障はすべて廃止されてベーシックインカムでどうにかしようね、ということです。若くて健康なら良いでしょうが、高齢で病気がちの人にはきつい制度です。

本来、社会保障というのは、弱った人のためのものですので、そもそもといったところで疑問のある制度ではあります。むしろ、ベーシックインカムを導入するよりは、消費税を廃止するほうがすっきりするのではないでしょうか。

ベーシックインカムは全員一律ですので、制度管理などが簡略化されるのでコストがかからないというメリットがあります。しかし、政府全体の支出は削減の方向に行くのは間違いないので、やはり病気などの不測の事態に陥った時にどうするのか?が問われると考えられます。

客寄せパンダの12のゼロ

待機児童ゼロやブラック企業ゼロなど12のゼロの部分は一つ一つの政策に反対する人はほぼいないでしょう。花粉症ゼロや満員電車ゼロなどどうやって実現するのか???なものもあります。問題はいかにしてこの12のゼロを達成するか、という方法が明記されていないところです。

12のゼロ

原発ゼロ
隠ぺいゼロ
企業団体献金ゼロ
待機児童ゼロ
受動喫煙ゼロ
満員電車ゼロ
ペット殺処分ゼロ
フードロスゼロ
ブラック企業ゼロ
花粉症ゼロ
移動困難者ゼロ
電柱ゼロ

やはりここでも基本となるのは、財政に頼らずにどれだけできるのか?というところです。小さい政府を目指す以上は余計な支出は控えなければいけません。電柱ゼロを実行するのにはお金がかかるわけですが、ベーシックインカム同様、増税かほかの予算を削って実施することになるでしょう。どこかにしわ寄せがくるわけです。

希望の党とは

経済政策に関して言えば、希望の党は小さな政府のふりをした、国民いじめの党になる可能性があるといえます。これは現政権である自民党も同様です。財政再建にこだわって緊縮財政 + 増税というありえない政策を打ち出す以上、そう評価せざるを得ません。財政再建という発想をやめない限り、日本がデフレから脱却して、みんなが経済的な豊かさを感じることのできる社会は、絶対に来ないでしょう。

希望の党の経済政策上は以上のようなことが言えるわけです。他にも見るべきポイントはありますので、総合的に判断して投票していただきたいと思います。

日本はまだ経済成長できるのか?

古い経済発展のイメージ

第二次世界大戦後、日本は高度経済成長をしました。昭和40年代初めは、3Cと言われたカラーテレビ(Color TV)、車(Car)、クーラー(Cooler)が豊かさの象徴として家庭に普及していった時代です。

東京オリンピックを境に日本は急激に経済的な発展を遂げます。その頃は新幹線や高速自動車網といった、インフラの発展も目覚しいものがありました。こういったイメージがあるせいか、日本はこれ以上発展しないのではないか、と感じる人も少なくありません。

戦後の焼け野が原から、綺麗な建物が立ち並ぶ町並みや、整備された道路へ発展するには伸び代があるように思われます。しかし、今の日本から更に発展するとなると、なかなかイメージが湧き難いからです。

確かにモノは十分にあり、生活に困ることはないかもしれません。これ以上発展しなくても良い、と考える人もいるでしょう。

しかし、一方で豊かな国であるはずの日本に、貧困の問題がでてきています。所得の低い人にとっては日本が豊かであるというのは、どこか別の世界の話であるように感じるかもしれません。

貧困問題は経済発展のチャンス

所得の低い人たちがいるとういうことは、それだけ日本には経済発展する余地がある、ということでもあります。所得が低いばっかりに諦めている住宅や教育の機会など、それだけ経済発展の可能性があるからです。

そのためには労働者の4割を占める非正規雇用という働き方に、政府が真剣に取り組む必要があります。最低賃金を上げるだけにとどまらず、雇用形態や労働分配率の改善といった取り組みが必要です。不足しているところにお金を還流させることで、より日本を豊かにしていくことができます。

高度成長期はよくストライキがありました。小学校の先生なども賃上げ要求して、授業をボイコットしたりしていました。今の世の中でそこまでするのは難しいですが、昭和の労働者はしたたかで、明るさがあったように思います。労使の力関係も今のままで良いのか、考えていく必要があります。

災害対策やインフラへの投資が必要

また、最近は地震や台風、水害といった自然災害が多く発生しています。台風が日本列島を通過すると必ずと言っていいほど亡くなる方がいます。河川の洪水対策や建物の耐震化などは、まだまだ始まったばかりであり、やろうと思えば山のように仕事はあります。

インフラのバージョンアップというのは今からの課題です。ようやく実現したリニアの普及や、車の渋滞問題も解消しなければなりません。

休みの日にどこか行こうと思っても、思いのほか渋滞がひどくて、時間ばかり経ってしまうことがあります。これもインフラの投資不足が原因であり、スムーズに車が流れればそれだけ経済効果も高まります。被災者ゼロ、渋滞ゼロ、を目指してより質の高い社会資本整備を行う必要があります。

2016年はヴァーチャルリアリティ元年だそうです。また、AIやロボットといった、新たな産業が芽吹き始めています。自動車の自動運転もかなりのレベルまできており、東京オリンピックでは自動運転のタクシーを導入すると政府は公言しています。

社会資本整備や新しい分野の経済成長は今からです。高度成長期の数倍、数十倍のポテンシャルを秘めている。そう考えても間違いなさそうです。

そもそも経済とは

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国家と経済

経済を考えるときに、どうしても避けては通れない要素がお金です。お金はどこからやってくるのか?お金になぜ価値があるのか?

こういった基本的な部分を抜きに、経済を考えようとしてもうまく考えがまとまりません。経済を考えるには事前にお金の本質を理解しておこう、ということです。お金のことを理解するにはまず、日本という国を理解する必要があります。国家とはなんでしょうか?

Wikipediaによるとつぎのようにあります。

国家(こっか)とは、国境線で区切られた領土に成立する政治組織で、地域に居住する人々に対して統治機構を備えるものである。 領域と人民に対して排他的な統治権を有する政治団体もしくは政治的共同体である。

国家とは政治的共同体とあります。共同体というのはお互いの利害を共にして助け合う集団です。

地震などの災害が起これば被災した人を助け、歳をとって働けなくなれば年金を給付して生活を支えます。助け合うのは共同体の一員としての義務であり、また自分が困った状態になったときには助けてもらえるということでもあります。

共同体全体の利害調整を行うのが政府です。政府が音頭をとりながら、インフラ整備や治安維持といった行政サービスを行います。

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お互いに助け合うのが共同体ですが、ボランティアのように緩いものではありません。国によっては徴兵制があり、逃げたりすると重い罪に問われます。

みんなで必死に国を支えているのに、一人だけ逃げられたらたまりません。国家というのはある意味、血の掟で繋がった共同体とも言えます。

共同体に属する以上、公共的な仕事は全員の役目なのですが、政府は1つのルールを決めました。

それは、政府が発行する券を渡せば、公共の仕事をキャンセルできるというものです。この券は公共の仕事をした人に対して対価として渡されます。

ある程度、公共の仕事をすれば、それ以上はその券を使用することで減免されることになります。大量に持っていれば一切公共の仕事をする必要はありません。この券が紙幣です。

2年間の兵役もしくは100万のどちらかを、政府に求められるとしたらいかがでしょうか。徴兵制をお金で回避するのは倫理的に問題がありますが、お金の本質を表しています。

紙幣のもつ価値というのは、元をたどると共同体の一員としての義務を回避できるところにあります。公共の仕事の代わりにお金を支払って、国民の義務を果たすのが税金です。

公のために汗を流すのは尊いことですが、できれば休みたいのが人情です。公共の仕事以外に本業もあるので、みんなそれなりに忙しいはずです。本業が農業なら、生産した野菜と紙幣を交換する人もでてくるでしょう。本業に集中して、公共の義務は税金で支払うことが一般的になっていきます。

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政府はお金を発行しつつ、徴税によってお金を回収することで、国内経済を成立させています。通貨発行権と徴税権2つセットで行使することで、紙幣による経済が動き出すわけです。

政府が通貨発行すると説明しましたが、厳密には日本銀行が通貨発行や税金の管理を行っています。お札に日本銀行券と書いてあるのはそのためです。

政府支出と税収

政府は毎年、税金を徴収して予算を組んで支出します。基本的に税収より支出が多くなるように、毎年予算を組みます。もし、支出より税収が多いと、世の中から通貨が無くなることになります。政府は日本で唯一の通貨発行主体ですので、支出よりも税収が多ければ、いつか世の中からお金は無くなります。

単年度では支出<税収となることもありますが、基本的には支出>税収になります。このあたりが一般の家庭や企業と異なるところです。サラリーマン家庭が支出>収入といったバランスで生計を立てるのは不可能です。政府は不足額を通貨発行によって賄っており、その額は毎年10兆円を越えています。

実際には日銀が通貨発行を行っていますので、政府は国債を発行して日銀の用意した通貨と交換することで現金を調達します。これを日銀による直接引き受けといい、政府は通貨を得て日銀は国債を保有することになります。直接引き受けを財政ファイナンスと言ったりすることもあります。

政府は支出>税収を達成するために日銀による通貨発行と、市中の金融機関からの借り入れによって賄っています。

鋭い方はこう思うでしょう。

ある程度世の中にお金が回り始めたら、あとは支出と税収は同じくらいで良いのではないか?

確かにそんな気もしますが、以下の理由で出来ないようになっています。

経済活動を継続していくと資産が増える人、減る人、変わらない人がでてきます。国民全員が同額の資産を所有していれば、頭割りで徴税すればよいのですが、経済活動を続けるにつれて差がついていくので、中には支払えなくなる人がでてきます。

毎年、一定額の予算を執行するなら、払えない人の分はたくさん資産を保有している人に負担してもらわなくてはなりません。税金は平等に徴収するべきだ、とするなら政府の税収は徐々に減ることになります。支出=税収という前提であるなら、税収が減れば支出も減らさざるをえません。

政府の支出が減ると行政サービスが滞ることになるので、国民生活の質の低下を招くことになります。

そうはいっても支払えない人の分の税金まで、たくさん持っているがすべて負担するというのもおかしな話です。以上のことから支出=税収にしようとすると、お金持ちに重税がかかるか、行政サービスが貧弱になってしまうという問題がでてきます。

行政サービスの質を落とさずに、平等に徴税するにはどうしたらいいでしょうか?

答えは支出>税収にしてしまうことです。不足する予算は日銀による通貨発行で穴埋めします。毎年、世の中に出て行くお金が増えますので、徐々にインフレになります。インフレというと悪者のように思われがちですが、国民経済を成立させる一つの知恵です。

そしてインフレに

昔は大卒の初任給が1万円だった時代もあり、徐々にインフレが進んで今の水準になりました。税負担の平等性を考慮しつつ行政サービスを維持していくなら、今後もインフレが進んでいくことになります。

物価が上昇すると相対的にお金の価値が下がることになるので、お金を大量に持っている人にとっては好ましいことではありません。平等な徴税と行政サービス維持のために通貨発行を行いましたが、実はインフレはお金を持っている人にとっては負担なのです。実質的に税金を払っているのと変わらないために、インフレ税と言われています。

財政政策は、このインフレと税負担の公平性、行政サービスレベルのバランスをいかにとるかということが言えます。

行政サービスレベルが十分でインフレが進んでいれば富裕層にとって負担になりますので、税金を公平に徴収しつつ、財政支出を減らすことによって物価上昇率を下げる必要があるかもしれません。行政サービスの質が低く物価上昇率が低ければ、通貨発行によって政府支出を増やすか、富裕層の負担を増やす必要があるかもしれません。

難しいのはバランスの取り方に正解がないということです。インフレと行政サービスレベルと税の公平性は密接に関連していますが、これといった正解はないのです。3つのバランスはどのような世の中を私たちが望むか、政治的に決まることになります。

国債は暴落するか?

国債とは

国債が暴落するという本が本屋さんにあり、心配している方もいらっしゃるかと思います。結論から言えばファンタジークラスのことが起こらなければ、理屈からいって起こることはありません。理屈を説明する前に国債について少し触れておきたいと思います。

国債というのは、政府がお金を借りるときの借用証書です。政府は税収で行政を行っていますが、足りない部分は国債を発行してお金を借りています。平成29年度の一般会計では73兆円の支出のうち、10兆円が国債で補填されました。

国債は主に銀行や生命保険といった金融機関が購入しています。購入すると言ってもお金を政府に貸しているということです。金融機関が国債を買うときのお金は私たちの預貯金や保険の掛金です。

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預貯金や保険料は利子をつけて返さないといけないので、銀行や生保にとっては負債になります。利子をつけて返すには住宅ローンや企業向け融資といったもので、金利を稼ぐ必要がありますが、適当な貸出先が見当たらない場合、銀行や生保は国債で運用します。

本来なら3、4%くらいで企業などに貸したいところですが、デフレの経済環境の中で借りてくれるところが無いために、国債を買わざるを得ないというのが現状です。個人や企業に貸すと返ってこなくなる可能性もあるのですが、政府はほぼそういった心配がありません。

国債は誰が持っているのか

以上のような理由で、銀行や生命保険は国債を持たざるを得ない状況にあるということを踏まえて下の図をご覧ください。

財務省HPより

これは今までに発行された国債を誰が持っているかの内訳です(2017年6月末)。1084兆円のうち436兆円を日銀が保有しています。以前はこんなに大量に国債は保有していませんでしたが、アベノミクスの第一の矢である金融緩和でお金を市場に流したために大量の国債を保有することになりました。

国債が暴落するとしたら、誰かが投げ売りをしてくると考えられますが、日銀が投げ売りをしてくることはまずないでしょう。日銀が政府に反旗をひるがえして投げ売りにでるのは、九州が日本から独立するくらいの確立です。

二番目に多いのが国内の金融機関です。投げ売りたくても投げうる理由がありません。政府が貸し倒れになる可能性は低く、他に適当な預貯金の運用先もなければ売る理由がないからです。その次に多いのが公的年金と年金基金が77兆円持っています。公的年金が国債を投げ売りすることも、ちょっと考えられません。

あとは海外が117兆円分もっていますが、これはどうでしょうか?もしかしたら投げ売りを仕掛けてくるかもしれません。

国債が投げ売りにあったら

可能性は低いですが、万が一海外が投げ売りをしてくれば、国内金融機関が我先に買うでしょう。日本国内に出回っている国債は不足気味ですので、銀行や生保が喜んで買う可能性大です。

もし、それでも足りなければ政府が日銀に買わせることも可能です。すでに436兆円もっていますが、あと117兆を買い取ることは不可能ではありません。買い取る時のお金の出所は税金ではありません。日銀が新たに発行したお金です。その意味では制限なく素早くに買い取ることも可能です。

安倍政権は量的緩和を行っており、日銀が金融機関から国債を大量に買っています。年間80兆円ペースで国債を買い集めており、海外の保有者が全部売ったとしても、日銀が一年ちょっとで買い取れる金額です。日銀が量的緩和で国債を買っているので、国内は国債不足にすらなりつつあります。

また、仮に外国人が国債を売ったとしても、売って手に入れたお金はどこにいくのでしょうか?両替してドルにするかもしれません。両替をして円を受け取ったであろう金融機関は、両替した円をどこかに貸出すなり使うなりする必要があります。

タンス預金でもすれば別ですが、兆単位のお金は口座に入れて管理するはずです。銀行に預けるのであれば再び国債の原資になります。銀行に預けられたお金は運用難で国債を買うからです。国債を売ったお金は巡り巡って国債に向かうのです。

というわけで、日本円はどうあがいても再び国債を買う運命にあるということが言えます。銀行の口座に入るということは、そのまま国債購入に充てられるからです。

保有者の構成や保有している理由を考えると、投げ売りにあうというシナリオは、極めて起こりにくいということが言えそうです。

構造改革とは何か?

2000年代前半に小泉総理大臣が言っていた「構造改革なくして経済成長なし」という台詞を覚えていらっしゃるでしょうか。

構造改革とは具体的にどういうことを指すのでしょう。もともとはイタリア共産党の政治家が発言したのが始まりらしいのですが、日本で言われる構造改革は当時のものとは意味を変えて使われています。

現在の自民公明連立与党が行っている構造改革というのは、自由貿易、規制緩和、民営化の三つに分けることができます。

自由貿易

一般的に輸入品には関税がかけられて、国内の同一の製品に比べて割高になる傾向があります。関税には国内の産業を保護する目的がありますが、この関税を無くしてお互いに貿易を推進するのが自由貿易です。

食品の安全性に関する基準や医薬品の規制など、関税ではないけど国内の法律によって、輸入規制されているものもあります。これを非関税障壁といいます。そういった国内の非関税障壁を緩和してより貿易の拡大を図ろうとするのがTPPです。

規制緩和

2つ目の規制緩和は国内の様々な規制を緩和するということです。TPPの非関税障壁とも繋がる話ですが、電力の新規参入を行えるように法律を改正するなど、企業がより市場参入しやすい環境をつくりだして、企業のビジネスチャンスを増やすことができます。

また、国家戦略特区では地域限定で規制や税制を改革し、その効果を調べています。この国家戦略特区には,全国で6地域が指定されており、福岡市もそのひとつです。

天神や博多駅などの空港に近いエリアにおいては,航空機の安全な離着陸のために,航空法によって,建てられる建物の高さに制限がかかっています。従来76mの高さだったのを115mまで緩和して民間企業を呼び込もうとしています。

特区で試験的にその効果を確認して、結果次第では日本全体に拡大していきます。

民営化

最後に民営化です。郵便局や道路公団の民営化など、国や自治体が行っている事業を民営企業が行うことです。規制緩和と民営化は市場に参入する企業が増えることで消費者は選択肢が広がって、市場が活性化するねらいがあります。

構造改革というのは民間できることは民間にまかせて政府はできる限り経済活動に参加しないということが言えます。よく言われる小さい政府を目指すというのが構造改革ということです。

これはアベノミクスの第三の矢の成長戦略にもなっています。

構造改革の問題点

自由貿易でより多くの財やサービスが日本国内に輸入されれば、国内産業のバランスをとるのが難しくなります。安いからといって食料をすべて輸入に頼るのは、もしものときに食料が手に入らなくなったり、安全性のリスクがありますので、どこまで市場を開放するかは加減が難しいという問題があります。

適度な競争は進歩をもたらしますが、過剰な競争は企業に負担を強いることになり、無理なコストの圧縮やそれに伴う事故なども問題視されています。2016年に軽井沢スキーバスの事故により16人が亡くなる事故がありました。バス事業参入への規制緩和の影響や、人手不足による高齢者の深夜運転などが原因ではないかとも言われています。

日本の財政を考える

規模の感覚をつかもう

私たちは消費税をはじめ、所得税や固定資産税など、様々な場面で税金を納めています。国民はどのくらい税金を納めて、国はどういったことに支出しているのでしょうか?

全体的な収入と支出のバランスを見ていただきたいと思います。ここではざっくりと、あえて兆単位以下は四捨五入しました。

これは一般会計と呼ばれるもので、29年度の予算の内訳です。毎年、国会で予算編成が行われるのがこの一般会計です。支出の中でも飛び抜けているのが、社会保障費の32兆円です。高齢化により、医療費、介護、年金の支出が多いためです。

1980年代は65歳以上は10人に1人もいませんでしたが、2017年現在、4人に1人が65歳以上です。まさに高齢化社会です。今後は更に高齢者は増え続けて、2050年には2人に1人が65歳以上の高齢者になると予想されています。

消費税は所得税の次に大きな税収になっており、17兆円もあります。8%にあげる前は約10兆円でしたので、消費税増税によってそれなりに増収になりました。しかし、国民の貧困化が進行しており、これ以上の増税は経済に悪影響を及ぼすでしょう。

収入で34兆円の借金をしつつ支出では24兆円の借金を返済しています。国債の利子の支払いや、新たな借り換えによるものです。返済よりも借りるほうが大きくなっています。国と地方を合わせると1200兆円の借金があるというのは、この部分に原因があるためです。予定通りいけば、今年は32兆円-24兆円=10兆円の借金が増えます。

このように、ざっくりと見ることで、全体的な感覚がつかみやすいかと思います。限られた税収の中から予算は組まれていますが、一般会計のほかに政府は特別会計という別の財布を持っています。

真の埋蔵金「特別会計」

特別会計という言葉は、聞かれたことはあると思います。本来は見通しをよくするために一般会計ですべてを管理をするのが理想ですが、事業の性質によっては混ぜないほうが良いものもあります。その中のひとつに外国為替資金特別会計というものがあります。

「実は、2017年度予算案では、外国為替資金特別会計(以下、外為特会)の運用益(俗に言われる「埋蔵金」の1つ)の全額を一般会計のその他収入に繰り入れた。」
時事通信より

特別会計は全部で14個あり、外国為替資金特別会計(外為特会)はそのひとつです。日本政府は行きすぎた円高を是正するために、為替介入を行ってきました。

政府は日銀から円を借りてきて、為替市場でドルに交換することで円安に誘導しました。結果、手元にはドルが残ったわけですが、そのドルを管理しているのが外為特会です。最後に為替介入を行ったのは2011年になります。

残高は全て外貨(主にドル)です。2016年3月末の時点で144兆円あり、そのうち120兆円はアメリカ国債で運用していす。

外為特会のお金はどこから出たものか

144兆円もの残高のある外為特会ですが、これは税金をコツコツ貯めたものではありません。原資は政府が日銀から借りてきたものです。日銀は政府が管理する認可法人ですので、事実上は政府の機関といっても差し支えありません。

つまり、政府は何もないところから144兆円ものお金を作り出して、ドルに交換したことになります。外為特会はまさに埋蔵金なわけですが、そもそも政府が何もないところから、それだけのお金を作り出せるということがポイントです。通貨発行権は国家にだけ認められた大きな権力です。ニセ札作りが重い罪に問われるのはこのためです。

外為特会の残高はアメリカ国債で運用されていて、年に2~3兆円くらいの利子が入っています。時事通信の記事は2017年度は、その全てを一般会計に繰り入れたとあります。

まさに打出の小槌ですね。年金削減や消費税増税の議論がある一方で、あるところにはあるものです。利子だけでなく、元本を使っても構いません。毎年20兆円ずつ使えば、消費税分以上の支出が可能ですし、なくなればまた通貨発行すればすむ話です。

注意しなければならないのは、政府支出による物価の上昇です。とはいうもののデフレの今、もっと大胆に使っても良いのではないでしょうか。少なくとも消費税増税は、今のところ必要なさそうです。

名目GDPと実質GDPの違い

物価上昇率を加味しているかどうか

名目GDPは実際に調査を行って求める額面上のGDPです。名目GDPと実質GDPの違いは物価上昇率を加味しているかどうかです。名目GDPと実質GDPの関係は以下のようになります。

名目GDP ÷ 物価上昇率 = 実質GDP

実質GDPは名目GDPと物価上昇率から計算上求められる数字です。名目GDPが5%成長したとしても、物価上昇率も5%上昇していたなら、実質的には何も変化していないということになります。もし、名目GDPが5%成長して、物価上昇率に変化がないなら、実質的に5%成長したことになります。実質GDPが5%成長したということは、売り上げが5%増加したということを意味します。

経済成長を考える場合は、どれだけ数が売れたかを考える必要があるので、実質GDPを計算によって求めるのです。

GDPの計算の仕方

例えば、70万円の部品を仕入れて、150万円の自動車を生産したとしたら、80万円の付加価値が発生します。

150万円(売上)ー 70万円(仕入れ)= 80万円(付加価値)

この80万円の付加価値がGDPに計算される部分になります。自動車が1年間で10万台売れたとすると、

80万円 × 10万台 = 800億円

800億円のGDPが計上されることになります。

仮に国内で自動車とバイクだけを生産しているとします。50万円のバイクの部品の仕入れに20万円かかるとして、2万台を売り上げたとします。

50万円(売上) ー 20万円(仕入れ)= 30万円(付加価値)

30万円 × 2万台 =60億円

自動車とバイクを合わせて860億円のGDPが計上されることになります。

GDPデフレーターの計算の仕方

GDPデフレーターというのは物価上昇率のひとつです。新聞などには物価として消費者物価指数などがよく出てきますが、名目GDPから実質GDPを求めるときにはGDPデフレーターを使います。

実際にGDPデフレーターを計算してみたいと思います。物価上昇率という場合、以前の物価との比較して上昇か下落を判断する必要がありますので、5年前との比較を行います。少しややこしいので、読み飛ばして結果の数字だけ見てもらっても構いません。

注意する点としては今年も5年前も今年の販売台数を使用するところです。

現在 1台あたりの付加価値 売れた台数 付加価値
80万円 10万台 800億円
バイク 30万円 2万台 60億円
合計860億円
5年前
65万円 10万台 650億円
バイク 25万円 2万台 50億円
合計700億円

860億円 ÷ 700億円 = 1.229

5年前を基準としたとき、約22.9%の物価上昇が起こったことになります。GDPデフレーターが1を上回るとインフレ、下回るとデフレになります。

実質GDPの計算の仕方

名目GDPと物価上昇率(GDPデフレーター)は準備できましたので冒頭の式に当てはめてみます。

860億円 ÷ 1.229 = 700億円

となり、700億円が実質GDPということになります。5年前の物価の水準で見た場合に、700億円の生産がされたことになります。注意していただきたいのは、5年前と比較するときに、今の実質GDPと5年前の名目GDPを比較する必要があるということろです。今の実質GDPと5年前の実質GDPを比較しても意味がありません。

名目GDP 実質GDP
2007年 650億円 610億円
2012年 700億円 650億円
2017年 860億円 700億円

上の表では2012年の実質GDPは2007年をもとに計算しています。一見すると経済成長しているように見えますが、実は物価上昇をしているだけです。2012年の実質GDPと2007年の名目GDPを比較すると同じ650億円になっています。つまり、2007年から2017年の売上げ台数は同じになります。実質GDPが上昇しているので売り上げ数も上がっているように見えますが、今の実質GDPと基準となる年の名目GDPを比較する必要があるのです。

まとめ

・実質GDPは物価上昇を除いた量的な経済成長をみるためにある。
・実質GDPを見るときは、基準年の名目と比較する必要がある。

経済を考える上で最も大切なGDP

給料は何で決まる?

サラリーマンの場合、経済への関心の入り口は、給料ではないでしょうか。給料は会社の売り上げで決まるのですが、会社の売り上げを左右するのは日本全体の景気を表すGDPです。

つまり、日本全体の景気を反映したGDPが会社の売り上げに影響を及ぼして、最終的に給料やボーナスを左右しているというわけです。

GDPとは何か?

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GDPは内閣府が年に4回発表する経済指標です。1年間に国内でどれだけのモノやサービスが生産されているかを、数字で表したものがGDPになります。例を使ってGDPを計算してみたいと思います。

20円で小麦粉を仕入れてパンを焼いて、120円で売ったとしたら、100円分の生産をしたことになります。

 120円(売価)ー 20円(仕入れ)= 100円(生産) 

生産額はそれだけの付加価値をつけたということです。パンを焼いたことに対する対価と言っても良いでしょう。

国内で1年間に生産された付加価値をあらゆる産業にわたってトータルしたものがGDPになります。このパンの例では、100円分の付加価値が生産されました。

1億2700万人の日本人全員が毎日3食1年間このパンを食べたとしたら、13.9兆円のGDPが計上されることになります。日本全体のGDPが約500兆円ですので結構な額ですね。

GDPが大きい国はそれだけ多くのモノやサービスを生産している国です。アメリカのGDPは約2000兆円で世界一です。それだけモノやサービスを大量に生産しているということになり、ひいてはそういった生産力が軍事大国になる背景になっています。

日本が経済大国と呼ばれるのは、この生産力の高さゆえです。工業製品にしろ日用品にしろ、質の高い多くのモノやサービスが生産されていることが経済大国の証といえるでしょう。

GDPは分配される

パン屋さんの生産の中から、従業員への給料の支払いが行われます。残った利益がパン屋さんの運転資金となり、同時に従業員の給料とパン屋さんの利益に対して税金がかけられます。つまり、下の式が導かれます。

100円(GDP) = 50円(従業員) + 40円(パン屋) + 10(税収)

あくまで概算ですが、現在の日本では概ね5(家計):4(企業):1(政府)の比率で分配されています。

国内の平均給料が上がっているとしたらGDPが成長している可能性が高いです。また、労働分配率が低下すれば、GDPが変わらずとも給料が下がることになります。

20年近く日本のGDPは横ばいできました。給料がなかなか上がらないのはGDPが上がらないから、ということが言えます。


世界経済のネタ帳さんより

このグラフは1980年からの名目GDPのですが、90年代後半から全く上がっていません。つまり、私たちの給料もこの頃から平均的な水準は変わっていないということです。

GDPは給料そのものだ

GDPが成長しない以上、所得は増えようがありません。現在は非正規雇用が増えてしまい、労働分配率も下がっているのが現状です。

また、税収もGDPに左右されますので、財政赤字が拡大してきた裏には日本経済の不調にあるということが言えます。GDPが増えれば所得税や法人税も増えるからです。

つまり、GDPが会社の売り上げを左右しており、それと同時に私たちの給料も決定しているのです。