ポンド安の根本的な理由

2016年10月8日 為替

ポンドが安くなっている。イギリスのEU離脱前が1ポンド150円前後だったものが、離脱後130円まで下がった。

昨日、ついに130円の壁が破られて、一時125円台までポンド安が進んだ。

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なんでだろうと思って、材料を探したら次のようなものがあった。

http://klug-fx.jp/fxnews/detail.php?id=335024

メイ英首相は英中銀の金融刺激策の副作用を懸念しており、成長押し上げに新たなアプローチが必要との見方を示していた。メイ首相の政策チームの責任者である、ジョージ・フリーマン氏がBBCのインタビューで、政府の借り入れコストはゼロ付近で推移しており、インフラなど公的投資を増やす機会を提供していると指摘した。

メイ首相はキャメロン前首相が行っていた金持ち優遇の政策から、国内の中間層を重視した経済へ転換しようとしている。いわゆるサラリーマンを豊かにする経済だ。

そのためにインフラなどの財政出動をするらしい。このニュースが流れたことでポンドが下がったと考えられる。なぜなら、イギリス国内の物価が上昇する可能性が出てきたからだ。

 

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なぜ、財政出動すると物価が上昇するのだろうか。
上の絵は一般的な資本主義社会における金持ちと庶民を表している。

政府がインフラ整備などで財政出動をすると、受注した企業に支払いが行われる。企業は従業員に給料を払うので、賃金が増える。

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政府が支出すると、広く国民の所得が増加する。図では庶民の所得が2倍に増えたのに対して、金持ちのお金は全体の比率としてはさほど増えていない。さらに財政出動が続くと・・

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今までは庶民に圧倒的な差をつけていたお金持ちだが、政府支出が続いてその差は縮まってしまった。こうなると、物価が変動することになる。

例えば、スタバのキャラメル フラペチーノのTallが470円なのは、日本人の一般的な所得水準から見て妥当だからだ。

給料が20万そこそこで、フラペチーノが5000円といっても売れる見込みはない。やはり、フラペチーノは470円になるべくしてなったのだ。

しかし、仮に平均的なサラリーマンの給料が60万になったとしたら、3倍の1410円でも十分に売れるだろう。

スターバックスにしても、世の中的な水準に合わせて価格設定をしていくはずだ。みんな給料を60万ももらっているのに、キャラメルフラペチーノをいつまでも470円で売るほど世間知らずではない。

 

政府が財政出動をすると国民の所得が増える。所得が増えるとそれに合わせるように、物価が上昇していくことになる。これがインフレだ。

では、インフレがどうポンド安に結びつくのだろうか。

同じものが日本とイギイスで売っていれば、ほぼ同じ価格と考えられる。そのことから、逆に通貨のレートを決めることができる。
日本とイギリスでスタバの価格を比較してみたい。

トラベロコさんによると、イギリスのスタバでキャラメルフラペチーノが3.4ポンドらしい。

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キャラメルフラペチーノが同じ品質とすると1ポンド138円になる。イギリスでインフレが起こって、キャラメルフラペチーノが6ポンドになったとすると、

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1ポンド78円になると考えられる。物価が上昇するとその国の通貨は安くなる。

このように、財政出動をすれば国民の所得が増える。国民の所得が増えればインフレになり、インフレが通貨を安くすることになる。

EUに加盟している国は、財政規律を守るようにドイツに厳しく注文をつけれられる。今回、イギリスはEUを離脱したことによって、財政の自由を手にいれた。離脱の瞬間も大きくポンドが値下がりしたが、今回の閣僚の発言でも財政に対する期待が膨らんだのではないだろうか。

ロイターやブルームバーグといった、大企業や金融機関寄りの新聞は離脱について否定的だ。彼らはできるだけ大きな市場で商売をしたほうが儲かるので、イギリスの離脱のことを快く思っていない。

しかし、日本でも円安が進んで爆買いが起こったように、イギリスでも旅行者が大きく増えるだろう。また、輸入物価が上がるので、価格の安い国内の産業が見直されるかもしれない。

グローバル企業には悪夢かもしれないが、イギリスの中産階級のためには、離脱してよかったのではないだろうか。

【追記】2016/10/9
要人発言でポンドが安くなったように書いたが、ポンドが急激に動いたのは日本時間の朝8時であり、イギリスでは夜中の0時を回った頃になる。

131円台から125円台まで6円以上数分のうちに動いたらしいので、発言をきっかけに動いたというのは誤りだ。ただ、イギリスがインフレ基調になっているのは間違いないと思われる。

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