日本は長い間デフレでした。
安部政権になってやっとデフレを脱却するかとおもわれたのですが、最近のデータでは再びデフレの兆候が現れています。
このデフレという現象ですが、正確に理解している人は少ないようです。
モノの値段が下がること、というのはなんとなくイメージでわかると思います。
でも、値段が下がるのには、実は2種類あるというのはあまり知られていません。
2パターンあるので、ひとつずつ説明したいと思います。
野菜が豊作になると、値段が安くなります。これがひとつ目のパターンです。
野菜が大量に収穫されれば、その分値段は安くなります。
テレビも液晶の32インチくらいのものは以前なら20万くらいしていましたが、今は5万円くらいで買えます。
東南アジアの人件費が安いところで作ったり
、生産技術の向上によって安く作れるようになったためです。
野菜にしてもテレビにしても、数がたくさんあるものは価値が下がります。
野菜やテレビというような、それぞれの事情で値段が下がるのはデフレではありません。一般的にデフレと呼ばれるのは、次の二つ目のパターンになります。
減税をすれば、皆さんの手元には、沢山のお金が残ることになります。逆に増税をすると、残るお金は少なくなるでしょう。
消費税を増税して、手元に残るお金が少なくなると、お金の価値が上がります。
野菜やテレビが、生産される量によってその価値が決まったように、手元に残るお金の量によって、お金の価値は変動するのです。
なかなか実感として解りにくいところですが、みんなが持っていないものは、希少価値が上がります。
お金の価値が上がれば、モノの値段が下がります。これがデフレです。
特に消費税などは国民全員に関係するため、その影響は非常に大きくなります。
デフレは、みんながどのくらいお金を持っているかで決まります。
普段、皆さんが目にしている価格はパターン1とパターン2の合成値になります。
値段はモノの価値とお金の価値とを比較して決まります。
野菜が不作でも、デフレ(みんながお金を持っていない)だと、見た目の値段は変わらないかもしれません。
野菜の値段は上がっても、お金の価値が下がるためです。
実際には野菜の値動きの方が大きいので、こういったことは起きにくいのですが、値段は2つの価値の合成ですので、こういったことも考えられるのです。
デフレというのはお金の希少価値が高まるために起きました。つまり、お金が手に入りにくくなる現象です。それは増税や社会保障の削減など、サイフに厳しい政策が行われることを意味しています。
これは嫌ですよね。
こう思う人もいるかもしれません。
「デフレになっても、その分モノの値段が安くなるから問題ないのでは?」
しかし、価格というのはお金の価値が変化に対して、ワンテンポ遅れる性質があります。手元のお金が減っているのに、価格は前のまま、という時期がしばらく続くのです。そして、やっと値段が下がり始めたら、今度は私たちの給料が下がり始めます。売り上げが減るので仕方がないのです。
これも嫌ですよね。
デフレになって良いことなど、あまりないのが現実です。
ただ、1つだけあるとするなら、すでに沢山の預貯金を持っている人にとっては、お金の価値が上がるのは歓迎されるかもしれません。