なぜお金に価値があるのかは意外と知られていません。一説によるとみんながお金に価値があるという共同の幻想があるから、というものもあります。しかしそれだと、なぜみんなが共同の幻想を持っているのか、という理由が必要になります。
この話はたとえ話であり史実とは違いますが、お金の本質を表しています。
武士は幕府から禄である米をもらって生活しています。俵で自宅まで運ぶのは結構大変です。
下級武士ともなると自ら大八車を引っ張って自宅の納屋まで運びます。
一方で、農民は秋の収穫の時期は、遠路はるばる奉行所まで年貢を納めにきます。こちらも車に乗せて重労働です。
米が奉行所を出たり入ったり保管場所の確保も大変です。そこで幕府は米券を武士に渡して、農民から直接米を受け取るようにしました。
米券というのは幕府の署名が入った米引換券です。これで米を自宅まで持ち帰る負担がなくなりました。必要な時に食べる分だけ農民から貰えばいいのです。
農民には御触れを出して、年貢は米券で納めるようにしました。農民にしても米券をソデに入れて納めに行けるので、労力が大幅に軽減されることになります。
こうして米券は武士への禄から農民の年貢という役割を経て、流通するようになります。米に限らず他のものの取引にもつかわれるようになり、これがお金ということになります。
管理通貨制度というのは、発行すると同時に税金や罰則金として政府が徴収することで成立します。そのため、お金を偽造するのは国家主権を侵害するものとして厳しく取り締まりがなされます。
商品券の場合は発行した百貨店なりスーパーから商品をもらえることで、その価値を維持しています。一方、法定通貨は税金や罰金を納めることができるので価値があるのです。
以上、お金の解説でした。