中国経済に求められるもの

2016年1月14日 海外

人民元が下落して中国政府の通貨防衛が続いている。世界の工場と言われて安い人件費で生産できるので、通貨の下落というのは輸出にとっては追い風のはずだ。かつてはアメリカからの再三の通貨切り上げ要求があったりしたのだが、状況は真逆になってしまった。

通貨が下がるということは輸出には有利だが輸入には不利になる。中国政府は輸入物価上昇を抑えるために通貨防衛をしている。鉄鋼といった輸出向けの産業には過剰とも言える投資を行ってきたが、内需関連の投資を疎かにしてきたと想像される。

特に環境に対する配慮なさに象徴されるように、人民の生活向上といった視点が欠けていた。共産党の戦略だと世界の資源を買い占めて、原材料を安く調達しつつ、輸出向け製品を生産することで外貨が獲得できる。外貨が獲得できれば必要なものは輸入すれば済む話で、必要なものはそのつどコンビニにでも行く感覚で海外から買えばいい。そんなふうに思っていたのだろう。

人民軽視の経済政策の結果、内需が弱い経済体質になってしまった。一応、不動産関連の投資も行っていたようだが、作って終わりという限りなく消費に近い投資だったと評価せざるを得ない。意味のある投資というのは、生活や生産性の向上に繋がるものを指す。宅地開発を進めてそこで生活する人がいれば第二、第三のビジネスも始まるが、現実には新築のゴーストタウンができただけだった。

その場限りの内需振興もさることながら、輸出産業にしてもハリボテ感は否めない。冒頭に世界の工場という言い方をした。つまり、生産拠点であって、生産物の設計図はアメリカや日本が持っていて、独自にものを作る力は先進国にはおよばない。人民元高になって中国の人件費の割安感がなくなれば、アメリカや日本企業はベトナムやミャンマーに生産拠点を移すことを考えるだろう。

頼みの綱である貿易収支は2015年は対前年で-7.0%らしいので、外資の中国離れが予想される。外国企業が中国に投資をしないということは、それだけ雇用も失われるし外貨獲得のチャンスも作り出せなくなる。つまり、中国という国家ごとの失業という様相を呈してくることになる。

中身のない内需振興と、設計図を持たない外国企業のための生産拠点という2点に共通するのは、何も考えていないとうことだ。その結果、人民元の水準は輸入するには安すぎるし、輸出するには高すぎるということになった。

中国に必要なのはまず環境悪化の防止だろう。国内の富裕層は海外に逃げつつあるので、それを食い止める必要がある。その上で国内のインフラや教育投資をして地道に国内の産業振興に勤める他はないと考える。とはいってもやはり一番の問題は政治的だが。


金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA