消費税よりも逆進性の高い、現在の年金制度

消費税増税が10月に迫っています。

消費税といえば低所得者いじめの逆進性の高い税制として悪名高いわけですが、意外に今の年金制度はそれ以上に逆進性が高いのではないか?と、からあげ弁当は考えています。

年金制度をザックリと確認したいと思います。

国民年金も厚生年金も支払った保険料は、すべて厚生労働省が管理する年金特別会計に入ります。

平成28年度は国民年金と厚生年金合わせて39.6兆円の保険料収入があり、この保険料に税金から支出された11.2兆円を加算して受給者へ支払いました。 (厚生労働省のデータ

年金は若いころに貯めていたものを受取るわけではなく、現役世代からダイレクトにお金が渡る仕組みになっています。

これは国民年金も厚生年金も同じです。

現役世代がいっさい保険料を支払わなくなるか、税金から補填されなくならないかぎり、もらえなくなることはないと言えます。

なので、年金制度の破綻というのはまずあり得ないということにります。

ただ、少子高齢化が進むので、もらえたとしても金額が減るのではないか、という心配もあるかと思います。

実は年金特別会計には平成28年度末で185.8兆円の積立残高があります。

これを運用しつつ取り壊していけば、今後100年くらいは今の給付水準は保てると厚生労働省は試算しています。(100年から先はわかりませんが)

ちなみに、積立金の取り崩しはほとんど行われておらず、積立ては増える一方で、平成を通じて2倍以上になりました。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用を行っており、平成13年から平成31年末までに年平均で2.73%のパフォーマンスをたたき出しています。(GPIFデータ

18年間で 56.7兆円の累積黒字がでていますので、たまに アベノミクスで年金が15兆円溶けたのような記事が出ますが、さほど心配はいらないと思います。

株は長期的には上がっていくものですので、いずれ回復していきます。

ただ、からあげ弁当はこの積立金はそもそも必要がないと思っています。

年金は税金から払えばいい

老齢年金は保険制度で維持されていますが、未加入の人は受給権がないため、生活保護を申請することになります。

年金を納めていなければ野垂れ死にもやむなし、とはいかなからです。

保険料を納めても納めなくても生活費がもらえるのなら、いっそのこと全て税金から支出したほうが公平で透明性も高いといえます。

そもそも国民年金は日本人は全員加入が義務付けられているにもかかわらず、保険制度というのが矛盾しています。

全員が負担すべきであるなら、未納が発生しにくい税金で賄うべきです。

積立金が必要がないというのは、税金かもしくは赤字国債によってカバーすればよいからです。

カバーすればよいというより、カバーすべきなのです。

保険制度の本質的な問題点

所得税は累進課税によって所得が多ければ多いほど納税額が大きくなります。

しかし、年金保険料はどんなに所得が高くても、

  • 49,290円(厚生年金、平成31年現在)
  • 16,410円(国民年金、  〃   )

が最高になります。

つまり、年金が保険制度であることは、所得が高い人にとって有利なのです。

もし、保険制度をやめて年金保険料を税制に組み込むと、所得税率の引き上げを行うと考えられますが、所得が高い人は 49,290円以上の負担増が予想されます。

その意味で、現在の年金の保険制度というのは、相互扶助という美名でごまかされた、金持ち優遇システムといえます。

税制というのは本質的にあるところから徴収して、足りないところに再分配するというのが基本になります。

年金というのは福祉の本丸であり、日本の予算の中で最大の支出を伴うものであるにもかかわらず、再分配の思想の枠外に置かれています。

平成28年度の徴収された年金保険料が39.2兆円に対し、消費税は17.2兆円です。

自助努力、自己責任、相互扶助というキーワードは落とし穴があります。

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