本当に消費増税は必要か?
消費税はできることなら上げてほしくないものです。でも、将来的に社会保障などが成り立たなくなるとすれば致し方ない、と考える人がほとんどではないでしょうか。
問題は本当に“将来的に問題がないのか、それともこのままいけば本当に立ち行かなくなるのかがよくわからない”というところだと思います。そうです、よくわからないのです。
テレビで見たことのあるコメンテーターが「消費税増税は必要です」と言っていると、「ああ、そうかも」となりがちですが、それはコメンテーターの意見であって、本当に必要かどうかはわかりません。
おそらく、このブログを見ている方で日本年金機構のサイトを訪れて、財務状況を確認したことのある人はほとんでいないのではないかと思います。あるいは、現在の消費税の使われ方を財務省の資料等で追いかけて調べた人もいないでしょう。
財政赤字は1200兆円をこえていて、新聞などでは消費税増税は待ったなしといった報道もあり、消費税増税はしょうがないと思っている人も多いと思います。
しかしまってください。
新聞が必ずしも正しいと限らないし、実際に自分の目で社会保障関連のデータを見たわけでもないのに不安になって消費税増税を受け入れてしまったり、あるいはむやみに消費税増税に反対していいのでしょうか。増税するにしても減税するにしても何かしらの根拠をもって決めたいですよね。それは新聞やテレビで言っていたからというものではありません。
結論から言うと日本の物価上昇率が低いから消費税増税は必要ない、ということになります。なんだそれは?と思われたでしょう。順番に説明していきますので興味のある方はそのままお読みください。
これから、少々頭の体操をしていただきます。落ち着いて考えればわかる話ですので、心配されなくて大丈夫です。
お金の本質がポイント
消費税や社会保障費、財政赤字などすべてお金の話です。
消費税が本当に必要かどうかはお金の本質と関係があります。お金とはなんでしょうか?また、お金は紙やアルミ、銅、ニッケルで出来ているのに、なぜ価値があるのでしょうか?
紙幣は日本銀行が発行しています。日本銀行は政府が55%の株式を持っていて、政府の子会社です。また、普通の株式会社は株主総会によって社長が決まりますが、日銀総裁は政府の人事案をもとに衆参両議会の同意を得て任命されています。なので、日本銀行が発行しているとはいっても、実質的には国が管理しているわけです。
日銀が通貨を発行するのはわかりましたが、なぜ価値があるのかはまだ不明です。一説によるとみんながお金に価値があると思っているから価値があるというものがあります。しかし、これだとなぜみんなが価値があると思っているのかが不明です。どうやってみんなに価値があると思い込ませたのでしょうか?
あるいは、日本政府が保証しているからというのものもあります。これは半分当たりなのですが十分ではありません。答えは・・
日本政府がお金で税金を納めることを保証しているから。というものになります。
税金をお金で納めるのは当たり前じゃないかと思われたかもしれません。
しかし、江戸時代の年貢はお米でしたし、もっと前は地域の特産品を納めたりもしていました。確定申告で税務署にお米を持ち込んでも受け取ってはくれないでしょう。ここからが頭の体操の部分になります。
お金に価値があるから税金をとるのではなくて、お金でしか税金を受け取らないことでお金に価値が発生します。
混乱してきましたか?
頭の体操ですので、よく考えてみましょう。
どういうことか年貢のお米を例に考えてみます。
江戸時代は農民はお米で年貢を納めていました。武士はその年貢米を給料としてもらっていたわけですが、コメというのは持ち運びが悪くて不便です。農民にしても、大八車に俵を山盛りにして奉行所まで運び入れるわけですら、大変な負担のはずです。そこで、幕府はコメ引換券を発行して、給料として武士に渡したとします。武士は米引換券を農民に渡して米をもらいます。
農民には、あらかじめ年貢はコメ引換券で納めるようにお触れを出しておけば、武士が来た時もすぐにお米を渡してくれるはずです。コメ引換券を使うことで、武士や農民が重いお米を運ぶ負担が減ります。それと同時にコメ引換券はいろんな取引にも使用されるようになります。年貢を納めるときに必要になるものですから、多くの人が欲しがるようになるわけです。コメ引換券がお金になります。
これが日本政府がお金で税金を納めることを保証しているということです。
江戸幕府が本当にコメ引換券を発行したわけではありませんが、お金の仕組みを説明するためのたとえ話だと思ってください。
日銀(政府)が発行したお金を、自らが税金として引き取ることによってお金に価値が生まれます。
もし、明日から税金は米で納めるようになったら、お金は紙くず(硬貨は金属片)になるでしょう。
それはそうです。政府が税金はお金で納めることを保証していたにもかかわらず、いきなり米に変えられてしまったら納税に使えなくなるわけですから。
お金を作り出せる政府がお金に困ることはありません。
税収が足りないからと言って、増税をする必要はないのです。なぜなら、お金を作って使えばいいわけですから。
そんな都合のいい話があるわけがないと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、今までの話の中でお金は政府が作り出せるというのはご理解いただけたと思います。
消費税が不要な理由
もちろん、お金を作り出すにしても限界はあります。
例えば、コメ引換券を発行しすぎて、農民が引き換えに応じなくなっている場合などです。
年貢用の引換券は十分に持っていて、残りの米は自分たちで食べようと思っていれば引換には応じないはずです。
ただし、今までよりも多めに引換券をくれれば考える農民もいるでしょう。
これがインフレです。お金を発行しすぎると価値が目減りしてしまうので、物価の上昇招くのです。
毎年とれる米にも限りがありますので、コメ引換券をむやみに発行するとコメ引換券自体の価値が下がります。
つまり、お金を発行するときに注意しないといけないのは物価の上昇率なのです。
この世に魔法の杖はないということですね。そんな都合のいい話があるわけがないと思った方の直感は正しいのです。
ただ、今の日本の物価上昇率は1%もありませんし、もしかしたらデフレになるかもしれないという予想もあります。
なので、社会保障などの予算が足りなければ、増税ではなく、お金を発行して使うことが望ましいです。
消費税増税が不要なただ一つの理由は、日本の物価上昇率が低いから
ということになります。
ところで、さっきのコメ引換券を発行しすぎてインフレになった場合はどうしたらいいでしょうか?
鋭い方はもうおわかりだと思いますが、2つの解決方法があります。
一つは発行を抑制することで、もう一つは税金をあげることです。
ふたつ同時に行えば効果的にインフレを抑制することができますね。
黒田バズーカ砲は累計いくら供給し、その市場の総金額とは。消費税8から10%にすると購買がかえって落ちると云う。なぜなら、暗算がしやすからだ、がその理由とか。
消費税増税によって消費が冷え込むのは1997年の3%→5%のときと、2014年の5%→8%のときにはっきりしています。
なので、当然8%→10%のときも消費は冷え込むことが予想されます。おっしゃるように暗算がしやすいというのも
ある程度は影響するかもしれません。