株と債券

今日、ツイッターでこんなことをつぶやいた。

「かつては株があがると債券が下がるといわれていました。なので、ポートフォリオを半々にして、株があがったら利確して債券にまわすと、シーソーゲームのように儲かるといったことがいわれていました。しかし、今は債券も株も同時にあがっています。」

そしたらリツイートが5もされていた。たった5だが、いつもならほとんどリツイートなどない。よほど関心のあるテーマだったのか、影響力がある人がリツイートしてくれたかだろう。

金融緩和の影響で金がジャブジャブと言われていることの表れだろう。ジャブジャブという擬音はなんか癖になる。ジャブジャブかジャブジャブでないかは銀行の預金準備率をみるといい。

景気が悪くなると、日銀は貸し出しが多くなるように金利を下げる。昭和時代はある程度下げることで景気が浮揚してきた。しかし、平成バブル崩壊後はそれが効かなくなった。ゼロ金利でも貸し出しが増えなければということで始まったのが金融緩和だ。

銀行は預金を預かって貸し出しをおこなうわけだが、預かったものを全部貸すわけではない。100万円預かったら1万円程度は残しておくことが義務付けられている。日本銀行に銀行の口座があって、そこに入れておくと日銀がチェックして銀行の貸し出し態度を管理する仕組みになっている。これが預金準備率だ。

現在、日銀にある当座預金は240兆円くらいある。ざっとした計算でもその100倍の2京4000兆円は貸し出し可能ということになる。しかし、実際に貸しているのは900兆くらいなので相当に余力がある。ジャブジャブもいいとこだ。

これはデフレ対策として日銀がジャブジャブにしてやったのだ。銀行がもっている国債を買い取ることで銀行に現金を供給する。そのことによって貸付余力をつけてやって貸し出しを増やそうという作戦だ。その時に国債を日銀が鬼のように買い込むので債券の値段があがる。

今の流れで債券が上がる理由はわかるが、株が上がる理由がいまいちわからない。株は実体経済よりも先行して上がる性質があるとはいうものの、実体経済が調子良くなっている感じはない。なぜなら、銀行の貸し出しが増えていないからだ。

貸し出しが増えれば、借りた金を遣うことで支出が増える。支出が増えれば物価が上がってデフレ脱却するはずだ。デフレ脱却すれば名目GDPが上がるので、企業の売り上げも上がる。するとEPSが上がり株価アップが実現する。しかし、肝心の貸し出しが増えていないのだから株価も上がりようがない。

金をジャブジャブにすれば、貸し出しが増えて景気が良くなるという前提は崩れている。長いベルトで太ることはできないとか、馬を水飲み場に連れて行くことはできるが水を飲ませることはできないとか、いろいろな例えがあるように金利をゼロまで下げたあとは、中央銀行ができることは何もないと思ったほうがいい。金融緩和はニセの薬だ。

金融緩和はあくまで銀行にキャッシュがなくなって、取り付け騒ぎが起きたり、貸し渋りや貸し剥がしといったショックを吸収するだけのもので、景気を浮揚させるような力はない。救急車に乗って病気が完治するのを期待するようなものだろう。

株価上昇の演出をしている5匹のクジラも永遠に買い上げることはできない。今ままで過剰に安く放置されてきたであろう株も上昇するにはそれなりの根拠がいる。日経平均がどこまで上がるかはかはわからないが。

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