イギリスのEU離脱

イギリスが国民投票でEUを離脱することになり、それに伴ってポンドが急落している。円も一時期99円代の円高となり、株価が1200円以上も値下がりするなど、一時リーマンショックを彷彿とさせる事態になったが、10日以上経って落ち着きを取り戻しつつあるようだ。

ポンドが下がるというのは、1ポンド150円から130円のように変動することだ。イギリス製の150円の製品が130円に値下がりするので、外国で良く売れるようになる。しかし、イギリス人にとっては1ポンドで売れていることに変わりはないので、輸出産業にとってはポンドが下がるというのは朗報なのだ。

日本も一時期120円代になったときは、輸出企業は色めきだったことだろう。しかし、再び円高に舞い戻ってしまった。最近ではG7やサミットなどで通貨安競争はお互いにやめよう、という合意がなされている。ある国の製品が安く大量に入って来れば、そのぶん自分のところの製品が売れなくなるからだ。

しかし、今回イギリスは離脱によってポンド安という思わぬボーナスを手にすることになった。マスコミはポンド暴落というセンセーショナルな表現を使っているが、イギリスにとってポンド安は悪い話ではない。

日本でも中国人により爆買があったように、イギリスでもポンド安によって外国人観光客が増えることは十分に考えられる。しかし、その反面輸入にとってはポンド安は厳しいかもしれない。値段は変わらないのにポンドが安くなることによって、輸入製品の価格が上昇することになるからだ。

輸入製品が高くなって一時的に生活が苦しくなるかもしれないが、一方では国内の同種の製品に勝機が見え始める。輸入品に比べて同じくらいか、それよりも安ければ国産を買う人が増えるからだ。こうしたイギリス国内産業の隆盛も考えられる。輸出が伸びて、内需関連の産業が伸びればイギリスにとってはいいことづくめのような気もする。

ここまでは純粋にマクロ経済的な切り口で、政治的な変動は考慮に入れていない。今後EUからどのような形で(関税など)離脱するかに左右される。

世界的に売りたい症候群にかかっていて、どの国も自分のところの製品を売りたがっている。国内では市場が飽和して売れない(と思っている)からだ。その点、イギリスは少し有利な立場にいることは確かだ。

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