MMTの議論が盛り上がっています。
MMTの主張は、財政赤字は物価上昇率の許す範囲であれば、その額は問題にならないというものです。
では、物価とは何なのか少し整理したいと思います。
ここで述べる物価理論は、からあげ弁当オリジナル理論ですので、そのつもりでお読みください。
何でもそうですが、何かを他者と交換する場合、お互いの持ち物の価値を値踏みして交換します。
GパンとTシャツなら、Gパンのほうが生地も多いので価値が高いとします。
だったら、Gパン1枚とTシャツ2枚なら交換してもいいよ、といった感じになるでしょう。
お金を出して買う場合も全く同じで、買うものの価値と、円の価値を比較して値段が決まります。
値段はモノとお金の価値の合成値であると言うことです。
例えば野菜の値段が上がったとしたら、可能性としては2つ考えられます。
1つは天候不順で野菜か不作になって値段が上がる場合と、もう一つはお金の価値が下がって値段が上がる場合です。
インフレという場合は、後者の事を指します。
同じ値段が上がるにしても、インフレとそうでないものがあるという事です。
物価が上がるというのは、お金の価値が下がった結果、値段が上がることを指します。
原油高でガソリンが値上がりしたのを、インフレだというのは間違っているということですね。
お金にしろ野菜にしろ少なくなると価値が高まり、多くなると価値が下がります。
野菜の価値(量)は天候や生産技術などで決まりますが、お金の価値(量)は税制と政府支出と信用創造で決まります。
税金が高くなると、市場に出回るお金の量が減って、お金の価値が上がることで物価が下がります。
逆に政府支出や信用創造が活発になると、お金がより多く出回りますので、物価が上がります。
信用創造というのは、企業や個人が銀行からお金を借りて使うことです。
借りたお金というのは、新たに創出されたお金ですので、その分市場にお金が増えることになります。
企業が設備投資したり、景気がいいときにインフレになるのはこのためです。
ただ、企業の設備投資は税制と政府支出に依存しています。
リニアモーターカーを九州から北海道まで通すと国が宣言して投資減税などを行えば、大手ゼネコンは様々な投資を行うでしょう。
逆に企業に対して投資額に応じて課税するなどといった事をやれば、しょぼくれて確実に信用創造は減ります。
国内を還流するほとんどのお金は民間の信用創造によるものですが、ほぼ税制と政府支出によって決まります。
政府の態度によって、民間の信用創造は調子に乗りやすく、しょぼくれやすいのです。
そういう意味ではお金の量を決定するのは、税制と政府支出の2つだといって良いと思います。
物価が上がるときというのは、すべての物やサービスが一斉に上がります。
売買の基準となるお金の価値が下がるわけですから、当然ですね。
値段というのは単なるモノの値段ではなく、モノの価値とお金の価値の合成値であるという事を意識すると、色々面白い発見があるかもしれません。