なぜ、経済成長が必要なのか?

経済成長と聞くと、もう欲しいものはないし、これ以上成長するのは難しいと 思う人も多いのではないでしょうか。

経済成長をするにはより多くの資源を必要としますし、また、私たちは日々多くのゴミを排出しているため、 地球環境に多大な負担をかけています。

そのことからも、成長を追い求めることはやめて、ほどほどの豊かさで満足するべきだ、という意見も聞かれるようになりました。

物質的な豊かさを追い求めるよりも、内面的なものや、社会的な調和といったモノサシで幸福度を計るべきだという考え方もあります。 確かにそんな気もしますが、実は経済成長は資本主義の性質上、避けて通れないものなのです。

発展途上国ならまだしも、日本のような経済大国が、これ以上の経済成長が必要なのでしょうか?

そもそも経済成長とはなにか?

経済成長が必要かどうかを考える前に、経済成長とは具体的にどういうことでしょうか。 ここがはっきりしていないとこの後の議論がブレる可能性があるので、きちんと定義したいと思います。

経済成長というのは国内総生産(GDP)が成長することです。

GDPとは?

タピオカミルクティーの店で考えてみましょう。200円で原材料とカップを仕入れて、500円のタピオカミルクティーを お店で出すとします。この時の粗利益は300円になります。

この300円は人が働くことによって生み出された付加価値です。 あらゆるビジネスには仕入れと売り上げがあり、その差額の粗利益の部分を付加価値といいます。

この付加価値を日本全体で一年間でどれだけ生産したかがGDPです。たくさんの人が働いて付加価値を大量に生産すれば、それだけ豊かな生活な暮らしができます。

服にしてもパソコンにしても、原材料を仕入れて生産して販売するわけですから、それぞれに付加価値があるわけです。多くの付加価値に恵まれるほど、豊かな暮らしと言えるでしょう。

日本国内にはいろいろな産業があり、全産業で1年間に生産された付加価値の合計がGDPです。GDPが毎年増え続ければ、経済成長しているということになります。 今の話は以下の公式であらわすことができます。

GDP = 粗利益 × 販売数

一年間で日本全体では約500兆円の付加価値が毎年生産されています。経済成長というのはこの500兆円が次の年には550兆円になり、600兆円になるということです。これで経済成長とはなにか?ということがはっきりしました。

いよいよこれ以上の成長は不要だと思ったかもしれません。ミルクティーもそんなにたくさん 飲めませんし、むしろダイエットを考えている方もいらっしゃることでしょう。

実はタピオカを頬張ることなく、経済成長する方法が一つだけあります。

粗利益を大きくすればいいのです。

値上げ=成長

経済成長というと、販売数を増やさないといけないという思い込みがあったかと思います。 例えば、300円で原材料とカップを仕入れて、700円のタピオカミルクティーを販売すれば、粗利益は400円です。

これは別に高い材料に切り替えるという話ではなく、同じものをより高く売るということです。いわゆる値上げですね。 値段を上げれば、同じ数量を売ったとしてもGDPは大きくなるというわけです。

これなら、タピオカを頬張ることなく経済成長できそうです。大量に消費しなければ経済成長できないという のは、単なる思い込みなのです。

経済成長=デフレ脱却

値段を上げるということは、つまりデフレ脱却を意味します。モノの値段が上がれば、それだけGDPも増えることになります。

もちろん、新しい産業や新しい製品が作られたり、数が余計に売れて経済成長することもありますが、既存の産業や製品の価格が上がっていくことがここでのポイントです。

これで、経済成長するには大量生産、大量消費が必要だというのは、少しピントのずれた議論だということがおわかりいただけたと思います。 ここまでの話を少しまとめると、

  1. 経済成長とはGDPが成長すること
  2. GDP=粗利益 × 販売数であらわすことができる
  3. 経済成長は販売数でなく、粗利益を増やすことで可能(インフレ)

と、いうことになります。

でも、値上げして何になるのでしょうか?消費量が変わらないのであれば、今まで通りの価格でもいいと思われるでしょうし、 むしろ安いほうがありがたいという人もいるでしょう。なぜ物価の上昇が必要なのか説明したいと思いますので、もう少し辛抱してお付き合いください。

私たちの社会が背負うもの

私たちは資本主義経済のものともで生活をしており、個人の能力や運、育った環境など様々な理由で所得に格差のある社会を生きています。

自由な経済活動が認められている以上、こういった不平等は当然のものとして受け入れているわけですが、 加齢や病気、失業などで所得が無い人もでてきます。こういった人たちに対しては、政府はサポートすることが必要になります。

財源はどうするのか?

ただ、年金や健康保険、生活保護などの政策を実施する場合に、財源をどうするのか? という問題があります。 考えられるのは、ひとつは税金で集める方法と、もうひとつは国債を発行して調達したお金を使う方法です。

税方式と国債方式の違い

税方式と国債方式で決定的に違うところが一つあります。それは、世の中に出回るお金の量が変わるかどうかという点です。

税方式では家計や企業に出回るお金を徴収して、再度世の中に流すことになるので通貨量は変化しませんが、 国債の場合は金融機関から借りて世の中に流すことになりますので、通量が増えることになります。

税金か国債か?

通貨量が増えれば一般的にはインフレになります。 例えば戦争をするときに、国は武器弾薬などを購入するために国債を大量に発行して資金を調達します。 軍需産業を経由したお金は、世の中に広まってインフレを引き起こすことはよく知られています。 そのことからも国債による社会保障はインフレになると考えられます。

では、税方式がいいかというと、そうとも言えません。 税金はある所から徴収して、無いところに配るというのが基本になりますが、全額税金で負担するとかなりきつい税率になります。

きつい税率というのは、誰も資産形成できないくらいの税金です。所得税の最高税率が95%くらいのものを想像してください。

富裕層が得る所得というのは、高齢者や病気の人や失業者を含めた家計からの支出によるところが大きく、税収だけで社会保障を持続しようと思うなら 、毎年の経済活動をリセットするくらいの再分配が必要になります。稼いだお金はすべて元の持ち主に戻すようなイメージでしょうか。 さすがにこれはやりすぎなので、税金だけで社会保障を維持するのは無理があると考えます。

どちらをとるか

現実的なのは税方式と国債方式の中間です。とはいえ、国債を併用すると通貨量は少しずつ増えますので、緩やかなインフレが起こると想像されます。

つまり、緩やかに物価が上昇する程度の通貨膨張は、政府支出の税金と国債のバランスがちょうどいい感じで取れていると考えられるわけです。

  1. 経済成長とはGDPが成長すること
  2. GDP=粗利益 × 販売数であらわすことができる
  3. 経済成長は販売数でなく、粗利益を増やすことで可能(インフレ)
  4. インフレは税と国債によって、適切に政府支出が行われている証左

誰しも年を取り、病気になることもありますので、政府がきちんと社会保障を行ってくれるのはありがたいことです。税と国債のバランスをとりながら、 政府支出を行うことはインフレを引き起こし、結果として経済成長を促すことになります。

日本は経済大国として成長しきったように感じますが、以上のことから今後も経済成長は必要なのです。

日本の現状

日本の現状について見てみたいと思います。

日本成長せず

日本経済は90年代から、あまり成長していません。

しかし、実は販売数は増えています。以下の式をもう一度見てみます。

GDP = 粗利益 × 販売数

販売数は増えているけど、粗利益(物価)が下がってきてヨコヨコになっているというのが今の日本です。

2つの可能性

物価が下がるということは、資産形成できないほど税金に偏った財政政策がとられているか、国債発行が少なすぎて通貨が不足している可能性が高いわけです。

お金持ちになれないほど重税かというと、むしろ富裕層優遇の政治が行われているというのが、今の日本のような気がします。

トレンドとして、法人税や所得税の最高税率は引き下げられています。つまり、国債発行が少なすぎて通貨が不足しているということが言えそうです。

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