ちょっと前に会社はだれのものか?という議論がはやりました。
結局、会社は株主のものである、という結論が一般的な認識になっているようです。
が・・・
どうも腑に落ちない。
なんか違和感があるんですよね。
会社が株主のものなら、会社の金庫のお金は株主のもののはずですが、会社のお金は会社のものです。
昔、「マルサの女」という国税局査察部を舞台にした映画がありました。
会社化した個人商店の店主がいて、店の商品を日常的に食べていたところ、税務署員の宮本信子が言うんですね。
「このお店の品物は会社のものであって、社長個人のものではありませんねぇ」
その店は夫婦で経営しているようで、昔ながらの個人商店です。
米などの自分の店にないものだけよそで買って、あとは店のものを食べていたようです。
おそらく、その店主が株主(出資者)であり、家族経営だったと考えらます。
それでも、明確に会社のものと経営者(出資者)のものは、税務署的には別だというわけです。
株主に認められているのは、剰余金を配当として請求する権利と、経営に参加する権利です。
前者を自益権、後者を共益権というそうです。
これらをもって会社は株主のものだ!というのは少し乱暴ですね。
会社の金庫のお金も、株主総会で決議して配当として配れば株主のものになるわけですが、あくまで配当するための手続きを踏む必要があります。
それまでは会社のお金は会社のものです。
また、配当には課税されますので剰余金が株主のものであるなら、自分のお金を引き出すのに税金がかかるということになります。
自分の口座からお金をおろしたら税金がかかるような法律でもあれば別ですが、ここでも会社から株主個人への所得移転であることを示唆しているわけです。
会社はだれのもの?
結局、会社というのは誰のものでもないというのが、からあげ弁当の結論です。
ウィキペディアには法人について以下のようにあります。
法人(ほうじん、独: juristische Person、仏: personne morale、英: juridical person)とは、自然人以外で、法律によって「人」とされているものをいう。ここでいう「人」とは、権利義務の主体となることができる資格(権利能力)を認められたものをいう。
特定の個人が誰の所有物でもないように、特定の会社も誰かが所有するような性質のものではないのではないでしょうか。
会社化すれば創業者のものでもなければ、経営者のものでも従業員のものでも株主のものでもありません。
会社というのは、一人の人間のような、いわば一つの人格のようなものと考えています。
会社名義の銀行口座も作れますので。
会社はモノではありません。どうしても所有という概念を当てはめてしまいがちですが、そうではないということです。
株を買うことは会社の部分所有ということはよく言われます。
ただ、これも厳密にいうなら、配当を請求する権利(自益権)と経営に参加する権利(共益権)だったりします。
株式投資をやっているものとして、会社は株主のものといった下品な物言いは慎みたいものです。