給料は何で決まる?
サラリーマンの場合、経済への関心の入り口は、給料ではないでしょうか。給料は会社の売り上げで決まるのですが、会社の売り上げを左右するのは日本全体の景気を表すGDPです。
つまり、日本全体の景気を反映したGDPが会社の売り上げに影響を及ぼして、最終的に給料やボーナスを左右しているというわけです。
GDPとは何か?
GDPは内閣府が年に4回発表する経済指標です。1年間に国内でどれだけのモノやサービスが生産されているかを、数字で表したものがGDPになります。例を使ってGDPを計算してみたいと思います。
20円で小麦粉を仕入れてパンを焼いて、120円で売ったとしたら、100円分の生産をしたことになります。
120円(売価)ー 20円(仕入れ)= 100円(生産)
生産額はそれだけの付加価値をつけたということです。パンを焼いたことに対する対価と言っても良いでしょう。
国内で1年間に生産された付加価値をあらゆる産業にわたってトータルしたものがGDPになります。このパンの例では、100円分の付加価値が生産されました。
1億2700万人の日本人全員が毎日3食1年間このパンを食べたとしたら、13.9兆円のGDPが計上されることになります。日本全体のGDPが約500兆円ですので結構な額ですね。
GDPが大きい国はそれだけ多くのモノやサービスを生産している国です。アメリカのGDPは約2000兆円で世界一です。それだけモノやサービスを大量に生産しているということになり、ひいてはそういった生産力が軍事大国になる背景になっています。
日本が経済大国と呼ばれるのは、この生産力の高さゆえです。工業製品にしろ日用品にしろ、質の高い多くのモノやサービスが生産されていることが経済大国の証といえるでしょう。
GDPは分配される
パン屋さんの生産の中から、従業員への給料の支払いが行われます。残った利益がパン屋さんの運転資金となり、同時に従業員の給料とパン屋さんの利益に対して税金がかけられます。つまり、下の式が導かれます。
100円(GDP) = 50円(従業員) + 40円(パン屋) + 10(税収)
あくまで概算ですが、現在の日本では概ね5(家計):4(企業):1(政府)の比率で分配されています。
国内の平均給料が上がっているとしたらGDPが成長している可能性が高いです。
20年近く日本のGDPは横ばいできました。給料がなかなか上がらないのはGDPが上がらないから、ということが言えます。
このグラフは1980年からの名目GDPのですが、90年代後半から全く上がっていません。つまり、私たちの給料もこの頃から平均的な水準は変わっていないということです。
GDPは給料そのものだ
GDPが成長しない以上、所得は増えようがありません。現在は非正規雇用が増えてしまい、労働分配率も下がっているのが現状です。
また、税収もGDPに左右されますので、財政赤字が拡大してきた裏には日本経済の不調にあるということが言えます。GDPが増えれば所得税や法人税も増えるからです。
つまり、GDPが会社の売り上げを左右しており、それと同時に私たちの給料も決定しているのです。