あのMMTで有名なステファニーケルトン教授が、7月に日本でシンポジウムを行うようです。
【藤井聡】ケルトン教授を招聘した、MMT国際シンポジウムを開催します!
バーニーサンダースも来年の大統領選挙に出馬するらしいので、再び経済アドバイザーに就任されるのでしょうか。
いずれにせよ、とてつもないビッグウェーブが暫く続きそうです。
あと、こちらの中野剛志さんのコラムも素晴らしいので是非ご覧ください。
MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由
政府(日銀)が円を発行しているのはご存知だと思いますが、その日本政府が円を借金したとしても、返せなくなることはないというのがMMTのベースになります。
三橋さんや西田さんなど信用創造の理屈にこだわってますが、あまりそこにこだわるとかえってわかりにくくなるような気がしています。
からあげ弁当は経済のことを考えるときは、下のような一枚の絵を思い浮かべます。
政府(日銀)が通貨を発行して世の中を回り、最後に税金として政府に戻っていくイメージです。
税金より政府支出が増えれば世の中に出回る量が増えます。
公務員給料や社会保障、教育など何でもいいのですが、何かに支出をすることによって流通する通貨が増えれば、インフレになります。
ガンガン支出しても、一方でガンガンに税金をとれば、バランス的に物価はさほど上がらないと考えることができます。(大きい政府)
逆に少ししが政府が支出しないとしても、税金がそれ以上に安かったらインフレになります。(小さい政府)
あり得ないことですが、支出より税金のほうが高くなれば、いずれ円は無くなります。
風呂のお湯も、蛇口から入るものより、栓が抜けて出ていくほうが多ければ、いつかなくなるのと同じことです。
通貨が減っていくときはデフレになります。
政府支出と税金はイコールで良いのではないか、という意見が出てくるかと思いますが、ここに落とし穴があります。
イコールということは、財務省のいうプライマリーバランスの均衡と同義です。
実は支出と税がバランスするとまずいのです。
少し前に流行った、ピケティの「資本収益率は産出と所得の成長率を上回ると、経済は持続不可能だ」というのを覚えていらっしゃるでしょうか。
自由に経済活動をしていくと、金持ちとそうでないの差がジャンジャン開いていきます。
政府支出と税収が均衡していると、お金のパイは一定ですから、徐々に金持ちとそうでない人がでてきて、みるみる生活が苦しくなるはずです。
もちろん、沢山持っている人から税金をとって再分配するわけですが、全員同じ資産になるほど徴税するわけにも行きません。
そこで、政府は通貨発行によって、税金よりも政府支出を多くして、お金のない人に配ることが必要になります。
毎年、世の中に出回るお金の量が増えますので、徐々にインフレが進むことになります。
昔の物価が安いのはそのせいです。
もう少しディテールを追加したものが、下の図になります。
ここでは銀行が貸出することで、信用創造を行っています。
国内の通貨量は政府支出と税の他に、銀行の貸出と返済で決まることになり、日銀は銀行の貸出態度を管理することで、物価を調整します。
貸出が増えれば通貨量が増えて物価が上昇し、返済すると通貨量が減ることで下落します。
ただ、どの程度貸し出すかは、銀行と借り手の合意の問題ですので、日銀が金利を操作しても、政府支出や税金ほどコントロールがビシッと決まるものではありません。
だいたい、日銀が金融緩和するときは、政府も補正予算を組んだり、減税したりするので、過去のデータをみても、それが日銀の金融政策が効いたのか、補正予算の効果なのかは区別はつかないでしょう。
日銀の金融緩和は貸出増加になれば効果はあったのかもれませんが、企業の設備投資は微増ですので、そこまで効果があったかどうかは疑問です。
バブルが崩壊して借り手が少なくなったり、いわゆる信用収縮(借金返済)が起こるとデフレになります。
借金はインフレ圧力で、借金返済はデフレ圧力になります。
簡単な図ですが、通貨が増えているのか減っているのかを考えるだけでも、物価や経済について色々考えることができます。